ヘッドホンアンプ設計・試作その5

ようやく出来上がりました。

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回路図
ST71HPA2.png



基板パターン (TOP VIEW)
pattern.png


基板はここで作ってもらいました
http://nabik.web.fc2.com/index.html
(Hammond版とサンスイ版で計3枚つくって1000円。必要な方にはデータあげます)


パーツに関する補足

D1 RB441Q-40 ショットキーバリアダイオード
(逆接続防止用だけど電圧が落ちるので間違えないならジャンパーショートのほうが良い)

D2 石塚電子 E-102 定電流ダイオード 1mA

スイッチ Linkman 4UD1-R1-2-M2-R-N-B

ケース Hammond 1593P

電池ホルダー BH-9V-1D (秋月)

入手元はマルツ、秋月、Digi-keyあたりです。

トランスは見た目が気に入ったのでHammond 107Gを使いましたが、特性はサンスイST-71のほうが良さそうです。
電源は本来なら12Vくらい掛けたほうが大出力に耐えるのですが、9Vでも実用上は十分です。


トランスをギリギリでドライブさせた歪と感じさせないテープコンプのような聴き心地のいいヘッドホンアンプに仕上がりました。考えてみればアナログレコードなんかも「音がいい」なんていわれている割には、あれって歪みだらけ。高音質の秘訣は「歪と感じさせない歪」にあるのかもしれません。

ちなみにトランスの2次側をまとめなければ、バランスヘッドホンアンプとして動作できるのでこれまた楽しいかもしれません。

バランスといえば、本機の回路がバランス動作であるおかげでポップノイズは発生せず、電源入切時もフワッと瞬間的にフェードイン・フェードアウトする感じがなかなか好感触です。
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ヘッドホンアンプ設計・試作その4

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Hammondのトランスが届いたので、さっそく仮組みしてみました。
ST-71に比べるとさらに一回り小さいので特性が不安でしたが、案の定、高域低域ともに特性としては劣るようです。でもこのギリギリ感がいい。
かつてのテープコンプの手法みたいな感じで、飽和ギリギリを使う感じが、アナログ感を醸しだしています。
これ以上音を変えてしまうとエフェクター的な存在になってしまうかもしれませんが、うまいことアナログ回路が飽和しかけた味のあるアンプとして仕上がりそうです。
再生装置としてはiPodが無味無臭のすばらしい特性なので、その音に不満だというのなら、電流駆動+大入力での飽和というこういったアプローチは最適なんじゃないかなと思ってます。

こんな単純な回路でも、細かいところ色々つめてくと大変だー。
次回あたりは形になるといいな。

ヘッドホンアンプ設計・試作その3

自作進行中のヘッドホンアンプですが、ポタアンを名乗るのならもう少しでも小さくしたいなってことで、さらなる小型化を狙ってパターン作成中です。
これで収まればだいぶ小さくなるはず。

DRV134hpa2.jpg



トランスについてはサンスイ ST-71が一番廉価で特性もうまくいっており、音質も文句ない仕上がりなのですが、hammondのトランスがカッコイイのと、わずかに小さいので次の試作(本番?)は、これを使って組んでみようかと思っています。期待できる性能のわりには値段が高いのがネックなのですが、ケース入りがカッコイイ。実物はまだ届きません…。


さて、本来必要なサイズより小さいトランスでも低域まで伸びた特性を得られているのはトランスを本来の値より過負荷の状態で使用しているからなのですが、トランスを過負荷で使用した場合の特性を調べたことがなかったので、データを取ってみました。

基本的に過負荷にするとロスが増えるのですが、トランスが小型すぎるなど条件の悪い場合はロスと相談すれば上手に使えるテクニックです。トランス自体を設計する場合は高域および全体のロスが問題ない程度で多めに巻くのが良いといったところでしょうか。

サイトのページに追記しましたが、ここにもグラフを貼っておきます。参考にしてください。

ST71_overload.png

オシレータ出力200mV

送り出し600Ω時の0dBr値
187mV @無負荷
92mV @600Ω負荷
34mV @150Ω負荷
13mV @50Ω負荷

送り出し40Ω時の0dBr値
197mV @無負荷
158mV @600Ω負荷
99mV @150Ω負荷
50mV @50Ω負荷


負荷が重くなるほど高域レベルは低下していくのに対し、低域はむしろ良好になっていくようです。
送り出しインピーダンスが低い場合、低域は負荷にかかわらず良好な特性であるのに対し、
負荷が重い場合の高域レベルの低下はより顕著になるようです。

