FC2ブログ

基板用6.3mmステレオジャックに関する覚書

自作ヘッドホンアンプをケースに収めるにあたって基板取付用のジャックを選定したのですが、予想外に苦労したので書き残しておきます。
メーカーは2種類ありますが、一番左のもの以外は基板への取付寸法に互換があるものです。
(一番左のは前から見たときに穴の位置が違うのと、一番右はジャックの穴の寸法と、基板に刺さる樹脂のピンがある点が異なります)

まずは各ジャックを写真でご覧ください。

IMG_4067.png



IMG_4070.png



IMG_4069.png



IMG_4068.png



一番左から解説していきます。
■Amphenol ACJS-MHDRM

ACJS-MHDRM Amphenol Audio | Mouser

M Series (Single) – Entertainment@Amphenol

一番最初に買ってみたジャック。
GND極の接触抵抗が低くなることを期待して差込口のナットの部分が金属製のものを選定したものの、テスタで測ってみるとこの部分はGND(スリーブ)に繋がっていなかったことが判明したので却下。
プラグを挿した時だけシャーシGNDとシグナルGNDが接続される構造は複雑なトラブルの元にしかならないと思うのですが、何故にこのような構造になっているのでしょうか。



■Amphenol ACJS-MHOM

ACJS-MHOM Amphenol Audio | Mouser

最初に買ったのがダメだったので次に試したのがこれ。スリーブがナットの部分と導通していることが記されているので試してみたところ、GND極の接触がルーズすぎて全くもってダメな不良品。
ヘッドホンを繋いだら初っ端から接触不良でGNDが完全に浮いてしまい、LR差信号が聴こえてきてカラオケマシン状態

動画
fixerさんのツイート おいおいおい アンフェノールのジャック 勘弁してくれよ…



■NEUTRIK NRJ6HM-1

NRJ6HM-1 Neutrik | Mouser

NRJ6HM-1 - Neutrik

アンフェノールの製品はダメだということでメーカーを変えて今度はノイトリックを購入。
こちらはナットの部分とGND極はきちんと導通しているし、接触的にも大丈夫そうです。測定はしていませんが聴感上では問題もなくむしろ優秀な感じがしています。
ただ、このノイトリックのジャックはナットとワッシャーが付属していません。ナットはNRJ-NUT-MNとして販売されていますが、ワッシャーは販売されておらず困ったものです。



■NEUTRIK NRJ6HF

NRJ6HF Neutrik | Mouser

NRJ6HF - Neutrik

ワッシャーの入手ができないことと、あと今回のアンプでジャックの接触抵抗が高めでルーズくらいなサウンドでいいかなというのがあり、試しに買ってみたのがこれ。ナットの部分がプラスチックなのでGND(スリーブ)への接点は板バネのみとなります。
こちらもナットワッシャーは別売りです。
これはこれから試してみます。このモデルのみパネルの穴寸法が大きくなります。
なお、基板への取付寸法は他モデルと互換がありますが、このモデルのみ樹脂のピンが2本出ているのでピンを切り取るか、基板に穴を開けておく必要があります。

IMG_4071.png



スポンサーサイト

アンプの出力インピーダンスと、イヤホンの周波数特性の関係

先日より連載している、BAマルチドライバーのイヤホンの周波数特性がヘッドホンアンプの出力インピーダンスによって変動するお話ですが、今日は各メーカーのミキサーのヘッドホン出力のインピーダンスを元に、どのくらいの周波数特性のズレが生じるのかを測定してみました。

各メーカーのミキサーの仕様書や回路図より調べた値はざっと以下の通りでした。

ベリンガー 22Ω
TAPCO 25Ω
Mackie 60Ω
YAMAHA 110Ω

これに加え、イヤホンを鳴らすことを前提とした設計であれば概ね5Ω以下になっていると考えられるため、4種類の出力インピーダンスで周波数特性がどう変わるのかを測定してみました。
本来であればイヤホンから出ている音声を測定するのが理想ですが、今回はイヤホンの端子に印加されている信号レベルを測定していますが、概ねこの周波数特性のズレが、出力される音の周波数特性と一致すると考えて良いでしょう。
なお、信号レベルは各出力インピーダンスで1kHzの時に50mVが印加されるように設定し、それを0dBrとしました。


