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USBDAC製作例

0017955s.jpg




KFtaroさまよりUSBDACの製作レポートが届きましたので紹介します。
アルミケースにちょうどピッタリ収まり、肉厚3mmもあるLアングル(20×20mm)の質感が抜群です。
うちはいつも2mm厚なのですが、やはりこのくらいあると見栄えがしますね。
パイロットランプは光ファイバーで引き出しているとのこと。最近は市販品でもランプをパネルまで
光学的に延長している製品も多いですが、これを自作で用いるのもいいですね。
肝心な音も気に入っていただけたようで何よりです。どうぞ楽しんでください。
レポートありがとうございました。
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AKI.DAC-U2704+A28-224トランス ch間特性

USBDAC+トランスでいろいろと測定やってきましたが、ch間の誤差について確認していなかったので調べてみました。

トランスを使って帯域外ノイズを遮断することもあって、けっこう可聴帯域ギリギリの部分を追い込む定数になっていたりするので、その部分での左右バラツキが無いか、また音声トランス自体、個体ごとどの程度の偏差がありうるのか不明なのでちょっと心配しつつも測定みました。データは以下の通りです。


■周波数特性

PCM2704_A28224_freq_20120614232654.gif

心配していた高域での減衰カーブですが、見事に一致していることが確認できました。
全体的に0.1dBほどの差があり、トランスか抵抗の誤差かなと疑いましたが、秋月キットの標準状態でもこの差がみられたため、おそらくPCM2704自体の誤差であると思われます。
というわけで文句なしの特性でした。



■ch間位相差

PCM2704_A28224_phase.gif
ch間の位相差は聴感上に影響がありますので大きなズレ(パーツの個体差)が出ると問題です。
知覚しやすい中低域においてはほぼ0度なので全くもって安心です。高域においてわずかにズレがありますが20kHzにおいて4.3度。十分すぎる性能ではないでしょうか?

なお、高域の位相については負荷の抵抗など微妙に加減することでもっと追い込めそうな雰囲気でしたのでどうしても気になったら挑戦してみてもいいかもしれません。



※これらの特性はAKI.DAC-U2704+A28-224トランス完成編の回路より10Ωを除いて直接トランス一次側へ接続した状態にて測定しています。

A28-224トランス 周波数特性

PCM2704の出力昇圧および帯域外ノイズカットを目的に製作したトランスA28-224ですが、周波数特性の測定においてDAコンバータのサンプリング周波数が48kHz留まりのため20kHzまでの測定が限界でした。
実際、ナイキスト周波数近辺および帯域外での動作を測っていなかったため、今回測定してみました。

PCM2704の出力インピーダンスがほぼ0Ωのため、これに合わせて信号源インピーダンスが低くする必要があります。アナライザの出力インピーダンスは最小で40Ωのため、このままでは使えません。
そこでオペアンプによるバッファを通し、その出力をPCM2704に見立てて付随回路経由でトランスに接続しました。
なお付随回路の定数ですが、カップリングコンデンサは470μF、一次側の抵抗10Ωは取り去ってトランスに直接接続(測定結果への影響はほとんどなし)、出力側は1.5kΩにて終端した状態です。


それでは測定結果をご覧ください。

A28224_Freq_analog.gif

必要な20kHzまでの周波数はバッチリ通し、それ以降はおよそ10dB/octくらいで遮断されていることが確認できました。

どうでしょう? 少なくとも周波数特性においては文句のつけようのないスペックが得られていると思います。

AKI.DAC-U2704+A28-224トランス完成編

前回の記事の定数を見なおした完成型です。

こちらのほうがズッシリと腰の据わって音が前に来るような音質で低域もしっかり出るので、これを完成形にしたいと思います。特性も確かに大切なのですが、そればかりに目を向けていると音がつまらなくなる場合があることを痛感しました。やはり心地よく聴こえないとダメですよね。


ということで今度の回路は
PCM2704_A28224_2__1.jpg

PCM2704_A28224_2_2.jpg

変更点はまず一次側の抵抗を10Ωに交換。フィルタのコンデンサは抵抗が小さくなって組めなくなることと、変更後の回路では無くても十分にノイズの減衰が得られたので思い切って撤去。負荷が重くなったことによりカップリングコンデンサの値が不足となり低域の特性が伸びなくなるので470μFに交換。
二次側の負荷抵抗は1.5kΩに変更。これは実測により高域のピークが治まるちょうど良い値にしています。負荷は少なくとも10kΩ、通常47kΩでしょうから負荷変動による影響は無視できるでしょう。
ちなみに10Ωの抵抗ですが、取り去っても良いと思います。当初は無しで組んでいたのですが試聴した結果、なんかトランスらしさが足りない"気がした"ので急遽入れることにしました。

そんなわけで特性です。


■出力レベル 2.02Vrms @0dBFS
これは民生ラインレベルの2Vrms目標としていたのでバッチリです。

■周波数特性 @0dBFs
PCM2704_A28224_2_freq.gif
前回の回路にあった高域のわずかなもち上がりが解消されました。
これは前回より改善されています。


■THD+N 全高調波歪率 @-7dBFs
PCM2704_A28224_2_THD.gif
これは低インピーダンス駆動になったおかげで100Hzにおいては0.029%と良くなっていますが、1KHzにおいての値が0.012%と、僅かながら上昇してしまいました。まあ、全く問題ないんですけどね。



PCM2704_A28224_2_THD100Hz.gif
100Hzでのレベルごとの値は測定したうちの最大、最小レベルでは大差ないものの、中間域ではこちらのほうが優れています。例えば-20dBFsにおいては前回が0.162%であったのに対し、0.066%に改善されています。


