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ポータブルプレーヤーの擬似バランス化

BqpwjykCQAAI837001.jpg

先日の記事で、ステレオプラグ・ジャックを用いたヘッドホン端子ではGNDの共通インピーダンスによって逆相のクロストークが発生することを確認しました。
逆相クロストークが発生した場合、音としては音がふわふわとして、センター定位のキックドラム等の音がはっきり出ないといった特徴が感じられます。
まあ、普通にイヤホンやヘッドホンを使っていると逆相クロストークが発生している音しか聴いていないということになりますので、一度正しい音を聴いてみると違いがわかるようになります。

逆相クロストークの問題が発生しやすいのはヘッドホンやアンプのインピーダンスが低い場合であり、近年のヘッドホンアンプはほぼ0Ω出しが主流、イヤホンも10Ωのものが存在するほど低インピーダンス化が進んできています。
φ3.5mmやφ6.3mmのステレオプラグがヘッドホン用に使われ出したのは、もう大昔の話。機器の高性能化にあわせて
そろそろプラグの規格を改めたいところではありますが、一筋縄にはいかないようです。

なお、根本的この問題を回避するためにはヘッドホンをバランス接続にすることが最良ですが、バランス接続に対応したDAPやヘッドホンアンプは数が少なくあまり選択肢がありません。

そこで、今回は従来のシングルエンド(アンバランス)接続のポータブルプレーヤでもジャックの接触抵抗で発生する共通インピーダンスを回避してステレオセパレーションの高いヘッドホン出力を得る方法を考え出しました。


原理は以下となります
名称未設定 1

オーディオプレーヤーの中には、ヘッドホン端子に隣接してライン出力端子が装備されているものがあります。
共通インピーダンスの問題は、ヘッドホンの左右chのGNDラインがまとめてジャックを通ることが問題であるため、この隣接されたライン端子のGNDピンだけを利用し、LchのGNDはヘッドホン端子、RchのGNDはライン端子といったように分けて接続してやることで、ジャックの接触抵抗による共通インピーダンスを排除しようというものです。
これは、3線ヘッドホンケーブルの4線化と同じ原理であり、4線化をプラグに対しても適用し、基板の部分まで拡張したと考えると判りやすいでしょう。

ただし、どんなプレーヤーでもこの方法が使えるとは限りません。構造上、2つのジャックが隣接して配置されていること、GNDが基板上で同じ箇所に接続されていることが重要です。
これを確認するためには、あらかじめ配線のされていないプラグを2つ挿し、テスターの道通チェック機能で2つのGND間がほぼ0Ωを示すことを確認する必要があります。できるなら基板を目視でチェックするのが一番です。
今回使用したAstell&Kern AK120はライン出力端子ではなく光入力端子となりますが、φ3.5mmジャックのGNDが結線されているので使うことができます。また、iBasso DX90もこの方法が使えるようです。

この方法を試すためには、まずヘッドホンのプラグを4線式のバランス型に変更する必要があります。バランスヘッドホンに用いられるコネクタは統一化されていませんので、4極のミニプラグや、こちらの作例のようにミニXLRの4pinタイプなど、各自の使い勝手に合うものを用意してください。
ミニXLRのピン配列は1:L+ 2:L- 3:R+ 4:R-としました。


プラグ内部
Bqpkd0CCQAEq-Dl001.jpg

このような感じでL+ L- R+の3本はヘッドホンジャック側のプラグへ結線、R-については分岐させてライン端子側のプラグに結線します。ライン端子側はGND部分にのみ接続し、他は未接続です。

※ここで用いたREANのステレオプラグは品質に問題があり、ジャックに挿そうとすると引っかかってしまい使うことが出来ませんでしたので、後に変更されました。よって他のプラグを用いましょう。



改造前後の特性比較

改造前後でクロストーク値がどれだけ変化したかを測定器で確認してみました。
負荷は10Ω、1kHzのサイン波をLchのみに出力し、Rchにどれだけ漏洩するかを測定しました。


■改造前
BqqDm9_CYAAfYVk001.jpg

通常の状態でもクロストークは約-70dBと、決して悪くはない値となっています。しかしプラグに触れて接触状態が変わると悪化したり不安定になることもありました。シングルエンド接続の限界だとみられます。
ちなみに、無負荷の状態ですとクロストークはバンドパスフィルタで信号周波数のみを抽出しても-120dB以下と、非常に優秀な値となっておりました。

■改造後
BqqEdCOCMAAokTn001.jpg

安定して-80dBの値を得ることができるようになりました。もう少し下げたい気持ちもありますが、あとは基板の配線パターンや回路自体に依存しており簡単にはいきません。

