イヤホン3線4線占い(仮)

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ヘッドホンやイヤホンをバランス化する際に、元々ついていたステレオプラグを切り落として4極のコネクタに変更する必要がありますが、この時、ケーブルを切った中に3本しか線が入っていなかった。こんなことが有り得ます。
例えばMDR-CD900STの場合はユニットから出ている線が3芯ケーブルですので、このヘッドホンをバランス化する場合はケーブルを4線のタイプに変更する必要があります。
ヘッドホンの場合はまだ分解が容易な場合も多いですが、イヤホンの場合は最悪ケーブルの継ぎ接ぎを強いられることになります。

そこで、ケーブルを切ってしまう前に3線なのか4線なのか(3芯or4芯)を判別する装置を作ることにしました。




■回路図(画像クリックで拡大)
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原理としては、イヤホンのプラグのGND端子からR端子に掛けて0.5mAの微小な直流電流を流します。その上でGND端子とL端子間の電位差を測ります。イヤホンケーブルが3線式の場合はGND線が共有されているため電圧降下分が検出されますが、4線式の場合はGND線を左右chで共有しないため、共通インピーダンスはジャックの接触抵抗のみとなり、電圧降下はほとんど検出されません。
この特徴を利用して3線なのか4線なのかを判別する仕組みとなります。

具体的な数値を挙げますと、プラグとジャックでの共通インピーダンスは数十mΩ程度、ケーブルでの共通インピーダンスは物によって開きがありますが、数百mΩ以上はあるようです。
検出のために流す電流は、イヤホンへの影響を考えると極力少なく抑えたいところ。テスタの抵抗測定レンジを参考にし、なるべく小さくして0.5mAとすることにしました。0.5mAの電流を流した場合、10Ωのヘッドホンでは電圧にして5mV、100Ωのヘッドホンなら50mVを印加した状態となります。

これらの状態で共通インピーダンスでの電圧降下を測るのは、かなり厳しい条件であることがわかります。
たとえば1Ωの抵抗があった場合、電圧降下はV=IRより0.5mA*1Ωですから、0.5mVの電圧降下となります。実際の判定にはもう一桁、100μVくらいの分解能が必要ではないかと考えます。
これだけ微小な電圧信号を扱う場合、通常のオペアンプではDCオフセットなどの誤差分に埋もれてしまい十分な測定ができません。そこで、ゼロドリフトオペアンプという特に高性能なオペアンプを用いることにしました。

試作段階で40cmほどのリッツ線を2本まとめたもの(つまり3線ケーブル20cm相当)の検出に成功しています。抵抗値は実測値で180mΩ程度でした。回路が理想通りに動作した場合、150mΩ以上の共通インピーダンスがあれば3線であると判断されます。


動作テストに使用したリッツ線
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これが長さ約40cmの4芯リッツ線を使って、イヤホン接続を模擬したものです。イヤホンの抵抗分はさしあたって無視して問題ないので、ユニット部分は短絡させます。これを4線の状態とし、4本全てをショートさせると3線の状態となります。スイッチで3線と4線を切り替えられるようにしました。長さ40cmでGNDラインは2本を並列にしていますから、3線でかなり線長が短い状態と同等になります。



あとは実際のイヤホンやヘッドホンを用い、どれだけの精度で判定できるかを確認し、問題があれば回路を再検討することになります。

イヤホン、ヘッドホンのインピーダンスは一般的な100Ω以下のものを想定していますが、インピーダンス250Ωのヘッドホンでも検出が可能でした。

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この「イヤホン3線4線占い(仮)」の試作機は秋葉原の三月兎二号店様でお試しいただけます。占いがどのくらい当たるか現段階では謎ですが、バランス化の際にお役立ていただければ幸いです。

なお、キット化するかどうかについて現段階では不明です。



以下、サンプルとして頒布した数名の方々へ製作に関する参考用となります。基板の配線を一部変更する必要がありますので、下記の写真を参考に配線してください。

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にしやまさん企画「お手軽Mix体験」

ホニャララねずみファクトリーのにしやまさんとtwitterで話をしていて実現した「お手軽Mix体験キット」

「いい音とは何」とか、「適正な音圧は」みたいなそういう疑問から始まって、じゃあ素材提供するから自分でミックスマスタリングしてみろよ的な感じで、貴重な楽曲の素材をいただけることになりました。
こういったミキシング前の素材を手に入れることができる機会はとても貴重です。普段は聴くだけの立場の一般の方も、フリーソフトのDAWを使ってミックスダウンの作業を経験してみることで、「良い音とは何か」について少しでも何かを知ることができるキッカケになるんじゃないかと思います。
また、にしやまさんによる見本のミックス、そして参加者のみなさんのミックスを聴いてみて、それぞれが何を重視しているのか、何を良しとするのか、それぞれ個性のある表現を感じとってみてはいかがでしょうか。

