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ランティスのアニソン ハイレゾ音源4

ランティス最初のハイレゾ配信から1ヶ月。前回の配信ではミックスダウンが終わった段階のマスターファイルをそのまま配信する「TRUE STUDIO MASTER」でしたが、今回はマスターデータを最新の環境でハイレゾ形式にリマスタリングした「HD RENEWAL MASTER」らしいです。


本当はtwitterで見つけたラブライブのMusic S.T.A.R.T!!で「ダンスに合わせてキャラクターごとの音像を入れ替えているこだわりのPV」でキャラクターが画面上での並び順とスピーカーから出てくる並び順が違ってるとか、右側で歌ってるのに左から歌が聴こえてくるというネタが面白いんですが、これはもう少しお待ちください。


正直いい内容ではないので、サクサクッといきましょう。

購入したのは麻生夏子のダイヤモンドスター☆の96kHz 24bit版です。

まずはメタデーター
ダイヤモンドスターメタデータs

前回と同様、配信されたWAVにはしっかりとProToolsのメタデーターが残っていました。
メタデーターの情報からわかることは、

・このファイルはProToolsで出力されたものであろう
・配信日の2013/11/29 2:12と、早朝に生成されたものである

という2点です。

てか、ProToolsはどちらかというとミックスダウンまでの作業で使うシステムなので、普通きちんとしたマスタリングスタジオだったらProToolsでマスターを録音することは無いんじゃないかなと思うのですが、まあファイルの体裁を整えるために使ったのかもしれません。


CDとの比較波形
ダイヤモンドスター波形
この解説は以前の記事を見ていただきたいのですが、今回のこの曲に関しては比較的音圧の上げ方は緩やかではないかという感じがします。
しかし、ハイレゾ版とCDを比べてハイレゾ版の音が良いなと感じた場合でもハイレゾが良いのではなく「CD版は不適切な音圧処理で音が悪いものに仕上げられているからだ」といえると思います。


スペクトラム波形
ダイヤモンドスターspect2s

CD版との比較
ダイヤモンドスターspect3


これが今回の重要ポイントです。

サンプリング周波数が96kHzと高い値であることがハイレゾ音源の売りであるわけですが、ファイルに記録することのできる最大周波数は理論上、サンプリング周波数の半分までとなります。
CDですとfs=44.1kHzなので記録上限は22.05kHzまで。fs=96kHzのハイレゾならこれが48kHzまで記録できることになります。
しかし、スペアナの波形を観る限り何故かハイレゾ音源の記録上限は24kHz留まり。早い話がマスターファイルのサンプリング周波数がせいぜい48kHzで、これをハイレゾの器に入れただけだということです。
実際、古い音源ですとマスターがハイレゾでない場合が多いのですが、e-onkyoではこういった古い素材の場合ビクターのK2とかいう補完技術を使って高域を合成したりしているようです。まあこれがハイレゾと言えるかどうかは置いといて…。
少なくとも今回のは補完するでもなく、ただファイルサイズが無駄に大きくなっているだけといえるでしょう。

せっかくなので実際の波形を使って実験します。



サンプリング周波数が96kHzだけど、サンプリング周波数48kHz相当の音しか入っていないファイルを、サンプリング周波数48kHzにダウンサンプリングして、再度96kHzにアップサンプリングした場合
麻生夏子波形比較のコピーs

ご覧のように、48kHzにした段階で画面上では波形が荒くなっているように見えますが、96kHzに戻すと最初の波形と遜色ない状態に戻ります。48kHzにしても情報は減っておらず、もともと48kHzの器に入るデータしか存在しなかったことを意味します。


次に、48kHzの器に24kHzまでの信号が入っている本来の状態の波形を、今度はサンプリング周波数24kHzに下げ、48kHzに戻してみます。
麻生夏子波形比較2のコピーs
元々記録限界まで収められている信号の器を一旦小さくすると、記録信号のうち周波数の高く波形が鋭い部分が無くなってしまうことが確認できました。


ということで、96kHzのハイレゾでも見合った中身が入っていないとあんまり意味が無いよ。記録上限はCD版と殆ど変わらないじゃん? ということが確認できました。



あと気になった点は

波形を拡大して見た時の直感では、どうも高域成分が多いように感じられた。曲頭の部分は伴奏がなく声だけだが、歪系のエフェクトを掛けたような音がする。(まあ演出としては有りだけど)

ハイレゾの歌入り版とオフボーカル版のファイルサイズがサンプル単位で合致している。CD版と比べて音圧は5dBくらい低い。時間軸は完全に一致。これとProToolsのメタデータで歌入り版とオフボーカル版の生成時刻が5秒しか変わらないことなどから総合的に考えると

