量子化ビット数24bitの意義

ハイレゾ( オーディオではハイサンプリングはともかく24bitの分解能を持ったソースが当たり前になっています。16bitでは96dBまでしか扱えなかったダイナミックレンジが24bitでは144dBまで拡大し、音の粒がきめ細やか( とかいいますが、実際の再生ソースにおいて24bitの分解能に意味があるのでしょうか?

例えば制作環境の場合はマルチトラックで録音した素材に対して部分的に大幅な音量拡大をしたり、イコライザーやコンプレッサーを始めとしたデジタルベースでの演算処理を行うので、最終的な状態で16bitの解像度を確保するためには少なくともこれを上回る解像度の素材が必要であることは容易に理解できます。
これは、たとえば画像処理において後々切り抜いたり明るさを調整することを見込んで、あえて画像サイズを大きく、16bit深度の分解能で撮影をしたりするのと一緒です。

最終的な音楽ソースとして再生をする場合、例えば14bit以下だったりすると音が小さい部分やフェードアウトの部分でチリチリという量子化雑音がノイズ音として聞き取れてしまう場合があります。
しかし、16bitを常識的な録音レベルで使用していれば、分解能不足を感じることはまずないと思うのですがいかがでしょうか?
ちなみに先日のハイレゾ音源でも曲頭の部分でディザと思わしき成分が-100dBで振っていますので、16bitから下位の桁はほとんどノイズであるといえるような気もするのですが…。


さて、今回記事にするのはもうひとつの懸念事項である、ハードウェアの問題です。
実際に音楽を聴取するときに使用するDACですが、本当に24bitの分解能を持って出力することができているのでしょうか? ダイナミックレンジが144dBなら、下位桁はμVオーダーの重みとなりますが、オーディオインターフェイスはこの重みの差を表現できているのでしょうか??


テスト環境として用意したのは、オーディオアナライザーのデジタル出力からFirefaceUCに入力、入力ソースをそのままデジタル出力およびアナログ出力にルーティングし、双方をオーディオアナライザーの入力に接続します。
オーディオアナライザでは997Hz -60dBFsのサイン波を出力。サンプリング周波数48kHzにて量子化ビット数を24bitと16bitに切り替えながら、アナログ出力の信号をスペクトラムアナライザでチェックします。

最初に、デジタル出力での波形のチェックです。
これはオーディオインターフェイスの入出力間でノイズ等が混じることなく、きちんと分解能が出ているかの確認です。

digital_reso.png

ご覧の通り、16bitの時はノイズフロアが-120~-140dB程度であるのに対し、24bitにすると-180dBまで下がり、ビット数が増えたことによる信号品質の向上が確認できます。



続いて、アナログ出力の確認です。
Fireface UCのライン出力レベルは切り替え式ですが、出力レベルが高いほうが特性的には有利ですので、Hi Gainで測定します。0dBFs=7Vrms程度です。

analog_reso.png

ご覧の通り、16bitの時はデジタル出力と変わらないノイズフロアが確保できていますが、24bitにおいては、その分解能をカバーできるほどの性能がDACにはない(というかアナログ回路的にかなり難しい)ため、わずかにノイズフロアが下がったことは確認できるものの、24bitの分解能を有効に出力しているとはいえない状態であることが確認できました。


という具合で、最初の実験では1kHz -60dBFsの信号に対する量子化誤差が、どのようにノイズフロアとして現れてくるか、またアナログ出力の残留ノイズに対してそれはどのくらいの量であるのかについて確認をしました。



次に、24bit分解能での最下位1bitの変移が出力に現れているかどうかのチェックです。

997Hz、下位1bitのみ変移する信号を生成して、先ほどと同様に出力信号を確認します。
サイン波として出力しましたが、下位1bitのみの信号ですから実質的には矩形波に近いような信号です。


1bit.png

ご覧のように、デジタルデータとしては歪成分が多いものの997Hzのスペクトルがはっきりと突出しているのが確認できます。
一方、アナログ出力においては歪などの成分はすべてノイズフロアに埋もれてしまっているものの、最下位1bitの信号が一応出力されていることが確認できました。


ちなみにデジタル出力を観測している状態で、信号源に1bit変移のディザを加えたのが以下の波形です。
dither.png
歪み成分が分散され、最小レベルの信号としては一番良い状態だといえるでしょう。






コメントで教えてもらった、トランジスタ技術の24bitオーディオ特集の号を買ってみたのですが、サンプリング周波数や周波数帯域についての記述が多く、ダイナミックレンジに関する記事があまりなかったのでちょっと実験してみました。

以上を踏まえて、24bitのハイレゾ( の音楽配信については技術的に意義があるのかどうか…
一体どうなんでしょうね?

まあ、下位のビットでディザという名目で好きなランダムノイズを加えることで、あたかも高音が出て音場が広がったような錯覚を演出する、なんてことは可能かもしれませんね。
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