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インイヤーモニター用 バランスヘッドホンアンプ

DSC_4828s.jpg

以前、店頭で数十個試聴して選んで買ってきたオーディオテクニカのATH-IM50ですが、最近のイヤホンはバカにできないもので、とても音の細かい部分まで良く聞こえます。カナル型で耳に対して密閉することによって、小型なスピーカー、もしくはヘッドホンでは出せない極低い周波数までも再生が可能で、耳栓効果もあって普通は聞き取れないような小さな音までもしっかりと捉えられます。

その半面、再生する音源の品質や機材の性能の僅かな差も現れるようになり、先日から扱っているGNDの共通インピーダンスの問題や、ヘッドホンアンプの性能の問題に直面することになりました。
特に、イヤホン(インイヤーモニター)ではインピーダンスが低い傾向にあり、ATH-IM50では10Ωといった極低い値となっています。

しかし、このようなインピーダンスが低く、感度の高いイヤホンをきちんと駆動することができるアンプは少なく、高級なポータブルプレーヤを用いたとしても、どこまでの性能を持っているのかは公表されておらず、実力が分かりません。

そこで、イヤホンを確実に鳴らすためのヘッドホンアンプを製作することにしました。仕様としては以下のようになります。

■ステレオクロストーク
これに関しては-70dB以下であってもイヤホンの場合は知覚できるであろうということがわかってきました。クロストークをこれ以上抑えるためには、第一前提としてバランス駆動することが必須となります。

■出力インピーダンス
インイヤーモニター(IEM)ではマルチドライバのものが主流となってきています。これはスピーカーでいうマルチウェイと同じで、ドライバ部分にネットワーク回路を搭載しています。よって、ネットワーク回路を理想的に動作させるためには、極めて低いソースインピーダンスでの駆動が求められます。市販のアンプでも数Ω以下には抑えられているようですが、これは0に近ければ近いほど良いことになります。

■ノイズレベル
イヤホンは耳に直接装着して使用すること、そしてインピーダンスが低いために、ごく僅かなノイズ電圧であっても聴こえてしまいます。これは実際にイヤホンを使用してみるとサーというノイズが聴こえてしまうプレーヤが多いことにお気づきでしょう。よって、残留ノイズは極限まで抑えこむことが求められます。

■歪率
インピーダンスが数十Ω以上あるヘッドホンであれば歪のない信号を加えることは容易ですが、20Ωを下回るようなイヤホンではアンプ回路への負担も大きくなり、歪が増える傾向にあります。無負荷状態では0.000…%の歪率を誇るプレーヤでも、重い負荷を接続した途端に0.数%台に悪化するケースもよくあります。
イヤホンではヘッドホンに比べて高い能率であるため、電圧が低くても音量が出せるため、低電圧の領域で負荷が重くても、入力に忠実な信号が出力できるようにすることが必要です。



■回路図 (試作段階のため詳細はのちほど)
LME49600balHPA_revb_s.png

バランス出力専用機としてアンバランス出力での使用を行わない仕様にしたため、回路および基板パターンに対して思い切った設計が可能となりました。
入力もバランス仕様ですが、アンバランスでの入力であってもケーブル末端までバランス化することで共通インピーダンスの影響を極限まで減らすことが可能です。
回路構成としてはインスツルメーションアンプで二段目でHot Coldを交互に取り出してバランス出力としています。出力にはLME49600バッファを用い、DCサーボを掛けています。
電源はDC15Vを用意し、チャンネルごとに用意したレギュレータで12Vに安定化。電圧は低めですが、上げたところで特に特性の向上がみられず、発熱が増えるだけであることから、12Vに決定しました。仮想GNDは1点アースで基準電位として使用しているだけなので、電流は流しません。


■基板
LME49600.jpg


LME49600_2.jpg



■特性

出力インピーダンス
理屈上では限りなく0Ωに近い値になっているはずです。正確に実測するのも難しいのですが、10Ω負荷で300mVという条件でON-OFF法で測定すると、約40mΩ程度と、限りなく低い値です。内訳としてはXLRコネクタの接触抵抗や、基板パターンの抵抗、フェライトビーズのリード抵抗などの影響とみられます。


周波数特性
LME49600balhpa_freq.png
DCサーボの時定数が1Hz以下で一次フィルタなので、10Hz以下から減衰が始まっています。
※追記 リリース版では時定数を下げ、さらに低域まで特性が伸びています。


周波数特性(広帯域)
LME49600_balamp周波数特性広域



残留ノイズ
LME49600balhpa_noise.png

A-Weightingで2.4μVはなかなか素晴らしい値ではないでしょうか。10Ωのイヤホンでも、極めて僅かにしか残留ノイズが聴こえません。



ステレオクロストーク
LME49600balhpa_crosstalk.png
さすがバランス入出力だけあって、セパレーションはかなり良くなっています。300mVの信号に対して-120dBですと300nVと、接頭辞が2つ変わります。測定も難しく、1%のバンドパスフィルタを入れましたが、ほぼ測定限界です。



信号出力時スペクトル
LME49600balhpa_FFT.png
10Ω負荷で最良値である1kHz 300mV (9mW)出力時のFFT波形です。
ノイズフロアが低く、高調波成分が殆どみられません。300mVですと、10Ωのイヤホンでは聴き続けられないくらいの大音量です。


出力電力対歪率 (THDのみ)
LME49600balhpa_THD_32ohm.png
負荷が重いほど歪は増えますが、まずは32Ωでの測定結果から。同じ電圧レベルでの無負荷時の歪率も測定しています。
無負荷では広範囲で0.0002%を切るなどと、優秀な値を示しています。負荷が加わると歪が発生するものの、並のヘッドホンアンプでは得られない低歪ではないでしょうか。

※追記 出力が上がるにつれて、周波数が高くになるにつれて歪率が上昇する現象はフェライトビーズによって発生しているものでした。リリース版では通常はフェライトビーズを使用しないことにしました。


出力電力対歪率(THDのみ、周波数ごと)
LME49600balhpa_THD_32ohm_freq.png
さきほどのグラフでの歪カーブの膨らんでいる部分が気になったので、周波数を切り替えて測定してみました。
周波数が高いほど、出力電圧が高いほど顕著になりますので、スルーレートの限界によるものなのでしょうか。


続いて、10Ω負荷でも歪率をチェックしてみます。
LME49600balhpa_THD_10ohm.png

やはり負荷が重くなると歪が増える傾向にありますが、イヤホンは感度が高いこともあり、通常使用する出力範囲では極低歪をキープしています。さきほど触れた9mWという爆音状態であっても歪率は0.002%程度となっています。



ざっと実力はこんな感じです。またなにか測定したら反映します。
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No title

fixerさんは日本版NwAvGuyやと思う本気で

No title

なれたらいいですけどねえ

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