しかしながら音としては、センター定位の低音がしっかりと押し出してくるようになり、小音量でも低位のフワフワ感が出ないといった違いを感じ取ることができました。
本体に手を加えることなく、簡単に改善効果が得られますので、是非一度試して、逆相クロストーク改善の効果を実感してみてください。



※擬似バランスの呼称について

擬似バランスという呼称は、もともと業務用オーディオ機器において使用されているものです。アンバランス出力をバランスの機材で受ける場合、RCAプラグなどの内部でColdの線をGNDに繋ぐのが一般的ですが、その際に機器の出力インピーダンスと同じ値の抵抗値を入れてGNDに接続することで、バランス接続と同様に、伝送路上で飛び込んだノイズを除去することができます。その際、RCAプラグ内でGNDに接続するのではなく、機器内部の出力回路の基準となっている部分のGNDに接続することで、より質の高い信号を得ることが可能となります。
これをイヤホンに応用したものが、イヤホンの擬似バランス接続です。
業務用オーディオの場合、この手法を「インピーダンスバランス」と呼ぶこともありますが、イヤホンの場合は外来ノイズ除去を目的としないためインピーダンスは関係せず、GNDを分離して接続しクロストークを排除することが目的のため、擬似バランスという呼称を用いることにしました。


擬似バランス説明2
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No title

こんにちは
これはかなりいい方法ですね。
USBの録音デバイスを使ってクロストークみてみると、私のDAPでは擬似バランスで20dBくらい良くなりました。インピーダンス低いヘッドホンが嫌いだったんですが、これで運用できるかもしれないです。

直接ヘッドホンに擬似バランス用のプラグつけるか、
ヘッドホンに4極つけて擬似バランス-4極変換でいくかで
今悩んでます

No title

こんにちは
すでにお試しでしたとはびっくりです。
20dB改善したとなるとかなりの効果ですね。

最近はほんと低インピーダンスのイヤホンが増えてきましたが、ジャックのみならずアンプについても性能不十分で、出力インピーダンスが数Ωとはいえ高かったり、歪が出たりするものも多く、きちんと鳴らすのは難しいです。


コネクタをどうするかは悩むところですね。接点は少なければ少ないほど安心できますが、汎用性を失うのも不便ですし。
うちはミニXLRでひと通りの変換を作っておいて対応しています。

No title

>原理は以下となります
結局L-R-ともにGNDで結合されてるんですよ。
まさかHPOUTとLINEOUTのGNDが絶縁されてるとか寝言言い出しませんよね?

No title

なんかしましたか?

No title

あ、何を理解していないのかが分かりました。

擬似バランスというのは元々、業務用機器のバランス出力の簡易版でコールド側にホットの出力インピーダンスと同じ値の抵抗器を対GNDで入れておくことでコモンモードノイズ除去を目的にした簡易的なバランス出力の方式のことを指し、インピーダンスバランス等とも呼ばれているものです。
ヘッドホン出力の場合は出力インピーダンスがほぼ0Ωに近い値なので、抵抗器を挿入することなく直接GNDに接続することでも擬似バランスと同等の状態が構成できます。
アンバランス接続によるクロストークは3.5mmジャックのGNDの共通インピーダンスによって発生しますから、この数十mΩの抵抗値を左右チャンネルで独立して通過させることでクロストーク性能の向上が得られます。
これで宜しいでしょうか?

No title

こちらのブログ等を参考にして、擬似バランスケーブルを作ってみました。

自分はDX90J用に作ったのですが、他の機器で使えないかどうか面白半分にやってみたところ、ベリンガーのXENYX Q502USB(ヘッドホン出力+メインアウトR側)やノートパソコン(ヘッドホン出力+マイク入力)なんかでも音は出ていました。音はそれぞれ良くなったようなそんな感じでした。

据え置きヘッドホンアンプ等でもアンバランスの出力を2つ備えたものがあったりしますが、そういうやつでも行けるんでしょうか? はたまた1つしかなくても、RCA出力等を備えていれば、コネクタ変換して無理やり逃がすとかも出来たりするんでしょうか?

