スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

トランスの低域歪について2

IMG_0823.jpg


前からやりたいと思っていた膨大なデータ取りをようやく行いました。
トランスの歪やレベルが信号周波数によってどのように変わるかを連続データとして徹底的に測定しました。
アナライザで半自動化しているとはいえ、これだけのデータを取るのはかなり大変です。

測定したトランスはサイズやコア材の異なった600Ω:600Ωの様々なトランス。
これを送り出しインピーダンス及び負荷インピーダンスを600Ωでマッチングをとった状態で、オシレータのレベルや周波数をひたすら変えながら伝送特性をチェックします。
なお、実際の使用時でマッチングを取らない場合、特に送り出しインピーダンスが低い場合はこれよりもっと良い特性になる傾向にあるようです。
なお、トランスの測定は扱う信号レベルが微小電圧から高電圧まで扱う必要があり、発振器の出力レベルや歪率計に求められる動作範囲がとても大きいものとなる。なるべく広範囲で測定できるように考慮したものの、どうしても機器の限界に当たってしまう。特に微小信号域でのTHD+Nは測定に限界があるため、機器の裸特性を灰色の点線で記入しています。





■SANSUI ST-71
サイトのデータでも基準にしている定番のサンスイトランス。19mm幅のコアで贅沢にもパーマロイコアです。
ST71.png
中低域の歪は多めであるものの、飽和部分以外の歪のカーブは真っ直ぐキレイになっている。低周波の微小信号には弱いよう。





■19mmサイズ パーマロイコアトランス
手元にあった、ST-71と同サイズのトランス。巻き方などの条件が異なるよう。
per_s.png
微小レベルでの低域の感度はST-71より高く、歪も少ない。しかしレベルが上がるにつれて低域での歪が多めとなっている。巻き方による違いなのか?





■19mmサイズ 珪素鋼板(オリエントコア)トランス
こちらも手元にあったトランス。こちらはコア材が安価な珪素鋼板が使われている。
ori_s_20130729201534.png


珪素鋼板コアならではの「への字」カーブが確認できた。信号レベルによって、歪率のピークができる周波数が変わっている。
パーマロイコアのものと比べると、への字効果もあってか、中高域にかけて歪が多い傾向にある。周波数特性は低域が伸びない。微小レベルでの感度低下も著しい。





■57mmサイズ オリエントコア かなり大きいトランス
ori_b_20130729201529.png
珪素鋼板であってもコアが大きければ低域が伸びてくるようだ。コアが大きくなったせいで、低域のへの字カーブが測定範囲内に入ってきた。それにしても不思議なへの字カーブだ。やはり全体的に歪率は高め。





■JENSEN JT-11-BM 78%パーマロイの巨大バケモノ級トランス
per_b.png
ニッケル含有量が多く、特に高価なパーマロイコアを惜しむことなくふんだんに使った豪華なトランス。
「高いコア材で大きなトランス」が高性能であることを知らしめてくれた。




■日本光電 TD-1 サイズ的には中間くらいのトランス。Lコアか?
td1.png
特性も、パーマロイコアの大小の中間くらい。全体的に低歪であるものの、飽和すると一気に歪が増加する。これは78%パーマロイの特徴なのだろうか??





■LUNDAHL LL1524 音の評判はいいらしいけど、測定するとどうもパッとしないトランス
ll1524.png
への字カーブが出ているのでコアは珪素鋼板なのだろうか? 低域が伸びずどうも巻数不足な気もするが、何か落とし所を狙った結果なのだろうか??




なかなか話題に上がることもないトランスの歪特性について、何となく傾向が見えてきた気もします。
まだ解明しきれないことだらけですが、どうやらやはり大きくてパーマロイの良質なコア材を使ったトランスが低歪で特性も良いようです。コア材は低歪を求めるなら良質のパーマロイ、珪素鋼板は上手く使いこなせば音作りに役立てられそうです。



※追記

測定器の都合上、微小レベルでの歪の測定に限界があるため、オリエントコアのへの字の書き始めの部分がどうなっているか測定することができていませんでした。そこでアナライザのモニタ出力をPCのオーディオインターフェイスに接続し、WaveSpectraを使って、THD+NではなくTHDのみを観測してみました。
この方法はこの方法で全てをカバーするには難しい部分もありますが、さしあたりオリエントコアの大きいトランスで1kHzの特性のみ測ってみました。どうやらへの字の頭の部分はノイズに隠れていただけで、実際は歪は少ないようです。だとすれば信号レベルに対して大きすぎるくらいのサイズのトランスを使えば良さそうですが、それはそれで微小レベルの低域の感度不足の問題がでてきそうです。

thd_ws.png

また、以前より何となく気になってはいたのですが、信号を印加してから時間経過とともに歪率が上昇していく現象があるようです。これはパーマロイコアで気になったことはなく、珪素鋼板特有の現象のようにもみられます。
値が収束するまではかなりの時間がかかるので、歪率測定の際はどのタイミングをもって値をとるか悩ましいところです。自動計測で同じタイミングでとれば概ねカーブとしてはキレイになりましたが、WaveSpectraで手動で取ったデータが波打っているのはこのことも関係しているようです。

これに加え、歪率についてはトランスをヒートガンで温めると、温度上昇に伴って歪率が低下していくという現象も確認しました。
トランスにまつわる謎はまだまだ尽きないようです。


※追記

オリエントの小コアについても一部の周波数についてWaveSpectraを用いて測ってみました。
ori_s_ws.png

への字の書き始めの部分がどこまで歪が下がっているのかを確認するのが目的でしたが、どうやらへの終わりの部分よりは下がる傾向にあるようです。
それと一点判ったことは、時間経過につれて歪が上昇もしくは下降する現象ですが、どうやらへの字の部分で顕著に起こるようです。測定に時間をかければかける程、への部分が高くなるようです。なお、高いレベルから徐々に下げていき測定をした場合、への後半(右側)の部分ではレベル設定後に歪率が上昇していくのに対し、への前半の部分では歪率が下降していくようです。WaveSpectraでの測定は、アナライザの測定が数秒周期であることに対し、こちらはある程度値が収束するまで時間をかけたため、への位置が高くなったようです。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

ヒステリシス曲線のグラフも見たいな

No title

こんにちは

以前、見よう見真似で描いてみたことはあるんですけどね。
ttp://blog-imgs-62.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/201307312213557b0.jpg

http://hirachi.cocolog-nifty.com/kh/files/20070808-1.pdf


ST-71で100Hzだと記録が残ってたのですが、いざこれを描いたところで何を判断して良いのかわからず…
プロフィール

fixer

Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
Twitter @fixerhpa
頒布中のバランスキット関連はこちら

最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム
最新コメント
カテゴリ
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。