FitEar MH334
Fitear_5_22_60_110_50mV.png



canal works CW-L71
canal_5_22_60_110_50mV_2.png



audio-technica ATH-IM02
im02_5_22_60_110_50mV.png



【参考】ダイナミック型 Apple EarPods
earpods_5_22_60_110_50mV.png



各メーカーのイヤホンが、何Ωの出力インピーダンスを持つヘッドホンアンプに接続することを基準として設計されているのか不明ですが理想は0Ωと考えてこれをフラットとすると、110Ωもの出力インピーダンスを持つようなYAMAHAのミキサーでは可聴域で10dBくらいの周波数特性の暴れが生じることがわかりました。

これが実際の使用時に問題とされていることは現状あまり無いようですが、ここまで特性が変わるとするならばヘッドホンアンプの導入等、検討してみる余地はありそうです。





※追記
イヤホンの音響出力を測るカプラーが無いので、差分を見る目的で無理やりマイクに繋いで測ってみました。
100Hzで6dB差とか、概ね電圧レベルの周波数特性の同じような差分が出てるといえるのではないでしょうか。
D0QXvl3V4AAQ7qv.jpg



IM02カプラ5Ω110Ω

イヤモニ用のマッチングトランスを作る 2

現在、多くの機材のヘッドホン端子はイヤホンの使用を想定しておらず、出力インピーダンスが数十Ω程度と高いものとなっています。このためマルチBAドライバのイヤホンを接続すると周波数バランスが崩れてしまったり、イヤホンの感度が高いせいで、サーという残留ノイズが目立ってしまうことがあります。
そこで、ミキサー等のヘッドホン端子にイヤホンを接続する場合、間に挟むことで周波数バランスとノイズの問題を解決するマッチングトランスを作ってみることにします。

Dz-rVETU0AEitRK.jpg


また、ヘッドホン端子に接続することのみならず、ミキサーのバランスライン出力からの信号を使って、電源不要でイヤホンを鳴らすことが出来るようにもしてみます。


必要となるトランスについては、仕様を検討した上で染谷電子さんに製作をお願いすることにしました。今回のようなトランスは完全なインピーダンスマッチングを取って信号伝送を行うわけではないため、仕様の決定は難しいところがあります。基本的にはトランスの特性を加味しながら、公称値となるものを探っていく形をとることになります。
大雑把には、使用するヘッドホンアンプの出力インピーダンスや最大レベルといった値、イヤホンのインピーダンスや必要とする音量(電圧レベル)をもとに巻線比を決定。巻線の量は公称のインピーダンス比によってかわるので、十分な周波数特性を得られるように、余裕を持って高いインピーダンスで受けるような形にするのが良いようです。
検討した結果、ヘッドホン出力は公称150Ωで受けることにしました。さらに同じ巻線をもう1組用意して直列にすることで600Ω受けとし、バランスライン出力を受けられるようにしています。出力は4Ωと16Ωの2つを用意して、イヤホンや聴感によって使い分けられるようにしました。
コアについてはヘッドホン用途としては経験上、方向性珪素鋼板の場合は41mm幅、PBパーマロイの場合は28mm幅のコアがあれば大丈夫そうだといえますが、基本的には大きければ大きいほど低域の特性が良くなる傾向にあります。


という感じで、メールで打ち合わせをした結果、コア材違いで2種類のトランスを製作してもらうことになりました。
Dz0SkFJVAAAPKci.jpg



出来上がったトランスは、このようにケースに組み込みました。
Dz6afhyUUAATpDq.jpg


Dz6dejcUcAAq8Ij.jpg


Dz6dejeU0AAlq8R.jpg


Dz68F5pUwAAcXy2.jpg


2つのトランスを測定して比べてみたところ、正直ほとんど性能が変わらないようにみられました。これはコア材の性能差を、コアのサイズで吸収した形になったのかもしれません。聴感上でいうと、パーマロイのほうが低域がはっきりしている感じがするのですが、珪素鋼板のほうが耳への馴染みが良く、今回のようなイヤーモニターの用途には向いている気がしました。
ちなみにコア材が異なると巻数の適正値も変わってくるらしく、厳密なコア材だけの違いを比較することは難しくなります。