「リマスタリングしたわけじゃなくて、ミックスダウンしたデーターをランティスのプロデューサーさんが締め切り間際の早朝に寝ぼけ眼でアップコンバートのファイル変換しただけじゃないの?」

という推測をしたところで今日の話を締めたいと思います。



でもランティスさんがハイレゾ始めてくれたおかげでユーザー側もいままで気にしなかった音質の良し悪しに興味を持ったり、CDの音圧競争の問題や、わざと音を悪く作ってあることを実感したりとなかなか良い方向に動いているんじゃないかと感じています。

これをきっかけに今後、適正なレベル管理をされた音のよいCDがたくさん出回ることを期待しています。


ハイレゾ! ローファイ! ハイコスト!

早い! 安い! デカい!

(納期が! 制作費が! 音圧が!)


ということで、どれとは言いませんが世の中には粗悪なハイレゾ音源も存在するようですので気をつけましょう。
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いいニッパーの日

らしいので観賞用のニッパーを出してきました。KNIPEXとBARCOです。もったいなくて使えません。

いいニッパー


普段使いはHOZANがすきです。特にちっちゃいほう。
いいニッパー2

Suara The Best

Suaraさんの歌けっこう気に入ってるんだけど、ランティスのシングルのやつだと音圧上げすぎて痰が絡んだような声になってて聞いてて心苦しいなあと思ってたんですが、いつのまにかF.I.X.RECORDSからベスト盤が出てたのを知って即購入しました。しかもSACDハイブリッド。

さっそく再生するとCD層なのに素晴らしい高音質で、こんなにきれいな音を聴くのも久々だなーと思って、うっとりしながら聞いてたら右スピーカーから「バリッ」音割れというかビビリというか。
Tr.8の傘の01:12の「こ【こ】ろの傘を」の【こ】の部分が特にひどくて、他の部分もちらほらと。
Tr.2の星座も全般的にボーカルが歪んでいる感じです。

問題があるのはCD層だけで、SACD層だと大丈夫のように当初は感じたのですが、どうやら環境依存があるらしくて歪が聴こえないパターンもあるようです。でもスピーカーとヘッドホン、そして複数のプレーヤで歪は確認しました。再生音量によっても目立ったり目立たなかったりがあります。


それでは波形をチェックしていきます。


最初に、夢想歌を痰の絡んだ声のするシングル(ランティス)と、アルバムで比較です。

羽を手に入れて

こんな感じでシングルでは四角く潰された波形がアルバム盤では自然に上まで出ているので、音の潰れはかなり改善されており、Suaraさんも風邪が治って調子のいい声になっています。

しかし残念ながら完治してない部分があり、そこが音のビビリ(音割れ、歪と同義)が起こっていたのです。


シングルと比べるとだいぶ波形の潰れ具合(四角具合)も改善しているようにみえますが、全体でみると正直まだまだな感じです。
suarathebest5.png





これが「傘」の問題箇所です。

suarathebest1.png

波形を見る限り、別に0dBFSに達しているわけでもなく健全なレベル管理ができているように思えますが、もう少し拡大して見てみましょう。


suarathebest2.png


suarathebest3_2.png


suarathebest4.png

順々に拡大していったものですが、下側の右チャンネルのみ縦に筋が入っている部分があるのがお分かりいただけると思います。これは歪が発生して高調波が出ていることを示しています。
一番拡大した波形をみると右チャンネルのみ波形の頭が潰れてクリップしていることがわかります。これがビビりの正体です。

不思議なのはこのクリップレベルが0dBFSではなく-1.9dBFSとマージンを残した状態でクリップしている点。
0dBFSでのクリップなら無茶な音圧上げを要求されたことが予想できますが、マージンを残してクリップしているのは理由が考えられません。元々の素材がクリップしていて、少し音量を下げて収録したが、波形がクリップしたり、音が歪んでいることに気がつかなかったということでしょうか?