本当はリアルタイムでTLを追うととてもおもしろいのですが、こちらのまとめもある程度様子がわかるので載せておきます。

にしやまさん企画「お手軽Mix体験」

ベタGND vs 一点GND 音質比較用プリント基板セット

基板セット



例の評価基板と同じ回路のまま、私なりに設計した1点アース基板に加え、ベタGNDの基板を比較試聴できるように準備しました。
バランスキット同様、三月兎さんに販売委託しています。
http://www.3-get.com/index.php?main_page=product_info&products_id=2979



委託販売は秋葉原 ラジオデパート内 家電のケンちゃん に変更となりました。
http://www.kadenken.com/shopbrand/ct77/


基板のパターン引き回しについては諸説いろいろありますが、実際に聴き比べる機会はまずありませんでしたので、ぜひこの機会にご体感ください。
誰が聴いてもはっきりわかるくらいの違いがあると感じました。

電子回路としてより理想的に動作するのは1点アースのほうだと考えていますが、オーディオの音の好みとなった場合、もしかするとベタGNDのほうが良いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

また、この2種(例の評価基板を入れると3種)の他にも、もっと音のよい基板を作ることも可能かもしれません。ただ、音の良し悪しとなってくると実際は基板のアートワークだけでなく、回路構成やパーツの選択なども絡んで総合的に仕上げる必要はありますが…。

もし、この2種類の基板より魅力的な基板を作成できる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参戦ください。キットとして発売しましょう。



関連記事
JRC MUSES8832 評価基板
みんなで作ろうHPA基板




※回路図中のSiCショットキバリアダイオードは2014年10月時点で(秋月電子にて近日発売予定)とされていたものです



高音上げすぎ宇多田ヒカルのハイレゾ、だはー

宇多田ヒカルのハイレゾ音源が、First Love [2014 Remastered Album]に続いて第二弾ということで
Utada Hikaru Single Collection Vol.1 [2014 Remastered]とUtada Hikaru Single Collection Vol.2 [2014 Remastered]の2作品が配信開始されました。前回は見事なニセレゾでしたが、今回はいかがでしょうか!?

こちらのハイレゾ音源は商品ページに書いてあるように、曲によってマスターがアナログハーフだったり、96kHz 24bitのWAVだったり、それに満たない48kHzや44.1kHzのWAVファイルだったようです。2000年近辺でProToolsでマスターでWAVファイル使ってるというのはちょっと怪しい感じもするのですが、まあそのへんは置いといて…。

とりあえず買ってみるとしても1曲だと514円、アルバムで4525円もしますから、さすがにお金をドブに捨てる結果になるのではと躊躇ってしまいます。

なので、とりあえず試聴音源(圧縮されている)を試聴して、当ハイレゾ音源の価値を判断してみることにしました。
前回の記事とあわせてご覧ください。


Automaticという曲は前回配信されたアルバムにも入っていますから、この曲を試聴してリマスタリングの傾向を判断することにしました。


聴いた印象はtwitterに書いたように


「音がでかい」

「高域がうるさくて耳が痛い」


の2点につきます。これを波形でチェックしてみます。


■音声波形について
宇多田シングル

記録レベルに関しては、今回のシングルコレクションではご覧のとおり記録レベル(音圧)が上げられているのがわかります。レベルに関しては波形をみただけで一概NGとはいえないレベルだと思います。というのも、前回のアルバムではCDに比べてかなりレベルが低めで収録されていました。これはこれで良いことなのですが、前回の記事にもありますように、音作りとしては迫力に欠けるものだと感じました。無闇に波形を潰してまで音量を稼ぐのは良いことではありませんが、波形的には今回のシングルコレクションも妥当な範囲かなと感じました。


■スペアナによる周波数分布

宇多田スペクトラム

高域がうるさいと感じた原因ははっきりと表れました。前回のアルバムに比べて今回のものは10kHzにおいて約8dBも高域が持ち上げられていることがわかります。そりゃあ耳も痛くなるでしょう。これだけ極端にEQを掛けた状態で音圧を上げれば、持ち上げられた高域に過敏に反応し、音が暴れていることも想像できます。


そういうわけで、今回の宇多田ヒカルのハイレゾ音源は音質面において買う価値のないものだと判断しました。


可聴域でここまで極端な加工をしてしまうと、もはやこれはハイレゾの恩恵という域を超えてしまっており、これを「ハイレゾ音源です」と言って出してしまうとユーザーがハイレゾに対して間違ったイメージを持ってしまうのでとても良くない状態です。

オリジナルのCDと明らかに異なった音作り・表現をするのなら、きちんとその意図を明記することを強く要望します。
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頒布中のバランスキット関連はこちら

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