ヘッドホンアンプ設計・試作その2

DRV134とST-71を使ったポータブルヘッドホンアンプの自作ということでお送りしていますが、試作や試聴の結果、回路が決まりましたので基板を組んでみました。

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使用したユニバーサル基板は共立のC-1です。このサイズの基板は秋月のCサイズとBサイズの中間でとても使いやすいサイズなんですが、他での扱いはないようです。とても気に入ってるんだけどなあ。ってか共立で買うものってこの基板くらいしかないw

一応、ポータブルなサイズに収めたいなってことでギリギリラインだと思うんですが、こうやって基板上に電池ボックスを配置しておけば裸のままでも使えますし、ケースにもすっきり収められそうです。

抵抗1本すら使わないというコンセプトで設計しただけあって、回路を構成する部品は10点もありません。


回路図
ST71HPA_sch.png

パターン
ST71HPA_ptn.png



これだけ部品数を抑えて良いアンプが組めるのはバランスドライバICのDRV134のおかげです。DRV134には差動出力を得るための3個のオペアンプを内蔵しています。よって電源と信号を繋ぐだけで高品質なバランス出力が得られます。この出力をサンスイのトランスST-71で合成してアンバランスに戻します。

DRV134でバランス化するメリットは、電源電圧に対して大きな出力電圧が得られることと、バランスにしていることでポップノイズが発生しないことです。オペアンプでは音質にも定評のあるバーブラウン社のICで、長いケーブルもドライブできる安定性も信頼感に繋がります。

なお、DRV134は電源電圧±4.5Vが下限なので9V電池だと若干不足気味ですが、±3Vくらいになってもなんとか動作は大丈夫そうです。単三電池2本でDCDCコンバータ入れる方法も良いとは思うのですが、とりあえず9V電池で様子を見ることにしました。
9V乾電池1本で動作させる場合は単電源となるため、GND電位の生成にはレールスプリッターのTLP2426ILPを用いました。仮想GNDとはいっても出力は対GNDで動作しないため、GNDが必要なのは入力信号の基準点だけなので、正直なところデカップリングの無い抵抗分圧でも良いくらいです。
むしろ、試作時の動作チェックではSens端子をきちんと接続してやれば上手いことバイアスが掛かるので、電源としてのGNDは存在しなくても、極わずかにTHD+Nが上がる程度で、全く問題ないくらいでした。

出力段のトランスはサンスイのおなじみST-71です。600Ω:600Ωなので公称値としては高すぎるのですが、低い送り出しインピーダンスで動作させるため、特性を取ってみても低域、高域とも全く問題なく、タムラのトランスなんかと比較しても音の質感も全く問題なく良好なのでこれを用いることに決定しました。
一次側はセンタータップを使用して150Ω:600Ωとして2倍の巻線比として使用します。出力レベルとしてはヘッドホンのインピーダンス、トランスの変圧比、DRV134の出力インピーダンス(50Ω×2)によって決定されますが、これも特性を取って、ヘッドホンのインピーダンスの高低にかかわらず必要十分の音量が得られることと、周波数特性や音質チェック等の結果を考慮して決定しました。
負荷にヘッドホンが接続された場合、DRV134から見た負荷インピーダンスは想定された負荷の値である600Ωを下回ってしまいますが、信号レベルが低いので問題ないだろうと大目に見てもらうことにしましたw
まあ、Cold側をGNDに落として使っても良いというICなので、全然問題ないでしょう。

その他の回路パーツですが、電源ラインのダイオードは9V電池の逆接防止用で、ショットキーバリアダイオードのRB441Q-40です。Vfが低いとはいえ0.45Vロスるのは勿体無いので、気をつけて使用するなら省略していいと思います。
電源デカップリングの電解コンデンサは試作時には入れないでテストしていましたが、一応入れることにしました。低ESRの100μFです。電圧波形を見るとこの程度の容量ではまだ低域成分でガンガン振られるので、本来ならもっともっと大きくするんでしょうが、別に電源が揺れたところで出力には基本的に影響しませんので気にする必要はありません。GND電位も含めて神経質にならずに済むのは、今回の回路構成を極限まで単純化したおかげでもあります。シンプルイズベストで良い事ずくめです。

