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CDのボーカル音量を調整する

ももクロのZ女戦争のシングル再生してたんですよ。
作業して聞き流してたらカラオケトラックに突入して、面倒だからそのまま聴いてたらオケがすごいんだよ。気合入ってんなーと思ってジャケットみたらびっくり。

作詞作曲: ティカ・α(やくしまるえつこ)
編曲: 近藤研二
Guitar & Other Instrument: 近藤研二
Drums: Jimanica
Syntheseizer Manipulator: 栗山善親
Violin Top: 桑野聖
Violin: 押鐘貴之、久永泉、井戸柄里 南条由起、三浦道子、高田智恵、下川美帆
Viola: 矢野晴子、西森記子、上田敏子
Violoncello: 古川淑恵、唐沢安岐奈
ContraBass: 玉木寿美
Trumpet: エリック・ミヤシロ、西村浩二
Trombone: 中川英二郎
Tenor Saxophone: Bob・Zung
Chorus: ミュージッククリエイション
Mixing Engineer: 米津裕二郎
Mixing Sturio: prime sound studio form
Mastering Engineer: 滝口"Tucky"博達
Mastering Studio: parasight mastering

というわけで1曲目だけ豪華なオケで、2曲目はここまで生楽器は多くなく、3曲目はオール打ち込みな感じ。

でも、カラオケトラック聴いたから気づいたものの、歌入りで聴いてたら全然オケなんか耳がいかないのでどのトラックも大差なく聴こえるんだよね。


なのでカラオケトラックだけ聴いて楽しんでもいいんだけど、
やっぱ歌デカすぎなんじゃね? って思ったんですよ。

そこで、歌の音量を後から調整する方法を思いつきました。



まずはCDから歌入りとカラオケトラックをリッピングして、ProToolsに貼り付けます。

Vo_level1.png




そして1サンプルたりともズレないように頭を揃え…
あとはミキサーで混ぜるだけ!

Vo_level2.png


出力が飽和しないように歌入りのトラックは3dBくらい絞っておき、ここにカラオケトラックの音量を足していきます。

そうすると、あら不思議。オケの音が大きくなってボーカルの音が小さくなります。

当たり前といえば当たり前なのですが、レコーディングからマスタリングまでアナログテープではなく時間軸管理が厳密にこなせるDAWで制作されているからこそ成せる業。



ちなみに片方のトラックを逆相にすれば、今度はボーカルが大きくなります。
Vo_level3.png

ちなみに同じレベルでミックスすると、あら不思議。かなりの精度でボーカルのみが抽出できてしまいます。



というわけでこんな方法でミキシング済のCD音源でボーカルの音量を調整することが簡単にできました。
ただ、マスターコンプのせいかアタック部分で若干レベルがふらつくので、いま一度コンプをかけて均してやるといいと思います。


このテクニックはMAD作成やマッシュアップにも役立ちそうですね。

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邪王真眼で学ぶ自宅マスタリング術

ネットを漁っててふと聴いた「漆黒に躍る弧濁覇王節」という曲の3連符の挟み具合にツボったんです。

「節」ってつくから一応それっぽいアレンジになってるわけですが、純邦楽のリズムって面白いです。
例えば「炭坑節」って曲がありますけど、あれはやはり3連符を多用してますし、4/4拍子だけど
4小節に1回2/4拍子が挟まってたりして。純邦楽の独特のリズムけっこう好きなんですよ。


で、この曲の入っている「暗黒虹彩楽典」というCDを買ったんですが、あまりにも音が悪い。

ここのレポートで全曲音がモゴモゴして、この曲に関しては音割れがあると書かれていますが、まさにそんな感じです。

音割れについては例によってクリップ歪みたいなんですが、波形としてはあまりはっきりクリップしているようではないので、マスタリングではなく2mixの段階でクリップしてたのかもしれません。

音質のモゴモゴについては中低域くらいに変なピークがあって、主にこれが悪さをしているようです。

あと肝心なのは、音質というより、リズムのノリが悪い感じ。これはおそらく基準となる大太鼓の音が埋もれてしまって聞こえないので不安定感が出てしまってるんだと思われます。


というわけで、このCDを教材として使い、例によって勝手にリマスタリングしてみることにしました。いわゆる魔力コード解除と呼ばれるものです。
私も含め素人が簡単にできるようなものではないですが、こうやって楽曲と向き合うことは耳の訓練となり、数をこなすうちに音の聞きどころが判るようになってくるものです。


