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トランスの低域歪について2

IMG_0823.jpg


前からやりたいと思っていた膨大なデータ取りをようやく行いました。
トランスの歪やレベルが信号周波数によってどのように変わるかを連続データとして徹底的に測定しました。
アナライザで半自動化しているとはいえ、これだけのデータを取るのはかなり大変です。

測定したトランスはサイズやコア材の異なった600Ω:600Ωの様々なトランス。
これを送り出しインピーダンス及び負荷インピーダンスを600Ωでマッチングをとった状態で、オシレータのレベルや周波数をひたすら変えながら伝送特性をチェックします。
なお、実際の使用時でマッチングを取らない場合、特に送り出しインピーダンスが低い場合はこれよりもっと良い特性になる傾向にあるようです。
なお、トランスの測定は扱う信号レベルが微小電圧から高電圧まで扱う必要があり、発振器の出力レベルや歪率計に求められる動作範囲がとても大きいものとなる。なるべく広範囲で測定できるように考慮したものの、どうしても機器の限界に当たってしまう。特に微小信号域でのTHD+Nは測定に限界があるため、機器の裸特性を灰色の点線で記入しています。





■SANSUI ST-71
サイトのデータでも基準にしている定番のサンスイトランス。19mm幅のコアで贅沢にもパーマロイコアです。
ST71.png
中低域の歪は多めであるものの、飽和部分以外の歪のカーブは真っ直ぐキレイになっている。低周波の微小信号には弱いよう。





■19mmサイズ パーマロイコアトランス
手元にあった、ST-71と同サイズのトランス。巻き方などの条件が異なるよう。
per_s.png
微小レベルでの低域の感度はST-71より高く、歪も少ない。しかしレベルが上がるにつれて低域での歪が多めとなっている。巻き方による違いなのか?





■19mmサイズ 珪素鋼板(オリエントコア)トランス
こちらも手元にあったトランス。こちらはコア材が安価な珪素鋼板が使われている。
ori_s_20130729201534.png


珪素鋼板コアならではの「への字」カーブが確認できた。信号レベルによって、歪率のピークができる周波数が変わっている。
パーマロイコアのものと比べると、への字効果もあってか、中高域にかけて歪が多い傾向にある。周波数特性は低域が伸びない。微小レベルでの感度低下も著しい。





■57mmサイズ オリエントコア かなり大きいトランス
ori_b_20130729201529.png
珪素鋼板であってもコアが大きければ低域が伸びてくるようだ。コアが大きくなったせいで、低域のへの字カーブが測定範囲内に入ってきた。それにしても不思議なへの字カーブだ。やはり全体的に歪率は高め。





■JENSEN JT-11-BM 78%パーマロイの巨大バケモノ級トランス
per_b.png
ニッケル含有量が多く、特に高価なパーマロイコアを惜しむことなくふんだんに使った豪華なトランス。
「高いコア材で大きなトランス」が高性能であることを知らしめてくれた。




■日本光電 TD-1 サイズ的には中間くらいのトランス。Lコアか?
td1.png
特性も、パーマロイコアの大小の中間くらい。全体的に低歪であるものの、飽和すると一気に歪が増加する。これは78%パーマロイの特徴なのだろうか??





■LUNDAHL LL1524 音の評判はいいらしいけど、測定するとどうもパッとしないトランス
ll1524.png
への字カーブが出ているのでコアは珪素鋼板なのだろうか? 低域が伸びずどうも巻数不足な気もするが、何か落とし所を狙った結果なのだろうか??




なかなか話題に上がることもないトランスの歪特性について、何となく傾向が見えてきた気もします。
まだ解明しきれないことだらけですが、どうやらやはり大きくてパーマロイの良質なコア材を使ったトランスが低歪で特性も良いようです。コア材は低歪を求めるなら良質のパーマロイ、珪素鋼板は上手く使いこなせば音作りに役立てられそうです。