まあ色々試せて面白いですね、擬似バランスって。

No title

いたちゃん 様

コメントありがとうございます。
ポータブルプレーヤの枠を超えた疑似バランスまでは私も考えていませんでした。原理的にはヘッドホン出力のすぐ近くにあるジャックで、ヘッドホン出力のGNDと同じ配線が届いていれば効果が得られることになります。
ですので、それがマイク入力だったり別の端子であっても問題はありません。

ただし、2つの端子の距離が離れている場合や、同じGNDラインでない場合だと効果が得られなかったり問題となる場合があります。
機器の電源が入っていない状態でテスタの導通モードで確認すると良いと思います。

また良い結果が出たらぜひお知らせください。

いろいろ試してきました

オーディオテクニカのAT-HA5000、FOSTEXのHP-A7とA8、ラックスマンのp-1uとp700-uで擬似バランスケーブルを知らん顔で挿してHD650(自作XLR)にて聴いてみました。
ちゃんと音が出ていて、p-700uがやはり素晴らしかったです。
LCD-2 bamboo(純正XLRかな?)を擬似バランスケーブルでp-1uと接続してもちゃんとなっていました。
いろいろと面白かったです。

No title

レポートありがとうございます。据置型の機種でヘッドホン端子が2つついている機種なら疑似バランスもやりやすいですね。
p-700uですとバランス端子もついていますが、アンバランス、疑似バランス、バランスではやぱり大きな違いがありましたか?

No title

HD650の純正バランスケーブルが4pinXLRで、それに合わせてケーブル加工したものを持参したため、p-700uについては3pinXLR x 2のため擬似バランスでしか試せませんでした。

p-1uのアンバランスは試してみましたが、やはり擬似バランスの方が音は良かったです。

HDVD800も置いてあったので試してみましたが、4pinXLRと擬似バランスでは音量もだいぶ違っていたので若干騒がしい環境だったので落ち着いては聴いていませんでした。

4pinXLRから3.5mmステレオミニプラグへ変換するケーブルを自作してから改めてHDVD800については聴きに行ってみようと思います。

No title

ヨドバシアキバの高級オーディオコーナーへ行って擬似バランスについて試してきました。

擬似バランスを試したアンプは、
AUDIO-TECHNICA AT-HA21 AT-HA22TUBE
FOSTEX HP-A8
LUXMAN P-700u P-1u
TASCAM MH-8
SENNHERISER HDVD800
です。

全て音自体は出て、MH-8とHDVD800を除いて総じて良くなったように感じました。

MH-8については、DX90Jからのラインアウトでの接続でしたので既にGNDが混合されているから?かあまり変化なかったように思いました。

HDVD800はバランス、擬似バランス、アンバランスで確認しました。
バランスとその他は出力の強さが違うためなかなか難しいところでしたが、アンバランスと擬似バランスは違いがあるように思いました。
バランスと擬似バランスはそんなに違いがあるかはっきりしないといったところでした。

少々騒がしいところで開放型のHD650で2時間粘って聴いた感想でした(^_^;)

No title

初めまして。

ヘッドホンのGNDを空いたライン端子のGNDに接続するとは思いつきませんでした。
非常に面白い方法だと思います。
私もこの種類の改造を試したことがあるのですが、私には4線化以上の改造の音の違いがよく分からなかったので、この方法と通常の4線化ではどの程度聴覚上の変化を感じられたのか興味があります。

ちなみに通常の4線化を施したSRH440(44Ωのヘッドホン)で全体のクロストークは-67dB以下でした。
http://kawamoto.no-ip.org/henteko/article/0012.html

No title

川本さま

コメントありがとうございます。
4線化自体は私もかれこれ15年くらい前には実施して効果を実感していたのですが、さすがにジャックの接点抵抗は無視できるものだと思い込んでいました。

数値としてどのくらい改善されるか、色々なジャックでどれだけクロストークが出ているかの実測値はブログの別記事で扱っていますのでご覧ください。

この方法を実践された方々は効果を実感していらっしゃるので、実際に変化があるのは間違いないと思います。

特に最近のイヤホンはインピーダンスがかなり低いですし、BAドライバのマルチウェイも増えてきているので信号劣化も顕著になっていると思われます。

DX90での疑似バランス

DX90のジャックは4極のもので、基板でも別の場所に接合されてはいるのですが、この場合隣のジャックからGNDを拝借しなくても、端子を4極化すれば疑似バランスになるんでしょうか?
聴き比べたりはしているのですが、違うような違わないようななので(^_^;)

No title

こんにちは。私は実機をチェックしていないですが、そうらしいですよ。

擬似バランスラインアウト

はじめまして

本当に面白い方法ですね!
これを利用して、ラインアウトからの擬似バランス出力も可能なのでしょうか?

No title

こんにちは
「ラインアウトからの擬似バランス出力」という意味がよくわからないのですが、原理上、接続が可能かつ効果が得られるのはヘッドホンもしくはイヤホンとなります。GNDを取るためにラインアウト端子を利用することは可能です。
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Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
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