ソニー・ミュージックのチーフエンジニアさんも、低予算短納期でこき使われているのかもしれないのであまり強くは言えませんが、もうすこししっかりしてもらいたいものです。
オリジナルのADコンバーターADA-7000Rが真珠になっちゃいますよ。
どうか切実に宜しくお願いいたします。

この上ない高音質なだけに、とっても惜しい1枚でした。

デジタルオシロスコープを電子電圧計として使う

オーディオ機器の製作やトラブルシューティングを行うにあたり、デジタルオシロを持っているが、これの電圧表示機能で電子電圧計の代用ができないかという話題があったので、実際どのくらい使えそうなのかをチェックしてみることにしました。

近年のデジタルオシロスコープはかなり安価で入手できるようになり、波形を観る用途に加え、目盛を読むことなくピーク値やRMS値、平均値を数字で表示させることが可能です。

ちなみにデジタルのテスターでもある程度の交流電圧の測定が可能ではありますが、1kHzを超える周波数や100mVを下回る電圧では感度不足などにより十分な測定をすることができません。

デジタルオシロの場合は入力信号をAD変換してから波形表示をしているため、このデジタル変換された値を元に電圧値を算出することで、平均値から実効値を求めているような一般的な電子電圧計よりも正確な電圧値を得られる期待ができる反面、ADコンバータの分解能や、本来電圧を測る測定器ではないという点から測定値の確度に不安もあります。

というわけで、実際にアナログ信号の測定を行い、どの程度「使えるか」をチェックしてみることにします。


プローブを当てる前に、デジタルオシロでの電圧測定においてもう少し踏み込んで考えてみます。

■電圧の分解能について
手軽に入手できるデジタルオシロの分解能はレンジあたりせいぜい8bitです。すなわち画面上に最大で描いても255段階程度です。200Vの次の段階は201V。その程度だと考えられます。

■ノイズレベル
デジタルオシロの入力はそんなにSN比が良くありません。mVレンジだと信号を入れなくとも輝線が太くなります。この状態で信号を入れても当然線は太くなり、電圧を測ると線の太さの分だけ大きな値が表示されます。
しかし複数回トレースして、平均をとることでノイズ分を差し引き、線を細くするモードで電圧を測れば、より信号値のみの値に近くすることができます。

■精度はそんなに必要か
手持ちのデジタルオシロでは、表示される電圧値は3桁です。bit数から考えると有効桁数は3桁どころか2桁に踏み込んで来そうな感じです。
でも待った。「オシロで測った電圧じゃ精度が出ないよ」と簡単に言う前にちょっと考えてみましょう。
アナログテスタの精度はフルスケールで2.5%程度ですが、かつてはそれでも問題なく使っていました。
絶対的な確度についてはモデル毎や個体差について不安要素が残りますが、それは測定しやすい信号でデジタルテスタと照らしあわせてみることもできます。
どちらかというと必要な要素である、周波数と感度の関係についてはデジタルテスタを遥かに超える性能が期待できます。

なお、表示桁数ですが「これは3.14159265Vだ!」とか測定器の桁数自慢をする前によく考えてください。
下位桁まで正確に測定をするためには、測定器のスペックだけでなく測定環境についても十分に目を配る必要があります。

例えばインピーダンス600Ω出力のオシレーター(もしくは被測定回路)に1MΩ受けのオシロを接続すると、開放では1Vジャストのはずの信号電圧が1000000/1000600で0.99940036Vになります。
これをうっかり「999.4mVだけど、0.6mV足りないなあ」なんてやってたら間違いですし、無駄に多い桁数に踊らされるだけになってしまいます。

そういえばオシロスコープのプローブで×1の時は直結だとばかり思っていたのですが、直流抵抗で物により数百Ωくらいあったりします。200kΩ受けのオーディオアナライザにオシロのプローブつけて測っていて、「何かおかしいな」と思って調べたら、そんなこともありました。

そんなこんなで、一般的なオーディオ機器の製作や故障診断であれば、デジタルオシロによる電圧測定でも十分な値が得られるのではないかと思えます。

前置きが長くなりましたが、実際に測定した値を載せていきます。


■997Hz 1.228V サイン波
1_228v.jpg
オシレータで出力した信号をUSBオシロスコープSDS200Aで観測した波形です。
四捨五入された程度の正しい実効値電圧が表示されていることが確認できます。
当初1kHz 1Vで試みたのですが、表示される際に桁数が削られて確度が判断できないのであえて端数にしました。
なお、元の信号レベルの確度はこれを十分に上回っているはずですが…それはご容赦ください。


■997Hz 12.28mV サイン波
_36dB.jpg
今度は信号レベルを1/100に落としてのテストです。
SN比の問題で輝線が太くなってしまったためAverageを100に設定したところ、1.228Vの時と同様な細い線となりました。心配していた低い電圧の測定ですが、Average機能を用いることで問題回避することができました。



さて続いては、実際に周波数特性を測って、アナライザで測った電圧比と比較してみます。
測定対象として選んだのは、秋月のUSBオーディオDAコンバーターキットです。
PCM2704のデータシートによると出力は0dBFs信号時に641.8mVrms。許容誤差の最大幅だと500mV~700mVくらいになる可能性もありますが、いままで見た限りでは概ね640mV程度に収まっているようです。