※追記

測定器の都合上、微小レベルでの歪の測定に限界があるため、オリエントコアのへの字の書き始めの部分がどうなっているか測定することができていませんでした。そこでアナライザのモニタ出力をPCのオーディオインターフェイスに接続し、WaveSpectraを使って、THD+NではなくTHDのみを観測してみました。
この方法はこの方法で全てをカバーするには難しい部分もありますが、さしあたりオリエントコアの大きいトランスで1kHzの特性のみ測ってみました。どうやらへの字の頭の部分はノイズに隠れていただけで、実際は歪は少ないようです。だとすれば信号レベルに対して大きすぎるくらいのサイズのトランスを使えば良さそうですが、それはそれで微小レベルの低域の感度不足の問題がでてきそうです。

thd_ws.png

また、以前より何となく気になってはいたのですが、信号を印加してから時間経過とともに歪率が上昇していく現象があるようです。これはパーマロイコアで気になったことはなく、珪素鋼板特有の現象のようにもみられます。
値が収束するまではかなりの時間がかかるので、歪率測定の際はどのタイミングをもって値をとるか悩ましいところです。自動計測で同じタイミングでとれば概ねカーブとしてはキレイになりましたが、WaveSpectraで手動で取ったデータが波打っているのはこのことも関係しているようです。

これに加え、歪率についてはトランスをヒートガンで温めると、温度上昇に伴って歪率が低下していくという現象も確認しました。
トランスにまつわる謎はまだまだ尽きないようです。


※追記

オリエントの小コアについても一部の周波数についてWaveSpectraを用いて測ってみました。
ori_s_ws.png

への字の書き始めの部分がどこまで歪が下がっているのかを確認するのが目的でしたが、どうやらへの終わりの部分よりは下がる傾向にあるようです。
それと一点判ったことは、時間経過につれて歪が上昇もしくは下降する現象ですが、どうやらへの字の部分で顕著に起こるようです。測定に時間をかければかける程、への部分が高くなるようです。なお、高いレベルから徐々に下げていき測定をした場合、への後半(右側)の部分ではレベル設定後に歪率が上昇していくのに対し、への前半の部分では歪率が下降していくようです。WaveSpectraでの測定は、アナライザの測定が数秒周期であることに対し、こちらはある程度値が収束するまで時間をかけたため、への位置が高くなったようです。
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トランスの低域歪について

先日の中村製作所のトランスを解析して、よくもまあこんな小さなコアで作ったなと思いつつも、音楽信号を伝送するのであれば飽和歪が発生する程には至らないんだろうなと。
実際そういう実験もしたことがあって、19mmコアでもサイン波信号でなく音声信号ならかなり突っ込んでも飽和せず、飽和する時はキックの音で「バリッ」みたいな感じになるのは経験済みです。
まあ、実際に聴感上、問題となる歪が発生することはなくとも、コアが小さい場合は低域不足となりがちなのでコアが大きいほうが有利なのは間違いありません。

ただしまあ、以前作ったヘッドホンマッチングトランスも性能や音質こそ言うこと無く満足しているものの、最近普及しつつあるポータブルヘッドホンアンプのサイズくらいに、もう少し小さく作れたらなという思いもあったり。

19mm幅のコアを使ったとして、フルスケールのサイン波での飽和は許容したとして実際の音楽再生時には飽和することなく、しかも程良い低域の歪成分はヘッドホン再生時の低域の補強的な動作となって「Nice Sound♪♪♪」に貢献する部分もあるので、挑戦してみるのも面白いかなと思い検討してみます。

コア材で良いものを使えば、某ヘッドホンコンディショナーほど低域を失うこともなく、良い特性が得られる可能性もあるんじゃないかと考えています。


ついては、前々から疑問に持っていたトランスの低域歪について、同時に存在する高域成分が影響を与えるかどうかについて実験をしてみることにしました。
実際の音声信号の場合は測定に用いるサイン波と違って、低域から高域まで広いスペクトル成分が存在します。
低域成分だけを伝送する場合と、高域成分が含まれる場合で飽和具合は変わるのでしょうか?

