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ヘッドホンマッチングトランス製作依頼品(5)

さて、いよいよ完成も間近になってきました。
今日は特性の測定です。誤配線や不良がないかのチェックとともに、実力性能もチェックしていきます。
DSC_2231.jpg



実は今回はこの測定にかなり苦労をしました。
トランスをチェックするにあたり、アナライザの最小出力インピーダンスの40Ωでは高すぎてしまい、これでは実際の使用環境をかけ離れてしまうため測定ができません。そこで出力インピーダンスが0に近く、限りなく特性の良いバッファアンプが必要となります。
今回はLME49600を使用したこのキットを使用してみました。
出力インピーダンスやドライブ能力、周波数特性は申し分ないのですが、やはりネックとなったのは歪率です。LME49600自体はTHD+N 0.00003%となっていますが、実際にはこうはいきません。
一番の問題は信号入出力がアンバランスであること。日常的な測定で経験しているものの、アンバランス接続ですとどうしてもノイズの影響を避けられません。
THD+Nの測定ではヘッドホンアンプの通常の出力電圧がせいぜいmV程度ですから、μVオーダーのノイズが測定値に影響を与えてしまいます。今回も切り替えながら測定する度に指示値が変わってしまったりする始末。
電源に絶縁トランスを入れたり色々試ししましたが、なかなか思うようにはいきません。
通常の歪率測定では周波数ごとに値が変わることは少なく、ノイズがあっても底上げされるだけなのですが、トランスの場合はカーブ自体が変わってしまいノイズとの見分けもつきにくいようです。
試行錯誤した結果、どうにか公表できる値が出ましたので参考用として掲載します。


測定条件について、とくに条件の書かれていないものは発振器500mV出力、ソースインピーダンス5Ω、負荷63Ω、インピーダンス切り替えLow側になっています。




まずは周波数特性。

インピーダンス設定 Low 63Ω負荷時
freq63ohm.jpg
出力端のレベルは700mV。申し分ないフラットな特性でしょう。電力は7.7mWです。




続いてインピーダンス設定 Hi 300Ω負荷時
freq300ohm.jpg
出力端は1.4V。こちらも素晴らしい特性です。
300Ωのヘッドホンを直接接続した場合、0.8mWほどしか出力されないのに対し、本機を通した場合は6.5mW得られる計算です。音が小さい問題を十分に改善できるでしょう。




チャンネル間位相
トランスの個体差がある場合、チャンネル間に位相差が現れてしまう可能性があります。念のためチェックします。
chphase.jpg
位相差は全域に渡ってほぼ0。良好です。





入力および出力側から見たインピーダンス
トランスを通した場合、ヘッドホンからプレーヤ側がどのようなインピーダンスに見えるか、プレーヤーからヘッドホン側がどのように見えるかをチェックします。

出力を63Ωで終端した場合、プレーヤーからみたインピーダンス
Z_Lo_63term.jpg
1kHzで17Ωほどにみえているようです。ほぼ設計通りです。


インピーダンス設定Hi時、300Ω終端でプレーヤーからみたインピーダンス
Z_Hi_300term.jpg
こちらは20Ωとしてみえています。正常に動作しています。



今度はヘッドホン側からみたインピーダンス
入力を5Ωで終端した時、出力側からみたインピーダンス(設定Low)
Z_Lo_input5ohmterm.jpg
1kHzで26Ωほどになっています。


インピーダンス設定Hi
Z_Hi_input5ohmterm.jpg
1kHzで104Ωになっています。

このようにアンプ側のインピーダンスが若干高くみえるようになることでダンピングファクターが変わり、音の質感の向上に繋がっているのではと思われます。
もう少し大きなソースインピーダンスになっても良いかもしれませんが、機器との相性や音量との兼ね合いもあるのでこのくらいが良い所だと思います。
音量に余裕があれば一次側に10Ωくらいを挿入して、完全にマッチングをとるのもいいかもしれません。



最後に歪率。
ノイズなどの影響を受けやすいのでどの程度信頼できる値かは何ともいえませんが、参考として載せておきます。
発振器出力500mVと100mVにてデータを取りました。
電圧が高いほうがノイズの影響は少なくデータが取りやすくなりますが、トランスは基本的に電圧が高いほど歪が増えます。一般的な聴取レベルとしてはこの中間もしくは小音量ならそれ以下になると思います。



発振器出力500mV時 63Ω負荷 設定Low
THD500mV.jpg
実線がLch、点線がRchです。偏差は少なく収まっています。
出力端は900mVで約13mW出力です。




発振器出力100mV時 63Ω負荷 設定Low
THD100mV.jpg
出力端180mV、約0.5mW出力です。



測定結果は以上です。
なかなか良いスペックに仕上がっていると思いますが、いかがでしょうか?
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No title

低いレベルの歪み測定はノイズに影響受けてなかなか難しいですね。

No title

そうなんですよ。信号自体が1V以下ですからノイズも相当低くならないといけません。信号レベルによって歪が変わるデバイスなので余計です。
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