設定ミスなどによる間違いを防ぐためにASIO4ALLを用い、Wavegeneで44.1kHz 16bit 0dBFsの信号を出力。ライン出力の電圧レベルを観測します。なお、PCM2704の出力インピーダンスは0に近いので負荷インピーダンスによる電圧降下は無視します。

オシロで電圧測定

周波数特性

20Hz近辺でグラフがクロスしていますが、これはデジタルオシロの分解能が10mVのため一気に変化しているためです。
オシロでの測定値は、おおむねアナライザでの測定値を四捨五入した値となっており分解能の限界を除いては問題がないといえるでしょう。
ちなみに630mVと640mVの差は0.14dB程となります。これ以上の分解能が必要となる場合は電子電圧計が必要ということになります。


実は、実験をしていた時に「オシロのほうが良い」ことがひとつありました。それは10Hzを下回る低周波の測定です。
カップリングをDCにしないとレベル低下が起きてしまうのはオシロスコープでもオーディオアナライザでも一緒ですが、ここまで低い周波数となった場合にアナライザでは外部信号に対してうまくトリガがかからず、計測値が暴れてしまうため例えば4Hzなら計測間隔を0.25秒などと設定する必要がありました。しかしこれでも正確に同期しているわけではありません。そもそも針式のメーターでも針を止めて読むことは無理な周波数です。

にもかかわらず、オシロなら簡単にトリガがかかり、安定した値を読むことができました。こういった低周波信号の電圧測定が安定してできることはオシロスコープのメリットだと実感しました。



以上、実験してみると「思ったより使える」という結果だと思うのですが、いかがでしたでしょうか?

今回はリファレンスとして、どこの家庭にもある「秋月USBDAC」を基準として使いましたので、皆様もぜひデジタルテスタや他のオシロ、電子電圧計など、さまざまな測定器で出力レベルを測ってみてください。
ご報告をお待ちしております。

量子化ビット数24bitの意義

ハイレゾ( オーディオではハイサンプリングはともかく24bitの分解能を持ったソースが当たり前になっています。16bitでは96dBまでしか扱えなかったダイナミックレンジが24bitでは144dBまで拡大し、音の粒がきめ細やか( とかいいますが、実際の再生ソースにおいて24bitの分解能に意味があるのでしょうか?

例えば制作環境の場合はマルチトラックで録音した素材に対して部分的に大幅な音量拡大をしたり、イコライザーやコンプレッサーを始めとしたデジタルベースでの演算処理を行うので、最終的な状態で16bitの解像度を確保するためには少なくともこれを上回る解像度の素材が必要であることは容易に理解できます。
これは、たとえば画像処理において後々切り抜いたり明るさを調整することを見込んで、あえて画像サイズを大きく、16bit深度の分解能で撮影をしたりするのと一緒です。

最終的な音楽ソースとして再生をする場合、例えば14bit以下だったりすると音が小さい部分やフェードアウトの部分でチリチリという量子化雑音がノイズ音として聞き取れてしまう場合があります。
しかし、16bitを常識的な録音レベルで使用していれば、分解能不足を感じることはまずないと思うのですがいかがでしょうか?
ちなみに先日のハイレゾ音源でも曲頭の部分でディザと思わしき成分が-100dBで振っていますので、16bitから下位の桁はほとんどノイズであるといえるような気もするのですが…。


さて、今回記事にするのはもうひとつの懸念事項である、ハードウェアの問題です。
実際に音楽を聴取するときに使用するDACですが、本当に24bitの分解能を持って出力することができているのでしょうか? ダイナミックレンジが144dBなら、下位桁はμVオーダーの重みとなりますが、オーディオインターフェイスはこの重みの差を表現できているのでしょうか??


テスト環境として用意したのは、オーディオアナライザーのデジタル出力からFirefaceUCに入力、入力ソースをそのままデジタル出力およびアナログ出力にルーティングし、双方をオーディオアナライザーの入力に接続します。
オーディオアナライザでは997Hz -60dBFsのサイン波を出力。サンプリング周波数48kHzにて量子化ビット数を24bitと16bitに切り替えながら、アナログ出力の信号をスペクトラムアナライザでチェックします。

最初に、デジタル出力での波形のチェックです。
これはオーディオインターフェイスの入出力間でノイズ等が混じることなく、きちんと分解能が出ているかの確認です。

digital_reso.png

ご覧の通り、16bitの時はノイズフロアが-120~-140dB程度であるのに対し、24bitにすると-180dBまで下がり、ビット数が増えたことによる信号品質の向上が確認できます。