まず最初はクリップ歪の除去から。今回は歪の除去後に大改造を行うので、あらかじめ24bitファイルに変換してから処理を行います。

Pure2の時と同じようにDeclipツールを用いてクリップ歪を除去します。
キャプチャ


次に、それでも残ってしまうボーカルの歪を聴感でチェックしながらDecrackleツールを用いて手作業で除去します。
キャプチャ2

上記の2種類でだいぶ音割れが低減できました。




次はProToolsにて大幅なエディット作業を行います。

まずはEQ処理から。
どうもEQは苦手なんですが、出過ぎている帯域を聴感で判断して削り、また足りなくて聞こえづらい帯域を持ち上げます。
モゴモゴ感は200Hz近辺のピークが影響しているようです。
あとはボーカルの痛々しいピークを削ったり、大太鼓の音を出そうと低域を持ち上げました。
要領わるいのでプラグイン3つも立ち上げることになりましたが、上手い人ならもっとピンポイントで要領良く掛けられると思います。


キャプチャ4

こうやってEQを掛けて補正していくと、周波数特性だけでなくステレオ定位の広がり具合も自然になってくるので不思議なものです。元の状態はダンゴのようにセンターにドカッといる感じでした。




大太鼓ですが、残念ながらEQ掛けてもリズムが前に出てこないので、奥の手を使います。
あらかじめ楽曲のテンポを割り出し(131bpm)、グリッドを使って作業ができるように整えたうち、大太鼓の鳴っている部分をピンポイントでボリュームアップします。

キャプチャ3

フェーダーカーブは1つだと作業がしづらいので、AUXを2本通すことにしました。1本はリズムの補正用、もう1本は全体のレベル調整やボーカルが局所的に引っ込んでいる部分を持ち上げたりするのに使用しました。

※いま気づいたけどグリッドが3連符になってなかった…。まあタイミング精度の問題もあるので大まかでいいんだけど。
→修正してみたけれど、ボーカルに掛かっちゃったりして元の状態のほうが良かった。ボーカルもシャッフルが3連符だったり付点だったりして統一されていない感じ。



やっぱり表拍はドンッって出したほうが曲のノリが良くなりますね。

音圧を上げすぎてベッタリとアクセントのなくなってしまった音源も、こうやって手作業で逆のことをやることでいくらか復活することが可能です。

ミックス前の素材が無くとも、こうやればある程度なんとかなるもんです。すごい時代です。


キャプチャ5


あとは軽くコンプとリミッターをかけてレベルを整えます。
そういえばコンプレッサーってあんま好きじゃないんですよ。フェーダーが書けなかった時代はコンプレッサーという自動音量調整機を使うしかなかったんですが、やっぱり通しでガッツリ掛けると不自然さが出てしまいます。なので、なるべく手作業でフェーダー書いて、最後に細かい部分を揃えるくらいで使うのが好きです。
前にボーカルエディットで1音ずつ全部フェーダー書いてたら、そこまですんのかよっていわれたことがありますが。

でもやっぱり、いい楽曲、いい録音ってのは言い換えれば、欲しい音が欲しいタイミングで丁度いい音量で出てくるものだと思うんですよ。聴いていていいなーと思う録音物は、やっぱこういう部分がキチンとしてるもんです。



で、とりあえず今日の段階での作業前後の波形の比較。
キャプチャ6

やっぱりある程度は音圧揃えておいたほうが聴きやすいので、最低限は持ち上げました。
元のCDと比べると3dBくらいは音量が落ちてしますが、仕方ないです。


音についてはだいぶ変な癖が取れてリズムも掴みやすくなったと思います。


http://www.nicovideo.jp/watch/sm22241532





Pure2のノイズで学ぶ現代のオーディオ修復技術

昨日、機材のチェックを兼ねてSACDハイブリッドの「Pure2 Ultimate Cool Japan Jazz」を聴いていたんですよ。このCDはオーディオマニア界隈ではけっこう有名な盤で、原曲を知らない人は知らないでいるほうが幸せなのですが、90年代の懐かしいエッチなパソコンゲームの主題歌やBGMなどをジャズアレンジしたCDです。

で、メンテした機材を通して再生して流し聞きしてたら、なんかボーカルが歪むんですよ。ビリビリッって。
やべ、なんか壊れたかな? とか焦って機材をひと通り調べたら、どうやらCDソースそのものが歪んでるわけで、あらびっくり。

音質を売りにしているCDなのに、音が歪んでるって何だよ。

ネットで検索してみたら、発売当初にも「6トラックにノイズがある」と気づいた人は多く居たようです。
2011年発売の盤なので、もう2年も経つんですね。そろそろPure 3が出るそうで。

このCDはそれなりに気に入っているのですが、特定の曲を再生することはよくあったものの、通しで聞く機会があまりなかったのでいままで気づきませんでした。6トラックの「トモシビ」がボーカル主体の構成で歪が目立ちやすいのですが、全体的にその傾向はあるようです。

