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ヘッドホンのバランス接続のメリットは何か

某所の書き込みをみていて、ついつい文章を書きたくなったので、ここにも貼っときますw


4年前にバランス接続のヘッドホンアンプキットを企画して千台以上出荷してきた立場から考えると、ヘッドホンの接続をバランス接続にすることによる音質的なメリットは、まずはクロストーク低減によるものが支配的だと感じます。

バランス接続のアンプのメリットとしてはBTLなので同じ電源電圧でより出力電力が取れるというメリットはあります。

バランス接続=ノイズ低減という短絡思考はよく見かけますが、ヘッドホンの場合は低インピーダンスの伝送路なので一切関係がありません。

アンバランス回路であっても、GNDを分離して上手に設計すれば、バランス接続の音を知っている人を満足させられるものを作ることも可能である印象です。
一方、バランス出力を備えた市販製品であっても、「バランスらしい音がしない」と一蹴される製品も存在します。
GND周りを上手に設計するのはスピーカーのアンプでも昔から常識でしたが、手抜きな製品もあります。

さて、ではバランスらしい音というのは何かという話になるかと思います。これは測定値で言われても聴感と一致させるのは難しいですから、経験をもとに感覚を共有していくしかないでしょう。

ひとつは、逆相のクロストークの少ない音かどうか。これはキックドラムの音がわかりやすいかと思います。他のパートの音に邪魔されず、キックがセンターでカッチリ鳴るかでわかるかと思います。
また、GNDに抵抗挟んで逆相のクロストークを増やしてみると、クロストークの多い時の音がどうなるかは簡単に体感することができます。

ふたつめは、クロストークが減って特性が良くなったことで、意図的なクロストークを作って音が演出できる点です。たとえば疑似サラウンドみたいなものは、演算結果をより忠実に出力できるようになります。

みっつめは、アンバランスのアンプ回路、バランスのアンプ回路それぞれに依存した特性やサウンドの特徴が好みにあうかどうかだと思います。
「真空管のアンプの音が~」みたいなのと一緒で、特性が悪くても音が好きみたいなのはありますので、バランスのアンプの音が好きならそれを選べば良いかと思います。
このあたりについては、例えばバランス接続の低域はすっきりしすぎるのでアンバランスが好みという意見もあり、その感覚は私にも分かります。

ここまで来るとあとは回路の音作りのセンスの話になりますので、裸のスペックが向上するバランスアンプにするのか、元々持ち備えたサウンドを活かすためにアンバランスアンプにするか、といった感じになるのではないでしょうか。

ともあれ、
「ユーザーは使用しているアンプがバランスかアンバランスかは一切意識せずに使うことができます」
のように、何も考えずに使っていたら気づくことも気づけないので意識して数をこなしてみてはいかがでしょう?



追記

【バランス接続の音】
「ブラジルのコーヒーの味」とか、「磯の香り」とか、「小銭が落ちた音」みたいな感じで「バランス接続の音」をイメージできるくらいの数の経験がないと「良い」「悪い」なんて単純に評価ができるわけがありません。
たまたま1台聴いただけのアンプの評価でバランス接続のすべてを語るなんてナンセンスです。
まずは10台でも100台でも聴いてみてはいかがですか。共通点があるはずです。バランス接続でないと体感できない、バランス接続に期待されるサウンドを得られなければわざわざやる意味がないです。
測れない領域は聴いて感じ取れなければ「ただ作っただけ」なのが露呈してしまいますよ。
以上です


追記

ヘッドホンの「バランス接続」FAQ

○スピーカーは「バランス入力機器」ですか?
→NO

○ヘッドフォンを4線にしてプラグも4極にしたら、それで「バランス入力」になるのですか?
→NO

スピーカーは最初から「バランス化」されているわけですか?
→NO

まず、ヘッドホンにおける「バランス」はそのようにネーミングされて呼ばれているだけであって他の用途で用いられる「バランス」とは別物であり、中にはヘッドホンの用途で「バランス」と呼ぶことを受け入れない人も居るほどです。

>スピーカーは最初から「バランス化」されているわけですか?
これについて、スピーカーユニット単独が「バランスかどうか」という観点でみるとボイスコイルの+極側と-極側がそれぞれ周囲に対して対等な関係にあるかどうかで判断できるでしょう。通常のボイスコイルで巻きはじめ側と巻終わり側それぞれを+極、-極とした場合ユニット全体からみた位置関係が異なりますから、バランスであるとは言い難いでしょう。ネットワーク回路が入った場合は、回路についても同様な観点から判断する必要があるでしょう。
※同じような巻き方であってもトランスの場合はバランス伝送に用いられる場合もあるので、
ケースバイケースで判断が分かれるところです。

ヘッドホンの場合の「バランス」はあくまでネーミングによるものなので、上記は該当しません。2問目の回答は悩ましい部分がありますが、「バランス接続対応」ではなく「バランス入力」になるかということですので、前述のスピーカー場合と同じ判断方法によりNOとしました。

つまるところ、「バランス」という用語はその用途によって解釈や効能、運用のしかたが変わっているのが現状だといえるでしょう。

以上が私の解釈です。わかりまちゅたか?
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