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MCカートリッジの出力電圧レベル2

前回の記事で、DL-103のインピーダンスや出力レベルを実測して確認しました。

では、実際に音楽が記録されたレコードを再生した時にカートリッジから出力される信号レベルは一体どのくらいなのでしょうか?

というわけで、今度は実際にレコードを再生するとカートリッジからどのくらいの電圧が出てくるのかをチェックしてみます。


まずは基準となる信号レベルとして、1kHz 5cm/secのラテラル信号を再生してみました。
負荷はオープン(200kΩ)です。

1khz5cm.png
緑がRMS(実効値)レベルで、黄色がピークレベルです。

前半は参考用にナレーション部分を入れました。
1kHzの部分電圧レベルは0.4mVrmsです。仕様書では負荷の値が不明ですが0.3mVとなっていますので、開放でこの値なら概ね正しいといえるでしょう。



では次は実際に音楽を再生してチェックします。
MCヘッドアンプ等の設計で参考になるよう、なるべくカッティングレベルが高く、音の大きそうな盤を探して3枚チェックしました。


■浜崎あゆみのリミックス盤 TRAUMAから
この手のレコードは「ラウドカット盤」とかいうらしいですが、とにかく音が大きくてノイズが目立たないカッティングになっています。

カートリッジ直の信号
ayu.png
MCカートリッジの出力レベルは、仕様書の値から1mV未満のイメージがありますが、レベルの変移を見るとRMSで1mV、ピークでは5mVほどの値が観測されました。
RIAAイコライザを通す前の信号ですので、高域ほど記録レベルが高くなっている状態です。それではRIAAイコライザを通した後の信号も観てみましょう。


RIAAイコライザ出力(1kHz 5cm/sec ラテラル信号で400mVrmsに設定)
ayuriaa.png
※同じ楽曲中ですが、切り出した部分は同一ではありません。

ピークレベルは若干下がっているものの、概ね変わらない電圧レンジに収まっています。これは、楽曲において低域から高域まで万遍なく記録されている状態だと考えられます。マルチバンドリミッタのような現代的なマスタリングツールを使っているからというのもあるかもしれません。


続いて、別の盤も再生してみます。

■We Are The World 45rpm 30cm盤
45回転でカッティングレベルが高そうなので、これも再生してみました。


カートリッジ直の信号
weare.png


RIAAイコライザ出力
weareriaa.png

こちらは全体のレベルこそ大きくはないものの、カートリッジ直の出力では突出したピークが目立っています。これは高音のアタックの部分でしょう。RIAAイコライザを通すと均されて目立たなくなりますが、MCヘッドアンプ等では7mVp(14mVp-p)でもクリップしないよう考慮する必要があるということです。まあ、高域なのでクリップしても高調波は可聴外に追いやられて耳につくことも無さそうですが…。



■テラーク チャイコフスキー1812
これは大砲の音で針が飛ぶという大音量で有名な盤ですが、波形をみると…


カートリッジ直の信号
1812.png


RIAAイコライザ出力
1812riaa.png

RIAAイコライザ出力のピーク値では大砲部分で5Vpと最大値を記録したものの、それ以外の部分ではさほど大きなレベルではありませんでした。
意外や意外。ピークの取りこぼしの可能性も否めませんが、まあ実際は大砲の音は低音寄りなので、こんなものなのでしょう。



まとめ
レコードカートリッジでは基準出力電圧レベル(1kHz 5cm/sec ラテラル信号)での値に対してRMSで3倍、ピーク電圧で20倍近く(p-pだと40倍)くらいの電圧が出てくることがある。基準レベルが0.4mVrmsのカートリッジなら16mVp-pくらいは考慮する必要がある。

