4芯ケーブルをヘッドホンに使用する場合の結線について

4芯ケーブルを使ってステレオヘッドホンのリケーブルをする場合、電線のペアの組み方によって性能が変わってしまうという事について調べてみました。


事の発端は、先日購入したオーディオテクニカのヘッドホンATH-WS1100をバランス化改造するときに気になったことで調べてみたものです。

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リケーブルの際に使えそうなケーブルを探した結果、今回はオヤイデのHPC-28-4Uを使ってみることにしたのですが、商品ページの図と、現物とでケーブルの色と配置の関係が異なっていることに気づいたのです。



商品ページの図
HPC-28-4U.png



現物
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本来、左右の信号線をまとめて束ねてしまう構造は信号のセパレーションの観点から望ましくないのですが、なかなか適切な構造のケーブルが市販品で存在しないため、しばしば妥協して4芯ケーブルが使われることがあります。(知らないで使ってる人もいそうですが!)

この時、左右チャンネルの干渉を少なくするためには、対角線上に存在する2つを、片チャンネルの±で使用するほうが望ましいと考えられます。
しかし、今回の電線でその組み合わせをすると、説明図の構造だと片chは赤と白、もう片chは緑と黒というようになり、左右チャンネルの色別としては分かり難くなってしまいます。
この点において現物のような配列になっていれば白と黒、赤と緑という組み合わせで使用できるため、色別しやすいです。

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4本の芯線をどう割り当てるかによって伝送特性が変わる可能性があります。
また、右図の場合、下記の2パターンが存在し、クロストークする信号の位相が変わると考えられます。



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そこで、

4芯ケーブルのペアの取り方によって信号の干渉度合い(クロストーク)が異なるのかどうか測定してみることにしました。

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用意したケーブルはmogamiの2893というスターカッドタイプのマイクケーブル。長さは2mです。
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測定回路は以下のとおり
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オーディオアナライザのオシレータ出力を、ヘッドホンアンプ「ありやす」に接続。信号源インピーダンスほぼ0Ωの信号出力を用意します。片方のペアにはこの信号を、もう片方のペアは無入力にするため、電線の端をショートさせておきます。

電線の反対側はそれぞれのペアに10Ωの終端抵抗をつけ、アナライザへ接続。片側のチャンネルに印加された信号および、無入力のチャンネルに漏れた信号をそれぞれ測定し、無入力側に漏れ出てきたクロストーク成分を算出します。


信号源側
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測定結果は以下のようになりました。

グラフの緑色は、対角をペアにした組み合わせ(赤白と黒青)
青色は隣り合ったものをペアにした組み合わせ(白黒と赤青)
4芯クロストーク

対角でペアを組んだほうが、なんと40dBも特性が良いことがわかりました。


また、このクロストークは電線間の静電結合ではなく電磁結合によるものであると考えられ、負荷の抵抗が小さいほど干渉が大きくなるようです。



そこで、特性の悪かった組み合わせで、負荷の10Ωを300Ωに変更した場合のデータも取ってみました。

緑が先ほどと同じ10Ω負荷、青が300Ω負荷です。
4芯クロストーク2
負荷がここまで軽くなればクロストークもだいぶ改善されます。

これはGNDの共通インピーダンスによるクロストーク発生と同じで、インピーダンスの低いヘッドホンほど、電線のクロストークに気をつける必要があるといえます。



ヘッドホンやイヤホンのリケーブルにおいて、本来モノラルバランス信号用で使用するスターカッドタイプのマイクケーブルを流用する場合がありますが、そういった場合は特性が悪化しないよう(もしくは望ましい音になるよう)、色で選ぶだけでなく、その配置で芯線の組み合わせを検討する必要があるといえます。


特に、CANARE L-4E5Cや4S6などといったケーブルの場合、4本のうち同じ色が2本ずつある場合は注意が必要です。
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写真のような構造のケーブルの場合、モノラルのバランス信号なら青同士を束ねてHot、白同士を束ねてColdとするのが正解ですが、これをステレオ信号に流用する場合、「Lch: 青白、Rch: 青白」というようにすると、クロストークの多い結線となってしまいます。
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No title

左右を対角の線で分けた方がいいのは理解できたのですが

>ttp://blog-imgs-89.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/IMG_3966.png

こちらの左右並列時の極性が対角・並列の場合について書かれていないのですが、この場合も+同士-同士で対角の方が良いのでしょうか?

左右対角が良いのなら±は並列にならざるを得ないのでこの場合も極性は並列でよいという事になる気もしますが。

なんかもう頭の中で線がこんがらがって混乱してます・・・。

No title

見逃しがちな部分への鋭い指摘をありがとうございます。

記事では扱いが抜けていましたが、左右chの関係が変わった場合、クロストークする信号の位相が変わると考えられるでしょう。

クロストークの少ない左右ペアを組んだ上で、それでも起きてしまう微小なクロストークの位相がどうかによっても、やはり少なからず聴こえ方は変わるはずなので、試してみるといいかと思います。

No title

どこまでが業界標準なのかは分かりませんが、SONYの純正ケーブルなどは赤:R+ 黒(茶):R- 緑:L+ 白:L- になっている事が多いですよ。
リッツ線の色によって音に違いが出たりしたら、オカルトですけどね(笑
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