IMG_0818.jpg

実験では、おなじみSANSUI ST-71を用いました。
歪チェック対象となる20Hzのサイン波信号をトランスに印加。信号レベルは約1.2Vrms。これはコアが飽和して波形歪が発生し始める信号レベルです。
これに対し、ホワイトノイズの1kHz以下をカットした信号をレベルは同じ約1.2Vrmsで用意。20Hzサイン波のみを伝送した場合と、これに1kHz以上の成分を加えた場合とで、低域の飽和具合が異なるかどうかを確認します。
※ちなみにこの状態でピークレベルはノイズ側のほうが10dBほど高い。


ホワイトノイズに対して1kHz以下をカットした信号を生成。
filter.png



これを20Hzのサイン波と合成したテスト信号
testsignalspect.png



トランス伝送後のスペクトル分布
spect2.png
白色:20Hzサイン波のみを伝送した場合
黄色:1kHz以上の成分を加えた場合




信号波形
waveform[1]
上:サイン波のみ 下:ノイズ有り  波形途中より1kHz LPF処理


上記の波形から1kHz以上の信号成分は、低域の飽和歪に対して少なくとも大きな影響は与えていないということがわかった。低域の伝送においてフルスケールのテスト信号では飽和しやすく不利となるものの、実際の音声信号のように幅広い周波数分布をもった信号で最終的にフルスケールの振幅となっているような場合は、低域に強いスペクトルが存在しない限りは飽和しにくいといえるだろう。

ちなみにこの時の20Hz信号の歪率(THD+N)は24%であったが、信号レベルを3dB上げると波形とスペクトル分布は以下のようになった。

waveform3db.png


spect3db.png

信号レベルが1.4倍違うと、歪はこのように大きく増加する。




なお、歪率3%の時の信号レベルは700mVで、波形は以下のようになった。

waveform_thd3per.png



spect_thd3per.png




続いて今度は信号周波数を変化させ、同じ波形歪率(THD+N)になる信号レベルを記録してグラフを描いてみた。

trans_thd.png

信号周波数が低いほど、飽和し始める信号レベルは低い。
測定回路においては、送り出しインピーダンスが高いほど、また負荷インピーダンスが高いほど歪が発生しやすいため、歪が発生しやすい状態で測定を行った。送り出しインピーダンス600Ω、負荷はオープンに近い状態(100kΩ以上)とした。
信号レベルが低いとTHD+Nの測定が困難であるため、そしてオシレータ出力の上限が20V程度なので、対応可能な範囲で測定するため処置である。
ちなみに1kHzで飽和させるには何V突っ込む必要があるんだろうか…。


同じ歪率で結んだグラフは、おおむね7dB/oct.で直線になっている。ラインの下端は、歪率が規定の値まで落ちず、測定ができなかったものである。
例えば、100Hzでは歪率1%を下回ることができなかった。

この結果を参考にし、伝送する下限周波数と、許容される波形歪率を検討すると良いでしょう。
グラフを見るとやっぱり、1kHz以上の信号は存在したとしてもコア歪への関与はほとんど無いといって良いってことなんでしょうかね。
それと、一度歪み出すと、それ以上はレベルを少し上げるだけでどんどん波形が崩れだして歪率が上昇するので飽和させないように注意が必要。これはパーマロイコアの特徴でもあると思う。


では、あとは一度小さいコアで試作してみてから、落とし所をどうするか検討する形になるかな。
19mmコアでヘッドホン。どこまでいけるのだろうか!?


※今回の測定についてはここにもまとめています。

中村製作所 ヘッドホンコンディショナー NIP-01 その2

中村製作所のヘッドホンマッチングトランスのレビューですが、前編がまだの方はそちらからご覧ください。



中村製作所 ヘッドホンコンディショナー NIP-01 その1



前回の測定や推測から、おそらく中身は19mmサイズのコアのトランスが2個。変圧比は二次側が若干多めの1:1.2くらい。忠実な信号の伝送と考えるとコアのサイズが小さめで、通常の聴取レベルでは音楽再生時に歪として検知できるかは不明なものの、テスト信号ではけっこうな歪が発生している。
でもこの歪成分が「Nice Sound♪♪♪」に貢献しているのではないかという推測です。


ここまでくると中身がどうなっているか確かめたくて仕方がなくなってきます。
が、しかしケースは接着固定されており分解するのは難しそうです。
あとで気づいたものの、パッケージに「絶対にあけないで下さい」って書かれてる。まあ神社で買ったお守りを分解してはダメみたいなノリですよね。

ヒートガンで炙ってみたりしたものの、すんなり解体できる様子はありません。
夏の暑さの影響もあってか、もう面倒くさくなって「えいっ」っとやってしまいました。

IMG_0808.jpg


プライヤーで挟んでひねったりしているうちに薄いアルミケースが凹んだりしてきたので、もうコンチクショーとばかりにマイナスドライバーを差し込んで殻を破って分解しました。
もう元には戻れません。