続いて、アナログ出力の確認です。
Fireface UCのライン出力レベルは切り替え式ですが、出力レベルが高いほうが特性的には有利ですので、Hi Gainで測定します。0dBFs=7Vrms程度です。

analog_reso.png

ご覧の通り、16bitの時はデジタル出力と変わらないノイズフロアが確保できていますが、24bitにおいては、その分解能をカバーできるほどの性能がDACにはない(というかアナログ回路的にかなり難しい)ため、わずかにノイズフロアが下がったことは確認できるものの、24bitの分解能を有効に出力しているとはいえない状態であることが確認できました。


という具合で、最初の実験では1kHz -60dBFsの信号に対する量子化誤差が、どのようにノイズフロアとして現れてくるか、またアナログ出力の残留ノイズに対してそれはどのくらいの量であるのかについて確認をしました。



次に、24bit分解能での最下位1bitの変移が出力に現れているかどうかのチェックです。

997Hz、下位1bitのみ変移する信号を生成して、先ほどと同様に出力信号を確認します。
サイン波として出力しましたが、下位1bitのみの信号ですから実質的には矩形波に近いような信号です。


1bit.png

ご覧のように、デジタルデータとしては歪成分が多いものの997Hzのスペクトルがはっきりと突出しているのが確認できます。
一方、アナログ出力においては歪などの成分はすべてノイズフロアに埋もれてしまっているものの、最下位1bitの信号が一応出力されていることが確認できました。


ちなみにデジタル出力を観測している状態で、信号源に1bit変移のディザを加えたのが以下の波形です。
dither.png
歪み成分が分散され、最小レベルの信号としては一番良い状態だといえるでしょう。






コメントで教えてもらった、トランジスタ技術の24bitオーディオ特集の号を買ってみたのですが、サンプリング周波数や周波数帯域についての記述が多く、ダイナミックレンジに関する記事があまりなかったのでちょっと実験してみました。

以上を踏まえて、24bitのハイレゾ( の音楽配信については技術的に意義があるのかどうか…
一体どうなんでしょうね?

まあ、下位のビットでディザという名目で好きなランダムノイズを加えることで、あたかも高音が出て音場が広がったような錯覚を演出する、なんてことは可能かもしれませんね。

ランティスのアニソン ハイレゾ音源3

えーと、いままではラブライブのシングルCDとハイレゾ音源で比較をしていましたが、ベスト盤のアルバムCDを買ってみました。ここんとこずーーーーっとラブライブばっか聴いてたのでハマったのです。
そろそろ気の毒に思い始めたんですが、一応レポートを載せてきます。

まず、シングルとアルバムでは音質、というかデータ自体が全く違います。
アルバムのほうが音圧がさらに2.5dBくらい大きく、波形は潰れまくっています。18サンプル連続でフルビットに貼りついてたり…。

波形はこの通りのガッチガチ。クリップのログがほんの2秒ほどで上限の2000に達してしまう始末w

インターサンプルピーク001

ジャケットにマスタリングスタジオやエンジニアの名前が書かれていないのですが、これじゃあ書けないよなぁとか思いつつ、
しかし驚くことに、シングルCDやハイレゾ音源よりもアルバムのほうが音圧面以外では音が良いのです。
中域の変なピークは無いし、低域のバスドラなんかも歯切れよく聴こえる感じがします。
再生した瞬間、「あれっ?」と思ったんですが、3つの中では一番周波数帯ごとのバランスがいい感じです。

じゃあアルバムのクリップ歪を修正すれば一番の音質になるんじゃないかと考えたわけです。


使うソフトはもうおなじみとなったiZotope RXのdeclipツールです。
処置前3001


こんなにベッタリと張り付いたクリップ歪も
処置前2001


この通り、予測して見事に修正してくれます。
処置後3001
※補正した分、全体の音量が下がっています。


CD1枚の全体だとこんな感じに。
処置後4001


元のファイルと並べて比べてみます。
処置前後001

クリップして失われていた部分はおおよそ7dB。
早い話が、レベルメーターが最大の0dBまで振っても、さらに構わず7dB突っ込んであったということです。
そりゃあ音圧はデカくなるだろうけど、グチャグチャになって音割れるわー。


待てよ? 7dBのレンジ増加ということは元のCDのデータの解像度を残したまま修正するには2bitの追加が必要だ。ということは、44.1kHz 16bitのCDから、44.1kHz 18bitのハイレゾデータが抜き出せるぞwwwww