RIAAイコライザ出力では基準レベルのRMS値に対して12.5倍くらいのピーク値(p-pで25倍)以上のマージンを確保したい。

ヘッドアンプのゲインについては、浜崎あゆみのリミックスがCDと同等の音圧で記録されているとして考えると、入力換算で3mVp-pの信号をCDプレーヤのラインレベルの2Vrmsすなわち5.6Vp-pまで増幅するならば、1kHz基準で1870倍なので65dBくらいは欲しいということになるのでしょうか。
でも、これのゲインで大砲で歪まないためには18.7Vp-pくらいまでマージンが必要なことになる??
まあこのへんはボリュームで調整できる範囲に収まるようにするとか、うまく折り合いつけないといけないね。
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MCカートリッジの出力電圧レベル1

先日からちょこちょことレコードネタをやっていますが、そういえばMCカートリッジの出力電圧を測ったことがなかったので、調べてみました。
DENON DL-103で全域において出力インピーダンスが約40Ωでフラットだということはわかっていますが、実際に負荷を切り替えながらレコードを再生すると、出力レベルはどうなるのでしょうか?

使用したのはスイープ信号の記録されたテストレコード。1kHzを境に低域は2.5cm/sec、高域は0.25cm/secのRIAA特性で記録されているものです。
これをDL-103で再生し、出力をそのままオーディオアナライザへ入力しました。
スイープで周波数を拾いながらデータを記録するのは難しいのですが100Hzから20kHzまでなんとかデータをとってみました。

DL103_level.png

高域はちょっと怪しいですが、負荷を変えた4種類は概ね並行なグラフとなり、可聴域において定インピーダンスで安定して出力されているようです。
負荷Openに比べ40Ωでは出力電圧が約半分になっていますから、カートリッジの出力インピーダンスは約40Ωで正しいといえるでしょう。

スイッチングACアダプタのノイズ

掲示板で話題になった、秋月ACアダプタのノイズ測定の結果ですが、ここにも残しておきます。

IMG_0979.jpg

アダプタ1s


アダプタ2s



GF12-US1508(15V0.8A)超小型タイプ

DC出力

無負荷
GF12-US1508_noload.png



350mA負荷
GF12-US1508_350mA.png



二次側整流前の波形(クリックで拡大)
スイッチング波形のコピー


なお、気になっていたAC側との結合ですが、ざっと測ってみたところ20pFなどといく小さい値が出ました。
内部ではブリッジ整流後の-側と、出力の-に対して2200pFで繋がっていました。
試しにDC出力と対地のアースを結んでリーククランプで測ったところ電流は0.6mAほど。
通常のスイッチング電源の機器では0.1mAくらいはあったりするので、ACとの絶縁という観点では
優秀だといえるでしょう。



最後に、超小型ではない従来の通常サイズのタイプも出力のノイズだけ測ってみたので載せておきます。

NP12-1S1210 12V1A 通常サイズ
NP12-1S1210.png


iPodのイコライザ測定再び

5年前くらいに測定したiPodのプリセットイコライザの実測データがそこそこ需要があるようだったので、iOS7になった現行の環境で再測定してみました。
以前はブースト系のEQを掛けるとクリップしてしまい使い物にならなかったのですが、現行では全てのEQでマイナスゲインに設定されているので、音圧の高いソースやボリューム位置が高い状態でも正しく動作するようになりました。ただし最大出力が小さくなり音量不足になる可能性もありますが…。

それからiOS6から追加されたイコライザ「Late Night」にも注目です。
夜のお休み前に、みたいなことが書いてあったりするんだけど、なぜかただのフラット!

LateNight.png

その他の特性はこちらでご覧ください。

アナログレコード再生の歪率

CDだとカットされている20kHz以上の超高音域でも、アナログレコードなら記録されているので高音質!! なんていうアナログ信仰のバカげた話が蔓延しているので、レコードの超高域成分について調べてみました。

レコード再生で色々と苦労をしたことのある人ならわかると思いますが、可聴内の帯域であっても高域は歪との戦いで、丸針はおろか、針先の細い楕円針やマイクロリニア針を使ったとしても円周の短くなるレコード内周では厳しく、33回転の盤だと45回転のものより高域が伸びないことも実感できます。