あ、ボリュームですが今回は省略することにしました。iPodの出力に繋ぐならiPodのボリューム使えばいいんです。iPodのヘッドホン出力の電気的特性は素晴らしいので、外付けでヘッドホンアンプをつける意味は味付けをすることだけで十分です。



それでは測定にいきましょう。


トランスを使った回路の場合、負荷の特性や信号レベルによって動作が変わってきますので、代表的な負荷や信号レベルにて特性をとりました。

※以下の特性は後の回路変更によりSens端子4箇所を外した状態で行っています。これによりゲインが若干高くなりますが、iPodの最大出力レベルである1Vrmsを入れた時はクリップが発生します。


周波数特性
ST71HPA_freq.png

周波数特性は信号レベルが高くなって低域の飽和が始まるとレベルが低下するので、高すぎない値、そして一般的かつ低めの負荷インピーダンスとして32Ωで測定しました。
負荷がオープンになると超高域で上昇しましたが、600Ωも負荷がぶら下がっていれば十分にフラットになりました。というか、なるように設計したんですが。



歪率 THD+N 帯域制限80kHz
ST71HPA_thd.png

32Ω負荷にて1kHzの最大ノンクリップレベルである200mVでの特性と、その1/10の20mVで測定しました。
最大レベルで1kHzにおいて0.006%が得られていますので十分な値でしょう。ただし最大レベルでは低域の飽和が始まっているのが見受けられます。でもこれはクリップ歪ではなく隠し味として働く重要な要素です。これが今回の狙いで、低域の豊かさ的な部分を生成しています(と思っている)。


無負荷時ゲイン 約8.7倍
※Sens端子を外してゲインを上げたため、入力450mV程度でクリップします。

無負荷時ノンクリップ最大出力レベル 約4Vrms
32Ω負荷時 約200mV

無負荷で4Vrmsということは11Vp-pもあるってことか。ブリッジ+トランス昇圧の効果すごいな。

出力インピーダンス 約540Ω

出力インピーダンス、高いとは予想してましたが、算出してみるとだいぶ高いですね。
でもこれもiPodが電圧駆動なので、電流駆動のような要素を盛り込みたいと考えていたので狙い通りです。
電池駆動なのでロスが出るのは若干勿体無い部分もありますが、仕方ないです。
使用時の消費電流は10~20mA程度なので実用範囲ということにしてください。


残留ノイズ
8.6μV 帯域 <300kHz
2μV Aウエイティング (無負荷時34μV)

ノイズレベルはかなり低い部類に入ると思います。これはやっぱり差動回路とトランスのアイソレーションの相乗効果なのでしょうか。


あとch間クロストークは可聴域において80~90dB程度確保できているようです。


ってな感じで、思いつきで作った割にはずいぶん良い感じに仕上がったと思います。
特性はともかく、音質についてもiPodのヘッドホン出力とは動作が違うのではっきりと音質の違いを得ることができ、トランスの特性と出力インピーダンスの高さから得られる低域の豊かな感じが聴き疲れせず良い感じです。

価格についてはDRV134がDigikeyなら安いものの、国内だと割高で入手できるお店が少ないのがネックでしょうか。手に入らなければSSM2142でも良いでしょう。トランスは当初は専用設計にしようと思いつつコストが上がると悩んでいたものの、ST-71でこの特性と音質なら文句なしです。

そうそう、トランスの出力はフローティングなのでGNDをまとめなければそのままバランスヘッドホンアンプとして動作できるんだよね。これも試してみたい。

とりあえず次はケースの調達でしょうか。タカチのKC3-8-10に入るんじゃないかと思ってるんですが、どうでしょうか。

ヘッドホンアンプ設計・試作その1

ここのブログでは、付録のヘッドホンアンプの改造とか市販品の解析とかやってきましたが、そういえばオリジナル設計での製作とかやってないなーと思って、久々に新規で起こすことにしました。

というのも、昨日は金曜ロードショーでラピュタを観てたんですよ。せっかくなので音声はちゃんとモニタースピーカーに繋いで。しかも地デジで観るのは始めてなので、たぶん今までで最もハイクォリティなラピュタでした。
するとどうでしょう。ムスカとシータの声が、張りががあってすごい良い雰囲気を出してるんですよ。当時どんな環境で作ってたんでしょう。1インチテープのアナログマルチとかでアフレコしてたんでしょうか。これ音声もフィルムから起こしてるのかな? 光学録音も通ってるんでしょうか。記録系の非線形性のせいなんだろうけど、とにかく絶妙な歪っぽさがあって、こういう音もいいなって思ったんですよ。