なんて喜んでいたのもつかの間。
修正し終わったデータを、元のものと比較試聴しても殆ど音が変わらない。歪んでるとこは歪んでる…。
なんでだろう。Pure2の時は文字通り「劇的に改善」したのに。これでは意味がない。
まあ、一番最初に予想していた通り、マスターでなく素材の段階で素手に前段階として音圧を上げて、歪が発生しているんだろうなあ。そうやっていかないと、最終的に欲しい音圧にならないからなんだろう。
どの曲だったか、サックスの音の歪み具合は酷かった。

困ったなあ。マスタリングの段階で音を潰しているだけなら、ハイレゾ用にマスタリングをやり直すか、もしくはマスタリング前の素材を聴くことでハイレゾ効果が得られるが、この楽曲のように最初から音圧有りきでミックスダウンされたものであるのなら、ミックスダウンからやり直さないとダメってことになっちゃうね。

なんだかなー
別に特別なものを要求しているわけじゃなくって、普通に楽器の音が不自然に見え隠れせずリズムを保って聴こえて、音が歪んでなければ良いだけなんだけどねえ。

制作側の人だって、この状態が良いとは決して思ってなかったりするんだけど、この裏には色々な事情があるんだろうね。
この悪循環から抜け出すにはユーザーが音のデカさだけではなく、これらの音の良し悪しを感じ取ってフィードバックできるようにするしかないんだろうなあ。
音の良し悪しってのは、ただ「なんか音悪いなぁ」と思っても的確に何が問題であるかを把握することが難しいので、なるべく定量化して問題を提示し、良い音悪い音の聴きどころを掴めるようにしていけたらなーとか思っています。

ランティスのアニソン ハイレゾ音源2

CDで音圧を大きくすること自体は悪いことではないんだけれど、副作用には気をつけないといけない。
雑に音圧を上げた場合はクリップ歪が発生して音割れになる問題と、ボーカル等の大きな音に対してコンプレッサーが深く掛かることにより、伴奏の部分が不意に音量が抑えられてしまうことでリズムが揺らいでしまい、音楽が不快なものになる問題がある。

Amazonのレビューを見ていたら、とても興味深い指摘を発見した。
http://www.amazon.co.jp/review/RTALCD4W2DG61/

内容的には、ベースの音のタイミングがズレてる場所があるよ。打ち込みをやる時に16分音符のグリッドで作業して間違って音を置いてしまったんじゃないの? という指摘です。

実際にこの楽曲を聴いてみれば音楽的な知識はなくても、なんとなく違和感を感じることと思います。

私も最初は打ち込み上のミスかと思ったのですが、試しにOffvocalトラックを聴いてみると、そこまで間違っているようには聴こえないのです。
じゃあ何故かな? と考えたところ、おそらく違和感を感じる部分の直前の音と同時にストリングスの音が鳴っていることで、この音にコンプレッサーが反応してベースの音をマスキングしてしまうとともに、次のベースの音とストリングスの音が混ざってしまい、あたかもベースの音がズレているように聴こえてしまうのではないかと推測しました。


ベースのパートをざっと書き出してみました。色の反転している音が聞こえづらい音で、その次の長い音がタイミングが間違って聴こえている音です。
夏色えがおでマスキング


本来はミックスダウンの段階でパート別の素材に対して処理を施すべきなのですが、ステレオミックスされた後であっても、多少は修正する方法があります。


過去の記事と同様の方法ですが、ピンポイントで音量を操作することで、潰され均されてしまった楽器の音に、あらためてメリハリを付けることで違和感を軽減することができます。

夏色えがおでベース修正

こんな感じで、前倒しで聴こえてしまっている音に対して、本来鳴り始めるべき位置でボリュームを瞬間的に上げてやれば、あたかも音の位置が移動したかのように修正することが出来るのです。



ちなみにハイレゾ配信されている楽曲の試聴音源を再生して波形を並べてみたところ、他の楽曲も軒並みベッタリな感じでした。ハイレゾ波形比較のコピー
画像クリックで拡大

参考用に同じe-onkyoで配信されているピンクレディーのペッパー警部のハイレゾ版の波形も載せましたが、こちらはアレンジの違いはあれど、レンジの取り方は適切のように感じられました。
また、その隣の「Shape My Story やのあんな」はポニーキャニオンの曲で波形自体はガチガチに見えますが、音を聴いてみると音圧はラブライブに余裕で勝つくらい高いものの、音楽としては破綻していないように感じられました。アレンジとの相性やミックスなどもきちんと管理して仕上げれば、副作用少なく音の大きい音源を作ることも可能なようです。