では、レコード再生時のスペクトル分布を見てみましょう。
針は基準としてDL-103を使用しています。


まずは音楽を再生した時のスペクトル分布の例です。
DL103_music.jpg

CDを再生したときは22kHzを境にスパッと可聴外の帯域が切れるのに対し、レコードでは可聴外の帯域にかけてなだらかに減衰しています。
これが噂の「聴こえない周波数で高音質!」といいたいところですが、実はこのレコードはDENONのPCM2号機で録音された、PCMシリーズのレコードなのです。47.25kHz 13bitのレコーダで録音したものがマスターになっているので、23kHz以上の信号は存在しないんです。でもスペアナには現れている…



まあ、歪だよね。



ってことで、今度はテストレコードの20kHz信号のスペクトル分布を見てみましょう。
DL103_20kHz_1.jpg


あら、すごい高調波!!
THDにしてざっと20%くらいはあるようです。波形だとこんなに崩れています。
DL103_20kHz_2.jpg


ま、こんなわけでレコードから出てくる超高域成分は、ほとんどはただの歪じゃないかなーという感じでした。


ちなみに1kHzの場合はこんな感じです。
全周波数帯域と、切り出した波形を載せておきます。
DL103_1kHz_1.jpg


DL103_1kHz_2.jpg

1kHzの場合の高調波はそれほど多くなく、正確な測定は難しいもののTHDにしてせいぜい1%程度のようです。


まあ、1kHzの高調波は問題になるとしても、10kHzなら二次高調波で20kHzで既に可聴外なので歪として実感することはできないんでしょうけどね。
でもなんかノイズが混ざってたりと適当な信号が紛れ込んでるほうが高音質に聴こえたりするものなのかなー。それもある気がする。

可聴外の信号の記録品質で考えたら、ハイサンプリングのPCMが圧勝するのは明らかだよね。



※追記

RIAA EQ無しの20kHzの波形もみたいという要望があったので。
ヘッドアンプどうしようかと悩んだけど、アナライザ直で波形が観れて感激。負荷は600Ωです。

DL103_20kHz_nonriaa_2.jpg


DL103_20kHz_nonriaa_1.jpg


AT33PTG(マイクロリニア針)でのRIAA無しも取っておきました。
聴感だと明らかに高域や内周に有利なんだけど、測定結果だと差がわからないなあ。

AT33PTG_20kHz_nonriaa_2.jpg


AT33PTG_20kHz_nonriaa_1.jpg


フォノカートリッジの出力インピーダンス

最近またMCトランスとかフォノイコライザーとかレコード絡みの物を作りたいような気がしてきて、過去の記事を振り返ったりしていたところ、カートリッジの出力インピーダンスのデータを載せてなかったようなので、あらためて測定してグラフ化しました。

オシレーターの出力を50mV、インピーダンス600Ωに設定し、この先にカートリッジを接続。
カートリッジに掛かる電圧を測定してインピーダンスを算出しています。

DENON DL-103 公称インピーダンス40Ω
DL103_z.png


DENON DL-301II 公称インピーダンス33Ω
DL301II_z.png


audio-technica AT33PTG 公称インピーダンス17Ω
AT33PTG_z.png


MC型に関しては、いずれも可聴帯域においてフラットなのがわかりました。
基本的に巻数が少ないので容量分の影響を受けにくいのでしょうか。
ちなみにAT-33PTGはカタログ記載で直流抵抗も17Ωとなっていますが、測定値では20Hzから一気に落ちているようです。測定方法に原因があるのかもしれません。




参考までにVM(MM)タイプのようにインピーダンスが高いカートリッジについても調べてみました。

audio-technica AT15Ea
AT15Ea_z.png

こちらについては、可聴域のインピーダンスにかなりの開きがあります。
よって、ハイインピーダンス、低容量での受けが必要になるということです。

MOTU 896 MK3 Hybrid

IMG_0955.jpg

かつては使い分けたりしていたオーディオインターフェイスですが、数が増えたので整理することにしました。
バランス入出力である程度大きなレベルで出力できるAD/DAを備えたものがいいなってことで、MOTUの896 Mk3 Hybridにしてみました。
ラックマウント2Uで一見大きく見えるものの、奥行きは短いし、重さもあまり重くありません。
デジタル入出力もAES/EBUやADATもついているので何でも来いな感じです。