まあここまで極端じゃなくっても、最近は低歪のデジタル録音でガチガチの音ばかりだから(まあこれはこれで高忠実度で良いんですが)ふと、アナログの飽和っぽい雰囲気がさり気なく盛り込まれた再生もいいなってことで、そういった要素を盛り込んだヘッドホンアンプを組むことにしました。

とはいっても、部品点数が多かったり、回路が複雑なものは再現度が低いですし作るのも大変です。
そこでピンポイントに必要箇所だけ抑えて、極力シンプルに回路を組むことにしました。

今回はなんと、抵抗器すら使いません。半導体とトランスだけ!!
電源は9V乾電池1個。


アンプ部分にはバランスドライバICのDRV134を使用。これはオペアンプのアンバランス-バランス変換回路とドライブ回路を1つのパッケージにまとめたICで、業務用のバランス出力に使われているものです。
スピーカー用のアンプICを使う手もあるのですが、それだとSN面で満足な値が得られないことが多いので、今回初の試みでバランスドライバを使ってみることにしました。外付け部品は基本的に要りません!

このICを使えばBTLと同じように電源電圧に対して倍の出力が得られるので電源面やSN面でも有利です。この出力をトランスを使ってアンバランスに変換します。
その際に、トランスならではの音の持ち味を活かせるようパラメータを設定します。隠し味が主張しすぎず、程よくなるように。
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最初はもうこんな感じで、色々なトランスを繋いでレベルや音質、周波数特性などをチェックします。
この時はまだ思いつくままに回路を実験している段階で、出力もモノラルです。
元々、電流駆動ぽいこともやってみたいな、なんて思ってたのでSense端子に帰還かけてみたりもしたのですが、結局はトランスを低インピーダンスで駆動したほうが良さそうな感じでした。


次の段階でようやくステレオに。
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さすがにモノラル、しかもステレオソースのLchだけ聴いてても限界があるので、手持ちのタムラのトランスでステレオ化して組んでみました。この時もまだ帰還やらタップをどう使うか試行錯誤をしていたのでミノムシ線だらけです。
ご覧のとおり、部品はトランスとDRV134だけで、他は何もありません。
電源はこの段階では安定化電源で±供給していますが、単電源でもいけそうです。電源GNDを浮かせてV+とV-に単電源を繋いでも、フィードバックのおかげか意外と普通に動くんですが、負荷が軽い時や歪率の面でちょっと不利みたいなので、追々はレールスプリッターでも噛ませようかと思ってます。抵抗分圧でも良いつっちゃ良いんだけど、今回は抵抗は1本たりとも使わない方向で!

とりあえず試作は出来上がりーって感じなんですが、これがまたいい雰囲気の音出るんですよ。ラピュタみたいに明らかな歪みっぽさを感じるわけではないんだけど、うっすらと低域が歪みはじめるあたりのレベルで動作させているので、大音量にするにつれて少しずつさりげなく歪んでいく感じというんでしょうか。高域の歪みではないので痛々しくはなく、聞こえづらい低音域を膨らませつつ聴きやすい具合になりそうです。

トランスはタムラは入手難しいし、専用設計してもいいけどコストが上がると作り辛いのでどうしようかと悩んでいたのですが、ふとサンスイのトランスを試してみると、全然問題ないというかむしろ丁度いい飽和具合。
もう少しチェックはしてみますが、多分サンスイで十分な品質が得られそうな感触です。19mmコアで済むのならサイズ面でも魅力的です。

サンスイのトランスなら、近年値段が上がったといえ600円くらいで入手できます。あとはDRV134が国内だと1000円弱と若干高いですが、この2つだけ揃えれば必要なのはあとコネクタと電池とレールスプリッター位なもんです。

ユニバーサル基板の上にちょちょいと組んで、トランスの持ち味を生かしたアナログライクな音が楽しめたら簡単で再現性も高く実用的で面白いんじゃないでしょうか。

プロフィール

fixer

Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
Twitter @fixerhpa
頒布中のバランスキット関連はこちら

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