本来ならこういうことは制作時にしかるべき立場の人が気づいて適切な処置をしないといけないんでしょうけど、どうなっているんでしょうね。
信号品質はおろか、音楽性を失ってまで音圧を上げたいんでしょうかねぇ。

ランティスのアニソン ハイレゾ音源

ハイレゾ音源のDL販売サイト、e-onkyo musicから、ついにランティスのアニソンが発売されました。
J-POPを置いて先にアニソン来たか! って感じですが、興味深いのは販売される音源が普通のリマスター盤ではなく、マスタリング前の素材をそのまま配信するという点。紹介記事には 「TRUE STUDIO MASTER」はスタジオにて、エンジニアによりミックスダウンされたマスターファイルを手を加えること無くそのまま配信するもの。 と書かれています。
CDになる前の、ミックスダウンされた素材が直接聴けるという興味深い点もありますが、もっと気になるのは、今回こうやってマスタリング前の素材が「高音質です」ということで販売されてしまうと、「マスタリング=音を悪くする」とか、マスタリングの存在意義が問われることになるのではないかという心配の面でもあります。

本来のマスタリング作業は、ミックスダウンの段階ではその場の最高の音を目指して、マスタリングでは販売される形式の器に合わせて調整しますよ。っていうのが綺麗事だと思うんですが、まあ実際は(音質を犠牲にしてまで)音圧を上げる役割だったり、ミックスダウンの時に出来なかった不満を修正するとか、そういう感じになりつつある面もあるようです。

CDの音圧戦争はまだまだ続くようですが、特にランティスのCDは波形がクリップして音が割れてもそのまま販売しちゃってクレームも無視しますよ、って感じらしく、Amazonのレビューなんか見ると悪評で酷いもんです。

これだけ不満を感じる人がいても、販売側は「歪んでなんかないよアンタの機械がデタラメなんだよ」と思い込み、疑わないようです。もしかしてスタジオのスピーカーの前に歪を取るノイズリダクション装置がデフォルトで挟んであるんじゃないかと思うくらいですw

さてさて、そんな現状の中で始まったランティスのハイレゾアニソン販売ですが、いったいその音質はどうなのか? 早速購入して試聴そして解析してみることにしました。


購入したのはラブライブの「夏色えがおで1, 2, Jump!」と、「Mermaid festa vol. 1」のOff Vocalトラックを含んだ計4曲、1600円です。試聴してMermaid~が気に入ったのでコレにしました。
e-onkyoは始めてですので、会員登録をしてクレジットカード決済で購入しました。購入自体は簡単ですが、驚いたのは購入後1週間しかダウンロードの権利が無いという点です。ファイルが消えたらお終い。さすがにどうかと思いました。


さて、曲のレポートの前に、まずはファイルの詳細から。
ダウンロードしたWAVファイルをバイナリエディタで開いてみます。
メタデータ

するとProTools(世界標準のレコーディングソフト)の文字が!
というわけで、メタデータが残ってるんじゃないか!?

夏色えがおでメタデーター

早速ProToolsで開いてみるとご覧のとおり、本来のファイルの作成日時や時間軸情報が残っていました。
このファイルは2011年の5月と7月に録音されたものだということがわかりました。(深夜にご苦労様です)
CDが発売されたのが2011年の8月ですから、それに合わせてミックスダウンされたファイルが「本当にそのまま」販売された「TRUE STUDIO MASTER」であることが確認できました。

なんかもう、こうなったら一般宅にもProToolsを配備して、購入したハイレゾ音源をそのままProToolsに貼り付けて、時間軸もオリジナルと一緒にして、小節数でも数えながら聴いたらいいんじゃねーかと思うよねw

ちなみに、夏色えがお~のテンポはBPM170で、Mermaid~はBPM127でした。
デジタル環境で制作、出力されたファイルなので時間軸も完璧に正確。再生しながらクリック(メトロノーム)を鳴らしても、全くズレることがありません!


ではお待ちかねの波形比較です。


曲全体
波形比較1


部分拡大
波形比較2



えっ!?

「ダイナミックレンジを最大限に表現するためにCD音源より音量が若干小さくなっております。」

じゃなかったの??????
普通にレベルガチガチじゃんwwwww

実際に聴き比べてみても音圧の差はほぼ無いに等しく、VUメーターでサビの部分をチェックしたところCD版が約0.5VU(dB)ほど大きく触れるものの、これでは差があるとはいえません。

音質としてはファイルを並べて切り替えて聴くと、ほぼ違いはありませんが、CD版のほうが、若干中域が持ち上がって、高域が出ていないラジオっぽい音質に感じられました。マスタリングで弄ったのでしょうか?