IMG_0812.jpg


IMG_0811.jpg


中身は予想通りの19mmサイズのトランスが2個入っていました。トランス以外のパーツの介在はなく、結線も極めて基本的なものです。一次と二次でのGNDは絶縁されていました。




しかし、驚いたのはこのトランスのコア材です。

予想では、19mmのコアだとして珪素鋼板だとさすがに特性が厳しいだろうし、パーマロイだと価格が見合わないだろうと。測った特性もコアが小さいなりに悪いものの、そこまで酷くない。

そしたらなんと、ハイブリッドでしたwww


DSC_4033.jpg



IMG_0810.jpg


若干見づらいのですが、トランスの上半分はパーマロイ、下半分は珪素鋼板の色をしています。
しかもEIコアのうちIの部分がありません。

これは一体!?


コスト削減のためにパーマロイと珪素鋼板を混ぜて使う方法はしばしば行われるらしいのですが、この組み方ですとコアが一周するにあたり、必ずパーマロイだけの部分、珪素鋼板だけの部分を通過する構造になっています。Iコアを抜いたのは「ただのコスト削減」とも見て取れますが、この二種類のコアの配置をみると、もしかして意図的なものである可能性も否めません。
低域の歪に関しても、パーマロイの場合は全体的に低歪で、一線を超えると一気に歪が増加するのに対し、珪素鋼板では全体的に歪率は低くないものの、飽和した場合も比較的ゆるやかに歪が増加していく特徴があります。
「Nice Sound♪♪♪」の実現のため、あえてこういった構造にしたのか、それともただのコスト削減なのか、真相はいかに!?

分解してしまったことによりスッキリするどころか、かえって謎は深まるばかり。
こればかりは中村製作所の中の人にしかわかりません。
眉唾グッズはケースをあけても謎を残してあるという万全の秘匿体制が整えられていたのでありました。


ちなみに前回触れた巻線の件ですが、普通に内側と外側にわけて巻いてあるだけのようです。DCRと変圧比からすると二次側が内側なのでしょうか。
DSC_4035.jpg




さて最後に「音」なんですけどね。

こうやって測定したり分解する前に聴いてみた印象では、「確かにこれを繋ぐと音が変わる。こういう音が良く感じる場合もあるかもしれない」という具合でした。
ただしその一方で、このコンディショナーを通すことで「音の劣化」として低域の無さやなんとなくローファイ感があったり、高域が伸びない印象があったのもこれまた事実でした。

結局はまあ、「気に入るかどうか」に尽きるのでしょうか。音が変わるのは確かですし、値段からみても「ボッタクリ」という訳ではないようです。
聴いて気に入ったら、買ってみると良いのではないでしょうか?



しかしまあ、忠実伝送が不可能なコアサイズであることによって音の変化を生じさせたり、コスト低減も兼ねて2種類のコア材を組み合わせるという工夫はなかなか面白く興味深いものでした。

時にはこういった極端な信号変化を伴うトランスの使い方も面白いのかなーって。こりゃうまく逆手にとったもんだなと。


そして最後に変わり果てた姿のNIP-01を
DSC_4030.jpg

中村製作所 ヘッドホンコンディショナー NIP-01 その1

中村製作所のヘッドホン用マッチングトランスNIP-01ですが、どんな商品なのか大変気になっていたところ、ちょうどコメントでそんな話題が出てきたので買ってみました。

去年、発売されてヘッドホン祭かなんかで展示されるという話で商品自体は知っていたんですが、どう考えてもこのケースに収まる程度のトランスではまともな伝送はできないよねと思ってたところでした。
NIP-01は中村製作所のヘッドホングッズで最初のモデルですが、最近はこれに機能を付加したNIP-02SQやNIP-03といった商品が続々と発売されています。けっこう売れているのでしょうか? どんな商品なのか気になるところです。

ヘッドホン用のマッチングトランスは以前作ったことがあるのである程度のノウハウは持っているつもりですが、低域からきちんと出すためには一般的に高価なパーマロイコアを用いたとしても最低28mmサイズのコアが必要で、珪素鋼板の場合は更に大きなコアが必要だということを過去の試作から学んでいます。
参考:http://fixerhpa.web.fc2.com/ipodz/index.htm