でもなんかノリで使う機器みたいで調べても入出力などに関する詳細な仕様が出てきません。
まあ新しい機材を手に入れたときはいつもそうなのですが、ひと通りのチェックをしてどんな仕様なのかを確認しておきます。
メモがてらデータを載せておきます。

なお、いままでよく使っていたFireface UCも手放そうかなーと思ってたのですが、なんかMOTUのソフトウェアミキサーだと、いままで出来ていたことが出来なかったり(例えば同じソースを複数のチャンネルに出力するとか)、インプットメーターが数値で出なかったり調整時に見づらかったり。
今となってみるとFirefaceはほんと良く出来ていたんだなーなんて思って手放すのが惜しくなってきました。

本当はガッツリなんでもできる896Mk3と、あとRolandかFocusriteあたりのバスパワーで動くようなお手軽インターフェイスがあればいいかな、なんて思ってたんですけどね。


ちなみにMOTUのフタを開けてみたんですが、あー、見なきゃよかったなって感じでしたw



ではRMAA(Right Mark Audio Analyzer)の結果から。
なんかアナログ最大出力をそのままライン入力に戻すとクリップしてしまうので、仕方なく送り出しをデジタルデータ的に2dB下げてテストをしています。テストファイルをWavで出力し、ProToolsに貼り付けて再生・録音しました。

MOTU Analog 1-2

どうでしょう。24bit/96kHzでデータを取ったからという理由もあるのですが、なかなかいい感じの特性ではないでしょうか。THD+Nの項目で変なスペクトルが散らばってますが、どうやらこれはアナログ出力で-6dBFs以上の信号を出した時に出てくるようです。気にはなりますが、歪率の数値的には全く問題ないので良しとしましょうか。


以下は個別にチェックしたインピーダンスやレベルのメモです。

MIC IN インピーダンス @1kHz

PAD OFF
2-3 2.35kΩ
1-2 1.3kΩ
1-3 1.3kΩ

DCR
2-3 3.1k
1-2 35k
1-3 35k


PAD ON
2-3 3.1kΩ
1-2 1.74kΩ
1-3 1.74kΩ

DCR
2-3 3.1k
1-2 35k
1-3 35k


LINE IN インピーダンス

PAD OFF
2-3 1.28MΩ
1-2 597kΩ
1-3 590kΩ

DCR
2-3 4.36MΩ
1-2 2.2MΩ
1-3 2.2MΩ

PAD ONでも変わらず



MIC IN 最大ノンクリップ入力

PAD ON 5V
PAD OFF 0.5V

LINE IN 最大ノンクリップ入力

PAD ON 7V
PAD OFF 0.8V


MIC IN 最小入力レベル(0dBFs)
PAD OFF GAIN MAX
1.1mV

LINE IN 最小入力レベル(0dBFs)
PAD OFF GAIN MAX
1.6mV


CMRR @1kHz

MIC IN
PAD OFF
89dB

PAD ON
40dB

LINE IN
PAD OFF
70dB

PAD ON
57dB



-----------------

analog out

最大レベル 0dBFs 96kHz

7.52V 19.7dBu 200kΩload

1-2 3.75V
1-3 3.751V

Zo=217Ω

たすき掛けではない

THD+N @997Hz 0dBFs
0.0033% 20-250kHz
0.0009% 20-80kHz
0.0011% 20-80kHz 600Ωload


ざっと参考程度にしてください。
こういった入出力の仕様を把握しておかないと、測定に使ったりする時は問題になったりします。
XLR入力もTRS入力も、ファンタムの有無と入力インピーダンスが異なるものの、可変ゲイン幅は一緒で範囲の広くなっていました。よくヘッドで歪んでしまう機器もありますが、このモデルに関してはメーターがクリップしない限りは前段でクリップすることは無いようです。
TRSはライン入力ですが実質は無負荷状態で、DIを兼ねているようです。