これでは正直なところ「ハイレゾ」とは名ばかりで、わざわざ購入することに意義のあるものとは思えません。

まあ、いまどきはミックスダウンの段階でも「最終的に音圧を上げること」を意識して作ったり、既にミックスの段階でマキシマイザーを掛けて音圧を上げちゃったりするみたいなので、予想できた範囲なんですけどね。

やっぱり、ハイレゾ配信するならミックスダウンやり直さなきゃいけないんじゃないのー?


で、感覚的なことばかり書いても信憑性が無いでしょうから、データを載せていきます。

まずはスペクトラムアナライザでの周波数特性の比較から。
曲全体で平均を取って、CD版とハイレゾ版での違いがあるかチェックします。

夏色えがおスペアナ

はい。
CD版のほうが中域が出ている感じ、しっかりスペアナで確認できました。
200Hz~1.2kHzくらいの帯域で2~3dB程度持ち上がっているようです。おそらくマスタリングで持ち上げられたのでしょう。
また、気になるのがCD版の16kHz近辺で変なスペクトルが曲の終始通して出ている点です。
これはPure2の時と一緒ですが、おそらくテレビの水平走査周波数の15.75kHzがノイズとして干渉してしまったことと考えられます。マスタリングの際にTVの近くにケーブルを通って拾ったのではないでしょうか。
せっかくProToolsでデジタルで作ったのに、マスタリングで一旦アナログにしたんでしょう。アナログ処理による弊害は時間軸でも表れました。

波形比較3

2つのファイルを並べて同時再生した場合、イントロの部分では同時に鳴っていても、曲が進むにつれてだんだんとズレが生じてきます。約4分間の曲が終わる頃には10ミリ秒ほどのズレが発生していました。速度偏差で約0.004%。BPM170のテンポの曲が170.0068とかに狂った状態です。
まあー、A=440Hzの調律が440.0176Hzになる程度だから、まず問題にはならない誤差ですが、「マスタリングのクロック精度はルビジウムで高音質!」なんて現在の風潮を考えると、この精度は疑問ですね。


さてさて、だいぶ細かいどうでもいい話に走ってしまいましたが、本題に戻りましょう。

今回のハイレゾ音源に意味があるかどうか。

私はNoだと思います。いくらハイレゾつったって、元の録音が良くなければ全く意味がない。ハイレゾじゃなくたって、これより音の良い(というか、音の悪くない)CDはたくさんある。もう少し基本をきちんと抑えて欲しい。

比較したCDおよびハイレゾの音源について、今回の楽曲ではあからさまなクリップ歪は確認できなかったものの、曲中では酷い歪みとしてしか聴こえない箇所が存在する。Mermaid~のサビの部分のコーラスなんで明らかに「ジャー」という歌声とは思えない音になっている。こういう表現だといわれればそれまでだが、これはいただけない。

ちなみに、ブログでも過去に何度か記事にしているけれど、こういった音の悪い録音物を自分で修正して治す方法もある。
試しにやってみたのは、まず歌入りとOff Vocalで引き算をして差分を取ってボーカルトラックのみを抽出。このトラックとOff Vocalトラックを使って、ミキシング作業をやり直すというもの。素材が一旦分かれることで潰された音圧や音質を聞きやすく取り戻すことができる。
抽出したボーカルはノイズ除去ツールで歪を取ってから、イコライザで周波数のピークを削り、音量の抑揚を部分部分で書きなおす。元の音が細いので広がり感を出すためにリバーブとコーラスを薄くかける。
オケのトラックは、聴き心地がよくなるようにEQを掛けた後、音量を細かく調整する。歌のある部分はオケを下げて音が喧嘩しないようにする。こうして素材を整えた上で再度ミキシングをすると、素人なりでも「なんとなく高音質な」ものに仕上げることが可能だ。

ラブライブのコピー


複雑だけど、やってることは「iPodで好みのイコライザをかけて聴く」の延長上みたいなものだよね。
制作側がこだわって完璧に仕上げた音楽作品が、ユーザー側にとって不満がある場合は、ユーザー自身が好きなように変更して聴けばいいのかな?



なんか、すっごい複雑な事になってしまったけど、一言でいえば「ハイレゾ配信くらい音圧戦争やめれ」というだけなんだけどね。


れこ×たて どんな音楽もグチャグチャにミキシングしちゃうレコーディングエンジニア V.S. どんなクソ音源もなんとか聴けるように修正するオーディオマニア とかやったら面白いかもねw



過去記事
邪王心眼で学ぶ自宅マスタリング術
Pure2のノイズで学ぶ現代のオーディオ修復技術

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