じゃあ、中村製作所さんの製品はいったいどんなトランスを使って、どんな特性になっているのだろう?
9800円出して人柱になりました。


まずはパッケージから。
正直なところ、これを見たときあまりのチープさにショックを受けましたw
IMG_0804.jpg


IMG_0805.jpg


ところでこれは何をする機器なんでしょう?
いまあらためてパッケージを読んでみたんですが、全く何も書かれていないんですね。
電源が要らなくて、音量・音圧を上げる機能はなくて、Nice Soundということでしょうか。

事前にサイトで見たりした印象だと、もっと高級感のあるものかと思ってましたが、いざパッケージを見ると怪しさ満点ですw

よく見ると「絶対にあけないでください。」って書いてある…。
まあ、特性測ったらヤフオクにでも流そうと思ってるから、開けるつもりは無いけどね。


ちなみに付属品は3.5mmプラグの短いコードと、あと電線結束用のバンド。なんでこれがはいっているww
IMG_0806.jpg




とりあえず、iPod Touch 5thを接続した状態でアナライザで特性を測ってみます。
iPodは測定器並に特性が良いこと、かつ出力インピーダンスがほぼ0に近いので、実使用と同じ状態かつ測定に適した信号源としてそのまま用いることができます。

まずは出力レベルから。

iPodで1kHzサイン波を出力レベル約45mVで出力してNIP-01を繋いだとき、出力無負荷では60mV、32Ω負荷では47mVを指示しました。
無負荷時で+2.4dBとなっていますので、若干、二次側の巻線が多く巻かれていることが予想されます。1:1.3くらいでしょうか??


続いて周波数特性です。約45mV出力で、実線が無負荷、点線が32Ω負荷での特性です。
基準レベル0dBrはコンディショナーを使用しない場合の約45mVに設定しています。

NIP01_freq_45mV.gif


一応、可聴域をカバーしているものの、グラフが弧を描いており、あまり余裕のない特性であることがわかります。


続いて信号レベル1Vにて測定します。このレベルは0dBFsで記録したサイン波をボリューム最大で再生したときの出力レベルであり、iPodから出力される最大レベルの信号です。

NIP01_freq_1V.gif

すると、60Hz以下が一気にレベル低下するようになりました。これはおそらくコアが飽和して歪が発生しているとみられます。扱う信号レベルに対してコアが小さすぎると起こる現象です。
当初より懸念していた「このサイズのトランスではサイズ不足じゃないか?」という部分が測定結果として表に出てきました。



では今度は歪率について測定してみます。
信号レベル45mVと1Vの時に各周波数でどのくらいの歪率(THD+N)になっているか測定します。負荷は32Ωです。


信号レベル45mV時
NIP01_THD_45mV_32ohm.gif

20Hzで0.9%という値は、決して優秀な値ではないものの、まあこんなもんかな程度の値だと思います。
飽和しておらず使用可能な範囲といえるでしょう。



信号レベル1V時
NIP01_THD_1V_32ohm.gif


これはあきらかに飽和していて歪がはっきりと知覚できる状態だといえます。一般的に歪率3%を超えると歪を感じとれる状態でNGだといわれています。
ただし、これはサイン波で最大レベルの状態で測っていますので、実際の音楽信号ではあきらかな歪んだ音として聴こえることはないと思います。なので良いといえば良いのですが…。



では、この信号歪みについてもう少し詳しくチェックしてみましょう。
今度は信号の周波数を20Hzに固定し、レベルを変えていった場合、どのくらいの信号レベルでどの程度の歪が発生するかを測定したものです。このテストはiPodではできないため、ほぼ同等な別の回路を用いて測定しています。

NIP01_THD_20Hz_32ohm.gif


すると、可聴周波数の下限とされている20Hzにおいて100mVまでの信号レベルであれば飽和せずに伝送可能だということがわかりました。



あとは一次二次のインピーダンスについてグラフを描いてみました。
片端を32Ωで終端した状態でインピーダンスを測定しています。


二次側を終端し、一次側からみたインピーダンス
NIP01_Z_with32ohm.gif


一次側を終端し、二次側からみたインピーダンス
NIP01_Z_with32ohm_inv.gif


これらのグラフからも、このトランスは1:1ではなく若干の昇圧をともなうように巻いてあることがわかります。
まあ、繋いだ時に音が小さくなるよりは少しでも大きく聴こえたほうが印象は良いですし、伝送ロスを考えても二次側を多く巻くことは通常に行われていることです。
このインピーダンス比から計算しても、巻線比はおおよそ1:1.2ちょいくらいとなっているようです。