電力アンプとかいうやつ

ttp://bit-trade-one.co.jp/web/products/18_H-amp/index.html
ttp://bit-trade-one.co.jp/web/products/18_H-amp/index2.html
ttp://einstlab.web.fc2.com/CFHPA/CFHPA.html

ビット・トレード・ワンから発売した電流帰還ヘッドホンアンプとかいうやつ。
どの周波数においても同じ電力消費をするように制御するとかいうことで、一体どんな動作をするのか気になっていたものの、回路図どこにも書いてないし、さすがにそれだけのために一万円も払えないよなーとか思ってサイトを眺めてたところ、なんかサイトにある画像から回路図が書き出せそうな気がしたので書いてみた。
current_amp.jpg

出力に、ヘッドホンの公称インピーダンスの1/8の値の抵抗を直列に入れて、そこから正帰還をかけるというものらしい。
オペアンプの後にバッファが組んであるけれど、乾電池の±3Vの電源で駆動する程度なのにバッファ要るのかな? 無くてもいいんじゃね? ってことでそこを省略して回路組んでみた。

IMG_0953.jpg

正帰還のとこにジャンパー入れて、通常の電圧駆動と切り替えられるようにしました。
ヘッドホンはMDR-CD900STを使うので抵抗は8Ωに。


動作確認のため、1kHz 100mVのサイン波を入力して、負荷の抵抗値を切り替えながら出力の電圧を測ってみた。
「電力アンプ」の実測値と、60Ωの時の電力を基準にて定電圧駆動と定電流駆動の時の電力も算出して比べてみる。

power.png

すげー。負荷が変わっても自動で3mW台の消費をさせる動作をして、電力アンプ! している!



でも実際、ヘッドホンを定電力駆動することは何かメリットがあるのだろうか?
確かにアンプから電力的にフラットに見えると出力される音もフラットになる気もするんだけど、実際は消費された電力が全てロス無しに音波になって耳に入るわけでもなかろう。
少なくとも世に出回っているヘッドホンは電圧駆動なんかのいわゆる普通のヘッドホンアンプで駆動して動作させることを前提に設計、測定、試聴されて作られているんだろうから、ヘッドホンで消費される電力的にフラットになったところで、それが理想に近づくのかというと、なんだか疑問な感じ。
音を聴いてみると、インピーダンスが高いであろう高域がいつもより多く出ることで「ピキピキ」した感じに聴こえて、なんだかやかましいような。

まあでもそういった事情も含めて1つくらい持っていても、これはこれで面白いかもしれない。
3000円くらいだったら、買ってただろうになあ。

電力アンプ、今後はどうなっていくんだろう。ヘッドホンの設計も含めてトータルでやったら、設計の自由度が増して良い物が出来たりするんだろうか?

接続ケーブルの線間容量による高域低下

アナログ音声信号のライン接続を行う場合、通常はロー出しハイ受けになっているため、ケーブル長が数十メートル以上にならない限りはケーブルで高域低下を起こすようなことはありませんが、例えばエレキギターの接続に用いるシールド線なんかの場合はギター側の出力インピーダンスが数kΩと高いため、線間容量の低いケーブルを短距離で使用しないと高域成分が低下してしまいます。

測定器で周波数特性などを測る場合も、被測定物の出力インピーダンスが高い場合があり、この場合はケーブルの線間容量に気をつけないと、測定結果が正しくないものになってしまいます。

回路中から分岐した信号をアナライザに入力する場合や、二次側のインピーダンスの高いトランスの出力を測る場合などは要注意です。

線間容量の影響がありそうな場合はアナライザに最短で直結しますが、この場合はアナライザの入力容量(100pFくらいとか)の最低限となります。

とはいえ、毎回最短距離でハンダ付けしたりするわけにもいかず、被測定物とアナライザをどうしてもケーブルで接続しないといけない場合もあります。
この時、ケーブルの線間容量による影響を最低限にするため、なるべく線間容量の低いケーブルを探してみました。

