
ステレオアンバランス信号に2芯マイクケーブルを流用することについての問題
ステレオミニプラグを使った接続ケーブルで、バランス伝送用の2芯マイクケーブルのHOTとCOLD用の線をステレオの左右チャンネルに割り当てて使用しているものを見かけることがありますが、これは本来正しくない、信号品質を損なうものだという話を書こうと思います。
言葉だとわかりにくいかと思いますが、下記の写真のオレンジのケーブルような使い方のことで、
こういった使い方は個人の自作や、オーディオ用ケーブル製作店やみたいなところで行われているのをよく見かけます。
特にBELDEN 88760、88761、87761あたりで音質が良いとされている細めのマイクケーブルでの作例が目立ちます。
![E3bTHQ6VoAQFnKH[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/202106091721131ces.jpg)
本来は、写真下のように左右チャンネルが個別にシールドされたケーブルを用いるのが適切で、このようにしないと左右の信号線が撚り合わされていることによって信号が干渉してしまう問題が発生します。
※なお、一般的に外形が8の字型になっているものなら個別シールドされているといえますが、廉価な商品にはシールドがなく、ただ2本の線が入っているだけのものもありますので注意
このような話はしばしば話題に上がり、用途によっては仕方ないとされる場合はあり、自分も同じように作ることさえありますが、本来は問題であるということと、実際に測定したらどのくらい干渉するかについて測定してみることにしました。
使用したのはCANAREのL-2B2ATという機材内部の配線に用いられるような細めのマイク(ライン)ケーブルです。
このケーブルをアンバラのステレオ信号で1m使用してLchのみに信号を入れた場合、Rchにどれだけ漏れ出てくるかを測定しました。
![E3a-Kd5VgAQLAHl[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/20210609172158900s.jpg)
セパレーションの悪化は線間容量(おもにケーブルの細さ)、ケーブルの長さ、出力側の機器の出力インピーダンスの高さ、信号周波数の高さに影響して生じます。
オーディオアナライザの出力インピーダンス5Ωで1kHzの信号の場合セパレーション約120dBと、ほぼ機器の測定限界の値が出ています。これなら問題はないともいえるでしょう。
次にこの状態で周波数スイープをし、グラフを描いてみます。
![E3a_XSzVIAIWZnS[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/20210609172228265s.jpg)
すると、高い周波数帯域においてセパレーションが悪化しているのが観測できました。これでもただちに問題があるといえるレベルではないと考えます。
次に、アナライザの出力インピーダンスを高めて測定をしてみます。一般的な機材のライン出力のインピーダンスを想定して、620Ωの抵抗を外付けし、出力インピーダンス625Ωとして測定をしてみました。
![E3bBG2cUYAAPAkz[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/20210609172252413s.jpg)
すると、さきほどの5Ωの時とは違い、セパレーションの悪化が目立ってくるようになりました。
一般的に機器の出力インピーダンスについて、イヤホンを想定したものなら数Ω程度ですが、ヘッドホンを想定したものなら100Ωくらいのものもあり、ライン出力なら600Ωくらいあることも考えられます。
特に高音質を求めない設備用途などであれば距離や求める信号品質によってはこういった使い方を許容しても良いとは思いますが、高音質を求めるオーディオ用途で、特に長さのある場合は「細いから」「音質の評判が良い」からといって2芯マイクケーブルを1本でステレオ用途に使用するのは望ましくないと考えていますが、いかがでしょうか?
ちなみに、両端ピンプラグのケーブルなら2本使うのは当たり前ですが、ステレオミニプラグなら1本で済ませて良いという理由はよくわかりませんね…。
記事の発端
https://twitter.com/fixerhpa/status/1402508232136945674
言葉だとわかりにくいかと思いますが、下記の写真のオレンジのケーブルような使い方のことで、
こういった使い方は個人の自作や、オーディオ用ケーブル製作店やみたいなところで行われているのをよく見かけます。
特にBELDEN 88760、88761、87761あたりで音質が良いとされている細めのマイクケーブルでの作例が目立ちます。
![E3bTHQ6VoAQFnKH[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/202106091721131ces.jpg)
本来は、写真下のように左右チャンネルが個別にシールドされたケーブルを用いるのが適切で、このようにしないと左右の信号線が撚り合わされていることによって信号が干渉してしまう問題が発生します。
※なお、一般的に外形が8の字型になっているものなら個別シールドされているといえますが、廉価な商品にはシールドがなく、ただ2本の線が入っているだけのものもありますので注意
このような話はしばしば話題に上がり、用途によっては仕方ないとされる場合はあり、自分も同じように作ることさえありますが、本来は問題であるということと、実際に測定したらどのくらい干渉するかについて測定してみることにしました。
使用したのはCANAREのL-2B2ATという機材内部の配線に用いられるような細めのマイク(ライン)ケーブルです。
このケーブルをアンバラのステレオ信号で1m使用してLchのみに信号を入れた場合、Rchにどれだけ漏れ出てくるかを測定しました。
![E3a-Kd5VgAQLAHl[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/20210609172158900s.jpg)
セパレーションの悪化は線間容量(おもにケーブルの細さ)、ケーブルの長さ、出力側の機器の出力インピーダンスの高さ、信号周波数の高さに影響して生じます。
オーディオアナライザの出力インピーダンス5Ωで1kHzの信号の場合セパレーション約120dBと、ほぼ機器の測定限界の値が出ています。これなら問題はないともいえるでしょう。
次にこの状態で周波数スイープをし、グラフを描いてみます。
![E3a_XSzVIAIWZnS[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/20210609172228265s.jpg)
すると、高い周波数帯域においてセパレーションが悪化しているのが観測できました。これでもただちに問題があるといえるレベルではないと考えます。
次に、アナライザの出力インピーダンスを高めて測定をしてみます。一般的な機材のライン出力のインピーダンスを想定して、620Ωの抵抗を外付けし、出力インピーダンス625Ωとして測定をしてみました。
![E3bBG2cUYAAPAkz[1]](https://blog-imgs-149.fc2.com/f/i/x/fixerhpa/20210609172252413s.jpg)
すると、さきほどの5Ωの時とは違い、セパレーションの悪化が目立ってくるようになりました。
一般的に機器の出力インピーダンスについて、イヤホンを想定したものなら数Ω程度ですが、ヘッドホンを想定したものなら100Ωくらいのものもあり、ライン出力なら600Ωくらいあることも考えられます。
特に高音質を求めない設備用途などであれば距離や求める信号品質によってはこういった使い方を許容しても良いとは思いますが、高音質を求めるオーディオ用途で、特に長さのある場合は「細いから」「音質の評判が良い」からといって2芯マイクケーブルを1本でステレオ用途に使用するのは望ましくないと考えていますが、いかがでしょうか?
ちなみに、両端ピンプラグのケーブルなら2本使うのは当たり前ですが、ステレオミニプラグなら1本で済ませて良いという理由はよくわかりませんね…。
記事の発端
https://twitter.com/fixerhpa/status/1402508232136945674
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