最後に直流抵抗(DCR)を測ってみます。

一次側2.61Ω
二次側2.75Ω

ほぼ同じ値となりました。おそらく線径は一緒だと思うのですが、DCRが巻線比と一致しないのは巻線がボビンのどの位置にどう巻かれているかによるのでしょう。内側になるほど同じ巻数でも線長が短くなりますのでDCRも小さくなります。



ここまできたところで内部の予想です。


ケースのサイズからして、おそらくSANSUI ST-71と同じサイズの19mm幅のトランスが2個入っているんじゃないかなー??
IMG_0807.jpg

重さ的にもST-71が2個で30gくらいなのに対し、NIP-01が40gなので大体そんな感じかと。
分解してみたい衝動にかられるのですが、どうやらケースは接着しており簡単には開けられない様子。
まあ、中身見られちゃったら眉唾グッズとしての威厳が保てないからなぁ。


…つづく。


テスタの導通チェックモード

某所に書いたネタですが、個人的にはテスタ購入にあたっての重要チェックポイントなので記事にしておきます。

IMG_0785.jpg


テスタなんて一度買ったら10年くらいは平気で使うのですが、買う時に気にするのは「導通チェックのブザーの反応の速さ」です。
DMMだと反応が遅いものが殆どです。多層基板のパターンを追ったり、コネクタの結線を確認する際に反応が遅いと仕事になりません。
数年前から愛用しているのは横河の73202ですが、これを買う時は計測器ランドで片っ端からピーピー鳴らして選びました。

せっかくの機会なので、導通ブザーが鳴るまでの遅延時間を測ってみました。
テスタを導通チェックモードにし、オシロのch.1にはテスターの±を接続して導通チェック時の信号を観測。ch.2にはテスタのブザー部分に向けたマイクの出力信号を接続して、テスタリード間にトグルスイッチをつけてON/OFFし、このタイミングでオシロのトリガをかけて、導通開始からブザーが鳴り始めるまでの遅延時間を測定します。


横河のDMMで30ミリ秒、使用時に不満を感じる見本として手持ちの秋月の小型テスタ METEX P-16が90msでした。
高いテスタなら良いわけではなく、検討した時はFLUKEはこれで却下になりました。

peee73202のコピー


peeep16のコピー



ちなみに導通チェック時の特性は以下の通り。

型式 ブザーがなる抵抗値 プローブの開放電圧 内部抵抗
73202  45Ω以下      3.24V       3.8kΩ
P-16  22Ω以下      -1.21V       2.6kΩ

極性が異なったのも気になるところです。
みなさんはテスタ買う時に何をチェックしますか?

TASCAMのカセットデッキ

ヤフオクで10円で落札した超美品の業務用カセットデッキ TASCAM 112MKIIのジャンク。


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酷いことにギヤがバラバラ。おそらく樹脂の材質が悪かったのでしょう。

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とりあえず手元にあったタミヤのギヤが使えそうだったので、残存していたピニオン部分と合体させてみました。

IMG_0769001.jpg


が、しかし瞬殺。もう樹脂の劣化具合が酷いもので、一瞬にしてもげてしまいました。



仕方がないのでタミヤのカタログとにらめっこし、使えそうなギヤが入っている製品を探しました。
ウォームギヤーボックス HE 72004 に入っている黄色い二段ギヤがモジュール0.5で歯数が36と14枚。
うまい具合に使えそうです。モーターのピニオンは歯数10枚のものに交換。
元々はヘリカルギヤがついていましたが、幅が狭くてパッと見ではヘリカルだとわからないくらい。
まあ、通常のギヤに置き換えても大差ないでしょうということで。

しかし困ったことに、タミヤのギヤは樹脂で軸も一体成型となっているため、ここに2mmの軸穴を
開けなければなりません。
元々の軸は固定できるほどの長さや強度がないため、勘で開けるしかなさそうです。

若干偏芯してしまいましたが、なんとか回転できるくらいには仕上がりました。

IMG_0772001.jpg

いまいち動作がスムーズでない感じはしますが、さしあたり動作はできるようなので一旦完了とします。


ギヤの穴加工、もしくは代用品を用意できるような、良い案はないでしょうか。

DigiFi No.10 改造完成形

DigiFi No.10 USB DACヘッドホンアンプ改造の完成形が出来上がりました。


SCDSを生かして、一番有用に使える方法を考えた結果、こんなものが出来上がりました!