さて、トランスを挟んだ場合で特性がどう変わるか確認してみましょう。
以前の記事で行った実験と同じように、イヤホンを鳴らしている状態で、イヤホンに印加されている信号レベルを測定したもので比較してみます。


まずこれが、ミキサーのヘッドホン端子に直接接続した場合
Mackie卓直



こちらが、出力インピーダンスがほぼ0Ωのヘッドホンアンプを使用した場合
アンバラ王経由



で、これがミキサーのヘッドホン端子とイヤホンの間に製作したマッチングトランスを接続した場合
トランス付き


いかがでしょうか。暴れていた周波数特性が、だいぶフラットに落ち着かせることが出来ました。
実際に音楽を大音量で鳴らしてみても、中域が耳を刺激することなく、快適にモニターすることが出来るようになりました。
また、ミキサーに直接接続した際は、フェーダーを下げた時でも残留ノイズが聴こえて気になっていたのですが、これもかなり改善されました。

こんな感じで、良い具合に製作できましたが、もしこういったアイテムを必要としていましたら、メーカー資料等さらに詳しいものもありますので、ご連絡ください。いまのところ商品化するかはわかりませんが、業務用途でお困りの状況等あれば評価機も用意しようと思っています。



実験時のツイッターのようす
https://twitter.com/fixerhpa/status/1098185991330750464





※追記
いつも通り、トランスのデータシートを公表することにしました。
もし製作される方があれば、この型番で発注が可能です。(2個だと試作扱いで単価が高いけれど)


型番:A41-166
珪素鋼板コア (大きい方)
たぶん、こっちのほうが聴きやすい音
A28-295ds.png

A28-295gr.png



型番:A28-295
パーマロイコア(小さい方)
コア材としては優秀で高級
A28-295ds.png

A28-295gr.png




イヤモニ用のマッチングトランスを作る 1

ステージモニター等の用途でBAマルチドライバーのイヤホンをキューボックスや小型ミキサーに接続して使った場合、周波数バランスがおかしくなるという問題があります。
イヤモニに使用を前提としていない機材のヘッドホン端子は出力インピーダンスが数十Ωくらいあり、これによりイヤホン内のネットワーク回路が正しく動作しないことが原因です。
ボディパックのイヤモニ受信機や、スマホ等はイヤホンの使用を想定しているため正しい音で再生することができても、そうではない機材の場合は中域が強調されてやかましくなったり、低域が過剰になったりします。

前回の記事ではイヤホンのインピーダンス測定の記事で、BAマルチドライバーのイヤホンでは周波数に対してインピーダンスが一定でないことを確認しました。

それでは実際に、マルチBAドライバのイヤホンを出力インピーダンスが高いヘッドホン端子に繋いだ場合、イヤホンに印加されている信号の周波数特性がどうなっているかを測定してみることにします。


まずは、出力インピーダンスが低く、限りなく0Ωに近いヘッドホンアンプに接続した場合の特性です。ヘッドホンアンプにイヤホンを接続した状態で周波数特性を測定するスイープ信号を流し、イヤホン端子の部分の信号を観測したものです。
アンバラ王経由

アンプの出力インピーダンスが完全な0Ωではないことや、プラグやジャックの抵抗分があるため完全な一直線にはなりませんが、概ね真っ直ぐでフラットな信号がイヤホンに供給できていることがわかります。


続いて、Mackieのコンパクトミキサー 1402-VLZ PROのヘッドホン出力を使った場合の特性です。
Mackie卓直

ご覧のように周波数特性カーブが暴れており、周波数によって印加されている電圧レベルが数dBも開いていることがわかります。
FitEar MH334では低域がなくなって中域が目立つようになり、canal works CW-L71では低域が盛り上がって聴こえる現象を確認することができました。


さて、上記のような現象を回避するためには、イヤホンへの信号源インピーダンスを低くする必要があります。方法としてはミキサーにヘッドホンアンプを外付けする方法がありますが、なかなかイヤホン用としてインピーダンスが低く手頃で確実なヘッドホンアンプが見当たらないことと、電源が必要となると煩雑となるので、別の方法を検討してみました。