XLRコネクタで差動で使うのに都合が良さそう、ということで通常のバランスライン接続用と同じ構造で、線間容量が低いAES/EBUのデジタルオーディオ伝送用のケーブルを見つけました。BELDENの1800Fです。信号線間の容量は約40pF/mと、通常のラインケーブルの数分の一に抑えられています。さすが高周波伝送用のケーブルです。

IMG_0950.jpg

1800Fで50cmのXLRケーブルを作成し、手元にあった通常のマイクケーブルと比較してみました。

IMG_0951.jpg


線間容量

BELDEN 1800F 50cm 29pF
CANARE 4E6S 60cm 89pF
CANARE 4E5C 150cm 216pF

というわけで、ケーブル長が短いこともありますが、BELDEN 1800Fを用いることで線間容量の低い接続ケーブルを作成することができました。



では、この3本のケーブルを用いて周波数特性を測ってみます。
オシレータの出力には抵抗を入れて送り出しインピーダンスを10kΩにし、負荷は200kΩです。

cable_cap.png

青 :BELDEN 1800F 50cm
水色:CANARE 4E6S 60cm
緑 :CANARE 4E5C 150cm

といった具合で、僅かといえばそれまでですが、測定結果に違いが出ることが確認できました。
送り出しインピーダンスが10kΩより高い場合は、さらにケーブルの容量、そしてアナライザの入力容量の影響を受けることになります。


てなわけで、送り出しインピーダンスが高い場合の測定においてはより正確な値を得るためにケーブルの質や長さに注意をしましょう。
オーディオ機器同士の接続でも機器の出力インピーダンスが高い場合は同様に配慮する必要があります。

Neumann W444STAのトランス

IMG_0949.jpg

Neumannのフェーダーユニットに入っていたライン出力トランスをチェックしてみました。
構成としてはディスクリートのオペアンプ回路の後に、ローインピーダンス駆動でこのトランスが入っており、出力される回路構成になっていまる。回路図はネットに転がっているので興味があったら見てください。

ローインピーダンスで駆動しているため、測定するにもなかなかクセモノ。
アナライザの出力を直に繋ぐと低域で過負荷になってしまいます。
とりあえずやれる範囲でやってみます。



周波数特性
送り出しインピーダンス50Ω、負荷10kΩにて
発振器出力+10dBuから-10dBステップで-50dBuまで
neumannFreq.png
なかなかフラットでいい感じです。
負荷によってはこれよりもっと高い帯域にピークが出来るようで、実際の回路には出力に直列にCRが入っています。変圧比は2倍ちょっとくらいです。




一次側からみたインピーダンス 二次側10kΩ終端 0.1Vにて
neumann_z.png
巻数は少なめなのか、低域にかけてけっこうなカーブを描いています。10Hzでは230Ωでした。



歪率
20kHzからオクターブ区切りで40Hzまで。
発振器出力は5Vから1mVまで下げています。
送り出しインピーダンス50Ω、負荷は10kΩです。
neumannTHD.png
例の「への字」が出るので、珪素鋼板コアでしょうか。
実際は50Ωよりもっと低い、0に近いインピーダンスで駆動されますから、歪は緩和されてもっと良い値に収まるのでしょう。



発振器出力のオーバーロードの問題ですが、どうやらコアが飽和した時の動作がいけないようです。
出力インピーダンス10Ωで二次側負荷10kΩのトランスを駆動した場合、10Hzで3.2Vが限界でした。
その時の一次側の電圧波形はこんな具合でした。
neumann_10hz.png

緑の波形はトランスを接続しない開放時の波形、黄色がトランス接続時です。位相はあわせていません。
開放時の電圧は3.2Vrmsなのに対し、接続時は2.24Vとなっています。
これだけ非線型な負荷になるため、瞬間的に大きなピーク電流が流れて過負荷になっているのでしょうか。




なかなか一筋縄にいかない難しいトランスです。
プロフィール

fixer

Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
Twitter @fixerhpa
頒布中のバランスキット関連はこちら

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