中村製作所 ヘッドホンコンディショナー NIP-01 その1

中村製作所のヘッドホン用マッチングトランスNIP-01ですが、どんな商品なのか大変気になっていたところ、ちょうどコメントでそんな話題が出てきたので買ってみました。

去年、発売されてヘッドホン祭かなんかで展示されるという話で商品自体は知っていたんですが、どう考えてもこのケースに収まる程度のトランスではまともな伝送はできないよねと思ってたところでした。
NIP-01は中村製作所のヘッドホングッズで最初のモデルですが、最近はこれに機能を付加したNIP-02SQやNIP-03といった商品が続々と発売されています。けっこう売れているのでしょうか? どんな商品なのか気になるところです。

ヘッドホン用のマッチングトランスは以前作ったことがあるのである程度のノウハウは持っているつもりですが、低域からきちんと出すためには一般的に高価なパーマロイコアを用いたとしても最低28mmサイズのコアが必要で、珪素鋼板の場合は更に大きなコアが必要だということを過去の試作から学んでいます。
参考:http://fixerhpa.web.fc2.com/ipodz/index.htm


じゃあ、中村製作所さんの製品はいったいどんなトランスを使って、どんな特性になっているのだろう?
9800円出して人柱になりました。


まずはパッケージから。
正直なところ、これを見たときあまりのチープさにショックを受けましたw
IMG_0804.jpg


IMG_0805.jpg


ところでこれは何をする機器なんでしょう?
いまあらためてパッケージを読んでみたんですが、全く何も書かれていないんですね。
電源が要らなくて、音量・音圧を上げる機能はなくて、Nice Soundということでしょうか。

事前にサイトで見たりした印象だと、もっと高級感のあるものかと思ってましたが、いざパッケージを見ると怪しさ満点ですw

よく見ると「絶対にあけないでください。」って書いてある…。
まあ、特性測ったらヤフオクにでも流そうと思ってるから、開けるつもりは無いけどね。


ちなみに付属品は3.5mmプラグの短いコードと、あと電線結束用のバンド。なんでこれがはいっているww
IMG_0806.jpg




とりあえず、iPod Touch 5thを接続した状態でアナライザで特性を測ってみます。
iPodは測定器並に特性が良いこと、かつ出力インピーダンスがほぼ0に近いので、実使用と同じ状態かつ測定に適した信号源としてそのまま用いることができます。

まずは出力レベルから。

iPodで1kHzサイン波を出力レベル約45mVで出力してNIP-01を繋いだとき、出力無負荷では60mV、32Ω負荷では47mVを指示しました。
無負荷時で+2.4dBとなっていますので、若干、二次側の巻線が多く巻かれていることが予想されます。1:1.3くらいでしょうか??


続いて周波数特性です。約45mV出力で、実線が無負荷、点線が32Ω負荷での特性です。
基準レベル0dBrはコンディショナーを使用しない場合の約45mVに設定しています。

NIP01_freq_45mV.gif


一応、可聴域をカバーしているものの、グラフが弧を描いており、あまり余裕のない特性であることがわかります。


続いて信号レベル1Vにて測定します。このレベルは0dBFsで記録したサイン波をボリューム最大で再生したときの出力レベルであり、iPodから出力される最大レベルの信号です。

NIP01_freq_1V.gif

すると、60Hz以下が一気にレベル低下するようになりました。これはおそらくコアが飽和して歪が発生しているとみられます。扱う信号レベルに対してコアが小さすぎると起こる現象です。
当初より懸念していた「このサイズのトランスではサイズ不足じゃないか?」という部分が測定結果として表に出てきました。



では今度は歪率について測定してみます。
信号レベル45mVと1Vの時に各周波数でどのくらいの歪率(THD+N)になっているか測定します。負荷は32Ωです。


信号レベル45mV時
NIP01_THD_45mV_32ohm.gif

20Hzで0.9%という値は、決して優秀な値ではないものの、まあこんなもんかな程度の値だと思います。
飽和しておらず使用可能な範囲といえるでしょう。



信号レベル1V時
NIP01_THD_1V_32ohm.gif


これはあきらかに飽和していて歪がはっきりと知覚できる状態だといえます。一般的に歪率3%を超えると歪を感じとれる状態でNGだといわれています。
ただし、これはサイン波で最大レベルの状態で測っていますので、実際の音楽信号ではあきらかな歪んだ音として聴こえることはないと思います。なので良いといえば良いのですが…。



では、この信号歪みについてもう少し詳しくチェックしてみましょう。
今度は信号の周波数を20Hzに固定し、レベルを変えていった場合、どのくらいの信号レベルでどの程度の歪が発生するかを測定したものです。このテストはiPodではできないため、ほぼ同等な別の回路を用いて測定しています。

NIP01_THD_20Hz_32ohm.gif


すると、可聴周波数の下限とされている20Hzにおいて100mVまでの信号レベルであれば飽和せずに伝送可能だということがわかりました。



あとは一次二次のインピーダンスについてグラフを描いてみました。
片端を32Ωで終端した状態でインピーダンスを測定しています。


二次側を終端し、一次側からみたインピーダンス
NIP01_Z_with32ohm.gif


一次側を終端し、二次側からみたインピーダンス
NIP01_Z_with32ohm_inv.gif


これらのグラフからも、このトランスは1:1ではなく若干の昇圧をともなうように巻いてあることがわかります。
まあ、繋いだ時に音が小さくなるよりは少しでも大きく聴こえたほうが印象は良いですし、伝送ロスを考えても二次側を多く巻くことは通常に行われていることです。
このインピーダンス比から計算しても、巻線比はおおよそ1:1.2ちょいくらいとなっているようです。


最後に直流抵抗(DCR)を測ってみます。

一次側2.61Ω
二次側2.75Ω

ほぼ同じ値となりました。おそらく線径は一緒だと思うのですが、DCRが巻線比と一致しないのは巻線がボビンのどの位置にどう巻かれているかによるのでしょう。内側になるほど同じ巻数でも線長が短くなりますのでDCRも小さくなります。



ここまできたところで内部の予想です。


ケースのサイズからして、おそらくSANSUI ST-71と同じサイズの19mm幅のトランスが2個入っているんじゃないかなー??
IMG_0807.jpg

重さ的にもST-71が2個で30gくらいなのに対し、NIP-01が40gなので大体そんな感じかと。
分解してみたい衝動にかられるのですが、どうやらケースは接着しており簡単には開けられない様子。
まあ、中身見られちゃったら眉唾グッズとしての威厳が保てないからなぁ。


…つづく。


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