ライナーノーツを見てみると、ボーカルのマイクはALTEC 639BだったりRCA 77DXだったりと古いリボンマイクなので多少の不調は仕方ないかなーと思ったのですが、この後の調査でとんでもないことが判明したのです。



「音圧の上げ方が雑なために波形がクリップして歪が出てただけ」



なお、これらはSACDの再生環境がないのでCD-DAで確認していますが、ネット上ではSACD層も同じようにノイズがあると書かれていましたので一緒でしょう。

でも、それもちょっとおかしいですね。PCMのフルスケールで起こっているクリップ歪がSACD層にもあるって。PCMでガチガチに音圧上げてマスタリングしたソースをそのまま1bit変換してSACDにしちゃったんでしょうかね。



とりあえず検証と修復について記しておきます。勝手にリマスターして歪のないバージョンのCDを作ります。



まずはノイズ(歪)部分の波形の目視での確認です。
pure_clip.png

ご覧の通り、無茶して音圧稼ごうとした(もしくは前段階での録音レベルの不適切な設定)による波形クリップ歪です。一応マージンは0.1dBあるみたいですが、マキシマイズ系のソフトのリミット設定なんでしょうか。

ひと昔前は鉛筆ツールで波形書くとか古典的な方法で修正していたのですが、現在はいいツールがあります。



iZotope RX 2のDeclipツール。名前まんまです。
pure_declip.png

-0.3dBに達したものをクリップとみなし、クリップ部分を補完し、飛び出した部分を収めるために5.3dB全体のゲインを下げますよという設定です。これは実際に聴感でチェックしながら、修正後にCD全体で最大レベルでクリップしないように設定した値です。



Declip使用前
pure_before.png


Declip使用後
pure_after.png


全体のレベルが5.3dB落ちてしまうのも気になりますが、波形を見た感じで精神衛生上とても良い感じになったと思います。


pure_hikaku.png

ProToolsに並べてレベルを揃えて比較試聴します。クリップ歪の出ていた部分はまず気づかないくらいに修復することができました。


波形比較
pure_hikaku2.png


ちなみにクリップ歪を自動的にチェックできるツールもあります。
pure_meter.png

今回のようにはっきりと目視でわかるノイズの他に、インターサンプルピークなどと呼ばれるサンプリング間に仮想的に存在するクリップによる歪についてもチェックできます。問題の箇所を再生するとログがダダダーっと流れるのが爽快です。





さて、歪問題についてはこれでバッチリですが、これらの作業をやっている間にもうひとつの問題を発見しました。
高域の15.75kHz近辺に常にノイズが乗っています。耳の良い人には「ピー」と聴こえるはず。

pure_spect.png

こんな感じでレベルとしては-60dB程度とごく微量なのですが、こうやって山が立っていると気になりますね。
周波数からして、テレビの水平走査周波数だと思います。ケーブルが近接していて拾ったとかでしょうか。

pure_noise.png
このように音のある部分、ない部分にかかわからずレベル一定で乗っているので、おそらく2ミックスの段階かマスタリングの段階で混入したのではと推測されます。


これも除去は簡単。フォトショップの操作と同じように、取り除きたい部分を選択ツールで囲って削除を行うだけ。

処置前
pure_noise1.png


囲って…
pure_noise3.png



削除!
pure_noise2.png



処置前
pure_spect3.png


処置後
pure_spect2.png


バッチリです。




ちなみにこのノイズですが、曲によってレベルが若干変わったり、周波数もズレがあるようです。
pure_noise4.png


Tr.10は15.75kHzのノイズが極小さく、Tr.12にあたってはノイズの存在が認められませんでした。録音や編集の方法が違ったのでしょうか?
ちなみにライナーノーツやweb上のインタビューを読むと、ボーカル曲はProToolsによる録音、インスト曲は2インチアナログMTRだそう。全曲であるかは不明なものの、マスターはアナログテープを用いているとか。

いずれにせよ、マスタリング、もしくはそれに近いミックス作業の終盤あたりで混入したのではないかと思われます。
15.75kHzはレベルが低いこともあって聴感で気づけるかは疑問ですが(そういえば私もまだちゃんと聴いていなかった…)、ボーカルの歪は制作中に誰も気づかなかったのでしょうか? アイドル物のJ-POPとかならまだしも、一応音質を売りにしているCDでここまであからさまなクリップ歪は正直どうかと思います。
まあ、6dB音圧レベルが下がった場合のクレーム数と比べたらクリップ歪に気づいてクレームを入れるオーディオマニアは少ないと判断したのかも、しれないですけどね