次に帯域外ノイズです。
1kHz -7dBFs信号での帯域制限ごとのTHD+Nは
~22kHz 0.0124%
~30kHz 0.0147%
~80kHz 0.0338%
>300kHz 0.0367%

といった具合でしっかり帯域制限した場合は若干歪率が上昇していますが(おそらくPCM2704の負荷が重くなったことが原因)、帯域制限を緩くしていくと前回より数値が良くなっています。これは帯域外ノイズがより鋭くカットできるようになったといえるでしょう。

PCM2704_A28224_2_1KHz-40dB_.gif
波形でもトランスによるノイズ除去効果が前回同等に確認できています。(1kHz -40dBFs)


そんなわけで、歪率で0がひとつ減ってしまった事だけが心残りですが、サウンド的には音楽を楽しめる完成形になったと思います。近年のハイサンプリングで低歪を追求したサラッとした綺麗な音も良いですが、Fs48kHz留まりのローレゾDAC+トランスで聴くガッツリサウンドも良いんじゃないんでしょうか??

完成後、改めてノーマルの状態と聴き比べてみましたが、ノーマルだとレベルがだいぶ低いのはもちろん、定位がベッタリとしていて明らかに違う音をしていました。トランスを組むにあたって常に別のDACと比較したりもしていましたが、AKI.DAC-U2704のノーマルの状態だけは明らかに音質が違う感じでした。高周波ノイズの影響もあるんでしょうかね。あらためて改造した効果があったと実感しました。

以上、私からのUSBDAC+トランス仕様はこれでエントリーしたいと思います。いずれ比較試聴とか出来ると良いんですけどね。



あ、まだケース入れてないや。


ちなみにこのトランスですが、iPodなどのヘッドホン端子からライン入力に接続した際にレベルが足りない時にも使用できます。なにしろPCM2704自体も微妙にレベルの足りないヘッドホン出力ですのでやることは一緒です。この場合は470μFのカップリングコンデンサ、これは必要ないので省略し10Ω抵抗のところにヘッドホン出力の信号を接続すると良いでしょう。


※基板接続ポイント
CA3G0131.jpg
C3(Lch)、C4(Rch)より音声信号を分岐してください。PCM2704の出力をそのまま取り出します。
コンデンサの足はR6,R7に繋がっていないほうです。

GNDはRCA端子の部分が取り出しやすいでしょう。ベタGNDなのでL,Rchを区別する必要はありません。
最終的にはトランスの一次側のGND線(黒)を基板に直接配線するようにしました。この線は若干電流が流れるため、左右chの干渉を防ぐことを願って変更しました。どちらでも大差はなく、また好みによって変更して構いません。その他のGND部分は殆ど電流が流れないのでまとめて1本で配線して良いと思います。よって写真では計3本のGND線が配線されています。

2704_schematic.jpg

AKI.DAC-U2704+A28-224トランス失敗編

PCM2704に組み合わせてちょうど良いライン出力が出来るように考えて注文していたトランスが染谷電子さんから今日巻き上がってきました。

DSC_0906.jpg


さて早速、測定をしながら付随回路を検討していったのですが、この記事の定数は自分的に失敗でした。
特性的にはそれなりに良い値に追い込めたのですが肝心の音がうーん、決して悪くはないのですがなんかつまらなかったんです。というわけで最終的には定数をガラリと変えてしまうことになるのですが、これはこれで一応紹介しておきます。人によっては好みな音になるかもしれないので。

まずは全体図
PCM2704_A28224_1.jpg

拡大図
PCM2704_A28224_2.jpg

回路はAKI.DAC-U2704のPCM2704の音声出力ピンから直接引き出した信号線に220μFのカップリングコンデンサを経由したのち36Ωと0.1μFでLPFを組みトランスへ入力。トランスの先は3.9kΩで終端。

これで以下のような特性に落ち着きました。


■出力レベル 2.08Vrms @0dBFS
これはちょうどいいですね。


■周波数特性
PCM2704_A28224_freq.gif
高域で若干ピークが出ていますが、まあ良い感じではないでしょうか。


■THD+N
PCM2704_A28224_THD.gif
最良値近辺である-7dBFs、帯域制限22kHzにて測定。
これも悪くはないと思います。
1kHzで0.009%、100Hzで0.075%という具合です。


■THD+N 100Hz レベルごと
PCM2704_A28224_THD100Hz.gif
トランスのレベルの変化にともなう低域の歪を見るために100Hzでとった値です。
0dBFsが最良値で0.037%、-40dBFsで0.34%でした。


次に懸念されている帯域外ノイズを調べてみました。
1kHz -7dBFsにて帯域制限を切り替えながらTHD+Nをみますと
~22kHz 0.0081%
~30kHz 0.0130%
~80kHz 0.0411%
>300kHz 0.043%

と、いい具合にカットできました。
オシロスコープにて波形をみても、キット直出力(緑色)にくらべてトランス出力(黄色)は波形がクッキリしておりノイズが少ないことは一目瞭然です。
PCM2704_A28224_1KHz-40dB_no.gif


てなわけで、スペック的にはなかなか良い感じに仕上がったのですが、この後に音を聴いてガッカリするわけです。
いやあ、ホント悪くはないんですよ。直よりはよく鳴ってますけど、なんかこの前に実験したときのようなグッと来るものがなかったんです。これでは誰かに聴かせたりおすすめするほどじゃないなと思いまして。

そんなわけで次は定数変更したバージョンをお送りします。
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