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トランスの低域歪について

先日の中村製作所のトランスを解析して、よくもまあこんな小さなコアで作ったなと思いつつも、音楽信号を伝送するのであれば飽和歪が発生する程には至らないんだろうなと。
実際そういう実験もしたことがあって、19mmコアでもサイン波信号でなく音声信号ならかなり突っ込んでも飽和せず、飽和する時はキックの音で「バリッ」みたいな感じになるのは経験済みです。
まあ、実際に聴感上、問題となる歪が発生することはなくとも、コアが小さい場合は低域不足となりがちなのでコアが大きいほうが有利なのは間違いありません。

ただしまあ、以前作ったヘッドホンマッチングトランスも性能や音質こそ言うこと無く満足しているものの、最近普及しつつあるポータブルヘッドホンアンプのサイズくらいに、もう少し小さく作れたらなという思いもあったり。

19mm幅のコアを使ったとして、フルスケールのサイン波での飽和は許容したとして実際の音楽再生時には飽和することなく、しかも程良い低域の歪成分はヘッドホン再生時の低域の補強的な動作となって「Nice Sound♪♪♪」に貢献する部分もあるので、挑戦してみるのも面白いかなと思い検討してみます。

コア材で良いものを使えば、某ヘッドホンコンディショナーほど低域を失うこともなく、良い特性が得られる可能性もあるんじゃないかと考えています。


ついては、前々から疑問に持っていたトランスの低域歪について、同時に存在する高域成分が影響を与えるかどうかについて実験をしてみることにしました。
実際の音声信号の場合は測定に用いるサイン波と違って、低域から高域まで広いスペクトル成分が存在します。
低域成分だけを伝送する場合と、高域成分が含まれる場合で飽和具合は変わるのでしょうか?

IMG_0818.jpg

実験では、おなじみSANSUI ST-71を用いました。
歪チェック対象となる20Hzのサイン波信号をトランスに印加。信号レベルは約1.2Vrms。これはコアが飽和して波形歪が発生し始める信号レベルです。
これに対し、ホワイトノイズの1kHz以下をカットした信号をレベルは同じ約1.2Vrmsで用意。20Hzサイン波のみを伝送した場合と、これに1kHz以上の成分を加えた場合とで、低域の飽和具合が異なるかどうかを確認します。
※ちなみにこの状態でピークレベルはノイズ側のほうが10dBほど高い。


ホワイトノイズに対して1kHz以下をカットした信号を生成。
filter.png



これを20Hzのサイン波と合成したテスト信号
testsignalspect.png



トランス伝送後のスペクトル分布
spect2.png
白色:20Hzサイン波のみを伝送した場合
黄色:1kHz以上の成分を加えた場合




信号波形
waveform[1]
上:サイン波のみ 下:ノイズ有り  波形途中より1kHz LPF処理


上記の波形から1kHz以上の信号成分は、低域の飽和歪に対して少なくとも大きな影響は与えていないということがわかった。低域の伝送においてフルスケールのテスト信号では飽和しやすく不利となるものの、実際の音声信号のように幅広い周波数分布をもった信号で最終的にフルスケールの振幅となっているような場合は、低域に強いスペクトルが存在しない限りは飽和しにくいといえるだろう。

ちなみにこの時の20Hz信号の歪率(THD+N)は24%であったが、信号レベルを3dB上げると波形とスペクトル分布は以下のようになった。

waveform3db.png


spect3db.png

信号レベルが1.4倍違うと、歪はこのように大きく増加する。




なお、歪率3%の時の信号レベルは700mVで、波形は以下のようになった。

waveform_thd3per.png



spect_thd3per.png




続いて今度は信号周波数を変化させ、同じ波形歪率(THD+N)になる信号レベルを記録してグラフを描いてみた。

trans_thd.png

信号周波数が低いほど、飽和し始める信号レベルは低い。
測定回路においては、送り出しインピーダンスが高いほど、また負荷インピーダンスが高いほど歪が発生しやすいため、歪が発生しやすい状態で測定を行った。送り出しインピーダンス600Ω、負荷はオープンに近い状態(100kΩ以上)とした。
信号レベルが低いとTHD+Nの測定が困難であるため、そしてオシレータ出力の上限が20V程度なので、対応可能な範囲で測定するため処置である。
ちなみに1kHzで飽和させるには何V突っ込む必要があるんだろうか…。


同じ歪率で結んだグラフは、おおむね7dB/oct.で直線になっている。ラインの下端は、歪率が規定の値まで落ちず、測定ができなかったものである。
例えば、100Hzでは歪率1%を下回ることができなかった。

この結果を参考にし、伝送する下限周波数と、許容される波形歪率を検討すると良いでしょう。
グラフを見るとやっぱり、1kHz以上の信号は存在したとしてもコア歪への関与はほとんど無いといって良いってことなんでしょうかね。
それと、一度歪み出すと、それ以上はレベルを少し上げるだけでどんどん波形が崩れだして歪率が上昇するので飽和させないように注意が必要。これはパーマロイコアの特徴でもあると思う。


では、あとは一度小さいコアで試作してみてから、落とし所をどうするか検討する形になるかな。
19mmコアでヘッドホン。どこまでいけるのだろうか!?


※今回の測定についてはここにもまとめています。
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非公開コメント

小型なら使いたいですね。

私もトランス集めてデータをとっています。

その目的は異なりますが。

アナライザにパワーアンプ繋いだら如何?

No title

トランス集めて何のデータとってるんですか?


ええ。パワーアンプでも繋いで取ればいいんですが、まあそこまでしなくても良いかなって。
これを見る限り、1kHzなんてそうそう歪まなそうですよね。

No title

いろいろ知りたいので実験しています。

電子ATTと組み合わせたバッファーなんて考えています。

歪み測定ですが信号源側にLPF BEFとかで改善しないですかね?

No title

信号源側にってどんな回路をどう入れるんでしょう。
各周波数でのインピーダンスは一定にしないとトランスの動作が変わってしまいますよね。アクティブで、ってことでしょうか。

現状だと、なんか歪測定のフィルタ周りなんかも限界があるような雰囲気でした。
ノイズを除外して、高調波成分だけを検出するような方法をとらないとダメかもです。
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