普通のアンプ使うよりいい雰囲気。けっこうマジです。

DSC_4014.jpg


DSC_4012.jpg


ユニットはエレクトロボイスのフルレンジ209-8Aです。
能率が94dBと高いので、ヘッドホンアンプなのに十分すぎる音量が得られます。
USBケーブルが長くてもバッチリ。
これもスーパーチャージドドライブシステムのおかげですね。




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今回の付録のUSB DAC付ヘッドフォンアンプですが、せっかくOlasonicの技術であるSCDS(スーパーチャージド・ドライブシステム)によってUSBバスパワーながら大電力が得られるので、ヘッドホンに使うだけでは勿体無いと考えました。そこで、高能率のスピーカーユニットならドライブできるんじゃないだろうかと、USB DAC付きパワードスピーカーを製作してみました。

使用したスピーカーユニットはエレクトロボイスの209-8A。20cmのフルレンジで94dBの高能率。なんと、かのALTECの製品を継承しているとか。これはもうVoice of the DigiFiって感じです。
このユニットを約60cm×90cmの板を用意して取り付けました。平面バッフル方式は構造こそ単純なものの、ユニット音を素直に引き出す特徴があるそうです。

製作して試聴してみると不思議なことに、なんと普通のパワーアンプを用いるより付録のヘッドホンアンプを使ったほうが明らかに聴き心地のよい音質。カラッと爽やかなアメリカンサウンドにベストマッチし、自宅でのBGM用として大活躍しています。
心配していた音量も全くもって不足を感じることはありません。きっとolasonicならではのSCDSが真価を発揮しているのでしょう。

なお、部屋の端に設置したので長いUSBケーブルを使っているのですが、それにもかかわらず、問題なく快適にスピーカーをドライブすることができました。これもSCDSの恩恵なのでしょう。
今回の付録を企画してくださったDigiFi編集部の皆様、設計開発してくださったolasonic様、素晴らしい付録を有難うございました。

みのむしクリップ

DSC_3828001.jpg


実験や試作の時に活躍するみのむしクリップのリード線ですが、ふとこないだクリップ買って作ったらどうも使い心地がパッとしなくて、調べたらメーカーによって微妙に違うことに気が付きました。
秋月の噛み合わせが悪く顎関節症気味で怪しいような物はさておき、テイシン電機かミヤマ電器あたりが入手しやすいところですが、どうもテイシンよりミヤマのほうが先細りで細かいものが掴みやすく、摘むときの動きもいい感じ。




上:ミヤマ電器 MJ-008
下:テイシン電機 C-101
DSC_3836001.jpg
テイシンのワニがお尻に噛み付くロゴは好きなんですが、どうも物自体はミヤマに軍配が上がりそうです。


ミヤマのクリップは先端にロゴが入ってるのですぐわかります。
DSC_3838001.jpg


ちなみに以前はテイシン電機の出来合いのミノムシリード線を使っていたんですが、これがまたよく切れる。
しかもカシメの部分で断線して被覆は繋がっているので、切れたことがわからない。
回路が動かなくて、おかしいなと思ってテスターで測ってようやく断線に気づく始末。
なのでこれ以来は自分で作ることにしています。

DSC_3839001.jpg


リード線は古河電工のビーメックス-Sがお気に入り。これの0.3m㎡のタイプが適度に弾力性があっていい感じ。
はんだ付けのみ行なって、カシメは行わないのが自分流。切れた時はわかりやすく切れてくれたほうが良いので。
DSC_3833001.jpg


ストレスなく迅速な実験を行うため、良いみのむしリード線を用意しておきましょう。
プロフィール

fixer

Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
Twitter @fixerhpa
頒布中のバランスキット関連はこちら

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