1.アッテネーターを使う方法。
ミキサーのヘッドホン出力は60Ωほどの出力インピーダンスがあるので、ここにアッテネーターを挿入してイヤホン側からみたインピーダンスを低くする方法があります。
簡単には、イヤホンのLとRのそれぞれをGNDに対して抵抗で落としてやることで実現できます。
アンプから出力される電力の大半を抵抗器で無駄に消費させて音量を下げるとともに見かけ上の出力インピーダンスを小さくするものです。

Dz-kEKrU8AAaKdE.jpg

ただ、この方法はお手軽な反面、技術的な制約があり、インピーダンスを低くするために必要十分な抵抗(1Ωとか)を入れた場合、アッテネータが効きすぎて音量が小さくなってしまうこと、過負荷によってヘッドホンアンプに負担が掛かり、音が歪んだり故障を招く可能性がある等の問題があり、使用するヘッドホン端子やイヤホンの仕様を踏まえて十分に検討する必要があります。


2.トランスを使ってインピーダンスを下げる方法
いわゆるマッチングトランスを用いて、ヘッドホン出力のインピーダンスを下げるとともに、信号レベルも下げる方法があります。こちらの方法であればアンプへの負担が増えることなく、インピーダンスを下げることができます。少し大掛かりではありますが、この方法なら外付けアンプと違って電源不要で簡単で確実な方法が得られそうです。

続く

Analog Discoveryでイヤホンのインピーダンス測定

Analog Discoveryという、USBオシロスコープ+拡張機能みたいな測定器でインピーダンス測定ができるので、この機能を使ってイヤホンのインピーダンスを測ってみました。
インピーダンス測定には専用のオプションボードがありますが、それと同じ回路で10Ωの抵抗を使い、50mVで測定してみました。
細かいことは色々ありますが、とりあえず黄色の実線のカーブを見て参考にすると良いと思います。

Dz7MyGQUcAAl_1E.jpg




FitEar MH334
FitEar MH334インピーダンス

もともとインピーダンスを確認したかったのがこのイヤホンでした。マルチBAドライバーなので、イヤホン内部にネットワーク回路が組まれており、周波数帯域ごとに分割された信号が低域用や高域用のBAドライバーに供給されています。
ネットワーク回路があるため周波数に対してインピーダンスが一定ではなくカーブを描いています。よって、使用するヘッドホンアンプの出力インピーダンスによって、周波数バランスが変わってしまいます。



canal works CW-L71
canal works cw-l71インピーダンス

これも同じくマルチBAタイプのカスタムイヤホンです。MH334では中域のインピーダンスが高かったのに対し、CW-L71では低域のインピーダンスが高くなっています。これはネットワーク回路の方式の違いによるものとみられます。
この結果、出力インピーダンスの高いヘッドホンアンプに接続して聴いた場合、MH334は低域がなくなって中域が目立つようになるのに対し、CW-L71では低域が盛り上がって聴こえるようになりました。



audio-technica ATH-IM02
audiotechnica ath-im02インピーダンス

こちらもマルチBAタイプのユニバーサル型イヤホンです。



audio-technica ATH-IM50
audiotechnica ath-im50インピーダンス



audio-technica ATH-IM50
対してこちらはダイナミックドライバのイヤホンです。ネットワーク回路を使用していないため、インピーダンスがフラットです。このようなイヤホンの場合は、アンプの出力インピーダンスが変わっても、音の変化は小さくなります。



参考までにあといくつかのデータを載せておきます。

PHILIPS SHE8100
philips she8100インピーダンス



intime SORA
intime sora インピーダンス



SONY MDR-CD900ST
SONY MDR-CD900ST インピーダンス



TAGO STUDIO T3-01
tago studio t3-01 インピーダンス


実験時のツイートもご参考ください
https://twitter.com/fixerhpa/status/1098540525852884992





※追記

Analog Discoveryでのイヤホン・ヘッドホンのインピーダンス測定が簡単に出来るようにアダプタ基板を作りました。

D00YqU0V4AEinb1.png



D00YqUyU0AI8N2B.png



D00ZkykVAAEPytg.png



D00ZkyjVYAEmuVa.png





プロフィール

fixer

Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
Twitter @fixerhpa
頒布中のバランスキット関連はこちら

最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム
最新コメント
カテゴリ
RSSリンクの表示
リンク