こうやって完成したものを、CDマスタリングソフトを使って元の盤からCUEシートを吸い出して、オーディオファイルを差し替えてCD-Rに焼いて自己リマスタリング盤の完成です。これでクリップ歪がなく安心してPure 2を鑑賞することができるようになりました。
pure_master.png



記事中においてメインで使用したオーディオ修復ソフト「iZotope RX 2」は下記のメーカーサイトでデモ版が入手可能です。上記のパラメータを使用してクリップ歪が改善されることを是非お試しください。
ttp://www.izotope.com/products/audio/rx/download.asp

なお、同サイトでクレジットカード決済、ダウンロード販売で簡単即時に安価で購入可能です。概ね日本語対応みたいですし私も簡単に買えました。
別に回し者ではないですが、便利でいいツールですよ。


※追記
ミックス段階で歪が発生した可能性が否定できないためマスタリングが悪いと書くのをやめたのですが、こうやってユーザーサイドで修復可能であるということは当然マスタリング段階で気づいて修復することも可能だったはずです。そう考えるとやはり責任はマスタリングにあるのでしょうか? ライナーノーツには国内トップクラスのスタジオのチーフエンジニアの名前が記されているのですが、一体どうしたものでしょうか。


CD全体で差分出してみたよ。
pure_clip2.png

クリップの量よりクリップした部分が何の音であるかが問題みたい。やっぱボーカルの歪は分かりやすい。改めて聴くとTr.3もかなり歪が気になる。
マスタリングって曲ごとで聴きながら調整するものだと思っていたけど、これを見るとおおまかにざっと決めて、あとは同じ設定で流し込んだだけにしか見えないなあ。

ProTools パンポットのカーブ

ProToolsのパンポットのカーブを調べたので置いときます。
パンデプスSS

パンデプス


バージョン8まではセンタが-2.5dBでクロスしている仕様でしたが、一般的でないということなのかバージョン9よりパンデプスが変更できるようになっています。
実際どのようなカーブを描いているのか、設定値によってカーブが異なるのか不明だったので測ってみました。

パンデプス-3.0dBでは左右チャンネル出力を合計して見た場合、スピーカから出力されるのは常に同じ電力となり、どの方向にパンを振った状態でも出力される音量が変わらない状態が作り出されていることがわかりました。




パンポット位置対レベル


パンポット位置対レベル_拡大



パンポットLR合成エネルギー


測定はProTools10.0.1にて1KHz0dBFsサイン波を出力し、デジタル出力の値を読み取って記録しています。
201回データを記録するのは大変ですので、センターまで取ってデータを折り返しています。
パンのオートメーションを1サンプルで1変化するように描き、ナッジングを1サンプルにしておくと+キーで増減できるので都度つまみを操作するより捗ります。

パンを振り切った状態では0dBFs,∞の関係で、センターでは-3dB,-3dB(@パンデプス-3dB)となります。
パワーアンプに-3dBFsの電圧レベルを入力すると出力電力は-3dB(およそ0.708)の2乗に比例しますから値は0.5と片チャンネルあたりの電力は半分になります。よって左右チャンネルの出力電力を合計すると、1となり0dBFsの信号を片チャンネルから出力した時と同等になります。

っと、久々に電圧、電力、対数の計算式とか書いてたら混乱してきました。たまにはこうやって頭を使っておかないとダメですね。

ProTools勉強会 歯に詰まる

すしくいねえ

GWで弟が来たので、ProToolsの勉強会をすることになりました。
「スシ食いねぇ!」の歌詞を差し替えて遊んだっていうんだけど、SoundForgeで1小節を切り出してループ再生しながら切り出しポイントを云々とかいって苦労してそうだったから、
じゃあProToolsでテンポ拾ってやったら小節ごとのグリッドでリージョンサクサク入れ替えられて楽チンなんじゃね? ってことになりました。

でも一筋縄にはいきません。

古い歌なので、アナログマスターのせいなのかテンポがキリのいい値になりません。

だいたい160? とかいってクリック聞きながら合わせるのですが、だんだんズレてきます。

面倒だけど、小節数を数えて、時間で割ったら確実じゃね? とかいいながらも結局は面倒で試行錯誤。

なんとかBPM156.369くらいで落ち着きました。


次は歌詞の差し替えですが、全部「歯につまる」にしたいってことなのですが、この歌詞は後半で転調しているので、ピッチを半音下げないといけません。Melodyneが大変役にたちました。

あとはサクサクッっとリージョンコピーしてMADの出来上がりです。

大変有意義なGW後半となりました。
プロフィール

fixer

Author:fixer
http://fixerhpa.web.fc2.com/
Twitter @fixerhpa
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